TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

GFハウス。この孤児院には38人の子どもたちが一緒に暮らしている。ただ、一般的な孤児院と違って教育に力を入れてるみたいで、毎日テストを受けるんだ。自慢じゃないけど、このテストで毎日満点を取る秀才、それが僕。ノーマン。まあちょっと自慢だけどね。


「ねえノーマン、私ねすっごい大人な本見つけちゃったの!」

同い年の女の子、エマがオレンジの髪を揺蕩わせながら僕を呼ぶ。

「大人な本?」

孤児院に、そんな教育を乱すような本は置かれていないはずだ。でも、万一年少組が誤って手にしたら困るな。

「確認しに行こうか、エマ。」

「うん!」


エマが、これこれ!と手にしたのは少し薄めの恋愛小説だった。ザッと見たところ、問題のある文はなさそうだ。

「エマはこれのどこを大人だと思ったの?」

エマの方を見てみると、ツァボライトのような瞳でこちらを見つめ返してきた。思わず目を逸らしてしまう。

「ノーマン、まさかわからないの?」

お子ちゃまだねーと僕を笑うエマの顔がおかしくて、僕は少し笑う。

「こ い び と だよ!! 」

斜め上を行く返答に、思わず口がポカンと開いた。

「恋人だよ恋人⁉︎ロマンチックすぎる!

私もいつか恋愛するのかな…!」

エマも年頃の女の子。恋愛に憧れる気持ちはあるだろう。でも、

「エマにはまだ早いかもね。」

なんだかもやっとする。何をー⁉︎と僕にやっかむ彼女を宥めながら、僕は自分の気持ちを理解することができなかった。


「ねえ、レイ。」

僕は、親友のレイにこの一件を相談することにした。僕の話を全て聞き終わると、レイは口を開いた。

「ノーマン、エマのかわいいと思うところ、全部挙げてみろ。」

「え?たくさんあるけど…まずは笑顔が素敵な所かな。なんか、夏の太陽みたいな感じがして。髪色も綺麗だよね。金木犀みたい。それに周りのことをよく見てるのに、自分のことには気づかないところとか、目が離せないよね。あとはー…」

「ノーマン、ストップ。」

突然、レイが僕の言葉を遮ってきた。

「なに?」

レイはうんざりとしたような口調で言い放った。

「お前、エマに惚れてるんだよ!」

惚れてる…?

「like?」

「loveだ、バカ!」

惚れてるって、恋愛だとかの?

「えぇえぇええぇ⁉︎」

僕が、エマに好意を?ありえない、エマは僕の大事な家族なのに。

「ていうか、自覚なかったのかよ?」

ありません。あるわけがない。

絶対今耳赤い。白髪だと尚目立つ。恥ずかしすぎる。そう言われてみれば、いつからかエマの目を真っ直ぐ見れなくなって、エマの身体を触らなくなって、エマの声が聞けたら自然と笑顔になって…。

「…うん、今わかった。僕の気持ち。」

「あ、ノーマンいたー!」

エマが草むらを自慢の俊足で駆けてやってきた。手には例の小説が握られている。レイがそそくさと逃げていった。

「え⁉︎ちょっとレイ!」

「ノーマン、あのね、私この本ママに見せたの!そしたらね!」

こうして彼女の話を聞いてると、やっぱり好きだという気持ちが湧き上がってくる。

「私が1番好きになった人を恋人にしなさいって言われたんだ!」

もやり。「1番好きになった人」って誰?それって…僕じゃだめかな?そう声に出そうとしたけど、エマのマシンガントークには勝ち切れなかった。

「だから私ね!ノーマンとなら恋人になりたいなって思うんだ!」

え?

「恋人って…僕が?」

「うん!だって、私レイやドン達も好きだけど、家族の中で、ノーマンがいっちばん好きなんだ!」

いっちばん…。レイやドン達よりも…。思わずにやけそうになるけれど、必死に堪えて僕は言う。

「僕もエマがいっちばん大好きだよ。 家族の中じゃなくて、世界で1番ね。」

その時、エマの顔がほんの少し赤らむのが見えた。「え…?」と慌てふためきながら僕を見るエマに、僕は笑顔を溢した。

この作品はいかがでしたか?

102

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚