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ひより
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#主人公最強
杯雪乃
401
エミリアさんとセミラミスさんの力を借りて、魔物たちは無事に倒すことができた。
多少の追加はあったものの、それもばっちり対応済みだ。
今回の戦いを通して、また少しだけ魔法の速さが上がった気がする――
……けど、油断したらまた落ちちゃうんだろうなぁ。
いざというときのためには、やはりこの魔法も日々使っていかないとダメそうだ。
|紅蓮の月光《クリムゾン・ムーン》の四人のもとに戻ると、私たちは再会を喜んだ。
セミラミスさんにも挨拶をしてもらったけど、案の定、目をぐるぐるにまわし始めてしまう。
挨拶くらいは頑張って欲しかったけど、まだまだ難しいところか……。
「――……ところでみなさん、結構下の階まで来たんですね」
『水の迷宮』は初心者に優しいとは言え、それは大体10階くらいまでの話だ。
つまり17階に来る冒険者だなんて、かなりの実力者のはずなんだけど……この四人って、そんなに強かったっけ?
しかしその答えは、とんでもなく予想外のものだった。
「そうかな? でも10階までは楽だったし、11階もその流れで平気だったよ」
「「「え?」」」
「「「「え?」」」」
リーダーさんの言葉に、私とエミリアさん、セミラミスさんは驚いた。
そして私たちの言葉に、リーダーさんたちも驚いた。
「……???
あの、ここは17階ですよ?」
「「「「え?」」」」
「――ちょ、ちょっと待って……?
俺たち、10階から下りて、今ここにいるんだけど……!?
な、なぁ、みんな」
「だよな……?」
「だよね……?」
「ですよね……?」
……その表情からして、どうやら嘘はついていないようだ。
全員が全員、見るからに驚きの表情を浮かべている。
「私たちは18階から戻って来て、今ここにいるんですよね……。
……うーん。おかしいなぁ……」
「罠だったら、かなり危険ですよね」
「ちゅ、注意喚起しないと……ですね……」
「――ま、それはそれとしておきましょう。
ところで、私たちも用事を済ませて戻るところだったんです。良ければ一緒に戻りませんか?」
さすがに全滅しそうになった彼らを置いていくわけにはいかない。
ここで会ったのも何かの縁だし、できれば一緒に戻りたいところだ。
「た、助かるよ!
17階なんて、俺たちにはまだまだ早過ぎる階だし、さ」
……理解が速くて助かる。
ここで変なプライドを出されようものなら、せっかく助けたのが無駄になってしまうかもしれないし。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――夜の時間。
ダンジョンの中では時間が分からなくなるから、クロックの魔法には正直助かっている。
体感だけで進めていると、やっぱり|歪《ひずみ》がどこかに出ちゃうからね。
「みなさんは、お食事はどうしているんですか?」
「え? 携帯食で済ませてるけど……?」
そう言いながら、リーダーさんはごく一般的な携帯食を見せてくれた。
私も何度か食べたことがあるけど、やはり美味しいとは言い難いものだ。
「それなら、夕食はご一緒しませんか?
私はアイテムボックス持ちなので、ダンジョンの中でもいろいろと作っているんですよ」
「す、凄い……!
是非、是非ご一緒させてください……!」
私の言葉に、リーダーさんよりも早くメンヒルさんが返事をくれた。
……それにしてもメンヒルさんって、こんな喋り方だったっけ……。
以前はマリモさんとごっちゃになっていたところもあったけど、これは分かりやすくて覚えやすい。
「それじゃ申し訳ないけど、お世話になろうかな……。
あ、もちろんお金は払うから!」
「お金は、別に要らないですよ?
値段ばかり気にしていたら、食べてもらいたいものも出せなくなりそうですし」
「え? そんなに良いものばかり食べてるの!?」
「あはは、そういうわけでも無いですけど。
でも値段のことはあまり考えていないので、逆にお金換算されるとつらいんですよ」
私が作るものの中には、品質が高いためにどうしても高価になってしまうものがある。
塩ひとつ取ったって、しっかり高かったりするわけだしね。
「うーん、でもなぁ……」
「それなら食事の準備中、魔物が襲ってこないかを警戒してもらっても良いですか?
あとは夜番とか、多めに担当してくれると助かります」
「む、そうだな。
……それくらいが落としどころ……かな?」
私の提案に、リーダーさんは納得してくれた。
「でもリーダー、この階の敵って……俺たちじゃ倒せなさそうだぞ?」
……今いるのは16階。
まだまだ|紅蓮の月光《クリムゾン・ムーン》の四人では厳しい階だ。
「敵が出たら、私たちに教えてくれれば対応しますので。
出来るところはお願いしたいですけど、あまり無理はしないでください」
「そ、それくらいが落としどころ……かな?」
リーダーさんは納得してくれた……の、かな?
いや、やっぱり思うところはあるんだろうなぁ……。でも、強さ的には仕方ないよね……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「――|美味《うま》っ!」
「本当だ! お代わり!!」
「ナガラ速すぎぃ!! でも美味しいっ」
「さすがアイナちゃん……。うぅ、お料理まで……」
食事を始めると、四人が感想をそれぞれ言ってくれた。
やはり感想が聞けるのは、料理冥利に尽きるというものだ。
「アイナさんって、昔はこういうことを中心に冒険していたんですよね。
わたしと、ルークさん……っていう剣士の方と、三人で冒険していたときの話なんですけど」
「「「「へーっ」」」」
「あはは。あのときは私、まだ戦う力がありませんでしたからね」
エミリアさんの昔話に、思わず懐かしさが込み上げてくる。
戦いで役に立たない分、それ以外のときは頼りになろうとしていたあの頃――
……しかし今では、それなりに強くなってしまった。
まぁ、これからも裏方の仕事で手を抜くつもりは無いけどね。
「はぁ……。アイナちゃんと冒険がしたかったぜ……」
リーダーさんの口から、そんな言葉が漏れて出てきた。
そう言ってくれるのは、個人的にはとても嬉しいことだ。
「ありがとうございます。でも私、今はあまり冒険をしていないんですよ。
今回だってちょっと、無茶振りをされたのがそもそもの始まりでしたし」
「そ、そうだよね……。
アイナちゃん、偉い人だもんね……」
「……え?」
『偉い』というのは、私にはいまいちピンと来なかった。
『偉い』……の、かなぁ……。
「だってアイナさんって、マーメイドサイトを作った人なんでしょ?
錬金術のお店を開こうとしていたのは知っていたけど、まさか街を開いちゃうなんて――」
「なぁ?」
「なぁ?」
「ですねぇ」
「……う。皆さん、連携が素晴らしいです……。
ああ、そうだ。お店もちゃんと開いたんですよ。今度遊びに来てくださいね」
お店を開いたら教える――
……そんな約束を昔、私はこの四人としていた。
今はポエール商会から斡旋された仕事だけをしているけど、昔の縁があるのであれば、この四人からの仕事を特別に受けてみるのも良いだろう。
本当にただ遊びに来るだけなら、それはそれで問題ない。
「はいはい! 絶対に行きます!
アイナちゃんのお店、凄く楽しみ! ……いつ頃なら大丈夫ですか!?」
私の言葉に食いついてきたのはメンヒルさんだ。
……この人、テレーゼさんやキャスリーンさんに通じたものがあるかもしれない……。
「そうですね、毎日開けているわけではないので、ポエール商会を通して連絡を頂けますか?
これから収穫祭があるので、その間は難しいと思いますけど……」
「え? 収穫祭?」
「はい。近くの村を巻き込んで、街で大きなお祭りを開くんです。
露店とかもたくさん出ますし、私もポエール商会と一緒に、イベントをやる予定なんですよ」
「おー……。
アイナちゃん、やっぱり偉い人じゃん……」
「そうですか? ……うーん?
せっかくですし、みなさんも楽しんでいってくださいね!」
|紅蓮の月光《クリムゾン・ムーン》の四人がいつまでいるのかは分からないけど、しばらくは滞在してくれるのかな?
それならその間、しっかり楽しんでいってもらいたいものだ。
……まぁ、今はダンジョンから出るのが先なんだけど。
コメント
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うわぁ第500話おめでとうございます…!🥺🎉✨ アイナちゃんが紅蓮の月光のみんなと再会できてよかったね〜!階層の勘違いでみんなが「え?」ってなるシーン、めっちゃほっこりしたし、アイナちゃんのご飯でみんなが「美味っ!」ってなるの見てこっちまで幸せな気持ちになったよ😭💕 アイナちゃんの優しさが滲み出てる回だったな〜!