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「あ、あの幡中先輩」
「ん?」
「昨日先輩が男バドの佐倉先輩と相合傘してるところ見たんですけど、、付き合ってるんですか、、?」
「ああ、ううん違うよ」
電車通学の1年生だ。雨のせいでか全然気づかなかった。
「違うん、、ですか、、?」
「佐倉の片思いだよ〜」
近くの2年生が口を開いた。
「ちょっと前に佐倉が紫乃に告白したんだよね」
「えっそうなんですか!?」
「2年は結構知ってる人多いけど、さすがに1年生にまでは広まってないか」
「紫乃ちゃんならそういう話珍しくないと思うけど、むやみに他の子に話さないようにね」
部長がそう言うと、1年生たちはここだけの話にしようと話し出した。
荷物をかばんにまとめてスマホをぱっと見るとLINEが入っていた。
『幡中もう帰った?』
上岡からだ。
「紫乃帰ろ〜」
「ごめん、用事あるから先帰ってて」
「あ、ほんと?雨降らないうちに帰りなね」
「うん、ありがと」
『まだ学校いるよ』
『男テニの部室前いてくれない?一瞬だけ』
部室から声が聞こえない。まだみんな帰ってきていないのだろう。
2,3分待っていると、走ってくる音が聞こえた。
「ごめん幡中、急に呼んで」
「ううん、なんかあった?」
「、、これ、先生からの差し入れなんだけど1本余ったやつじゃんけんで勝って貰ったから」
上岡は凍ったジュースを私に差し出した。
「いいの、貰って」
「うん、2本も飲んだら腹壊すしな」
「ありがとう」
足音が聞こえて横を見ると他の男テニの人たちが歩いて来ていた。
「それだけ、部活お疲れ様」
「上岡もお疲れ」
「ありがとう、じゃあな」
上岡は部室の鍵を開けて私に手を振った。
雨、もうすぐ降りそう。
傘は持って来てるけど、なるべくさしたくはない。
「頼むよ宇治〜、一人で誘うなんて緊張して無理なんだよ〜、、」
向こうの階段の方から声が聞こえた。
「友達連れて来られたら引くでしょ向こうも」
「宇治まだ学校いるんだろ?一瞬でいいからさあ、、」
「俺今から描かなきゃいけないんだって、そんなに緊張するならLINEでもいいでしょ」
「、、まあ、そうだけど、、」
「なんて送ればいいかなら俺も考えるから後でLINEしてきて」
「、、、あざす」
宇治と、誰か。
宇治、今から絵描くのかな。
ちょっと気になる、けど雨降りそうだしな。
覗くだけ、覗くか。