〜 side 小柳 〜
時計が23時になる頃
「ごめんなさい!こんなに遅くなるって思わなくって‥‥」
「何してたんだよ、心配するだろ?電話も出ないし‥‥‥」
ようやく現れたミランに安堵する
と、同時に手元に目がいく
「‥‥お前‥‥何?‥‥この荷物‥‥」
「え?‥‥とりあえず置かせて下さいよ」
「とりあえずの量じゃないけど?」
「先にお話ししませんか?」
ただでさえ狭い玄関にでっかいスーツケース3個を並べ、俺達は部屋へ向かった
疲れた様子のミラン
一体何をして来たのか‥‥‥
「単刀直入に言いますね?」
「‥‥あぁ」
「私‥‥犯罪辞めます」
「‥‥え?」
「足を洗います。と言うか、洗いました」
「お前‥‥近頃ギャングの人達ともつるんでたよな?」
「そうですね。だからちょっと時間掛かっちゃいました」
「どういう‥‥」
「あの後ギャングと仲間に抜けるって伝えて、抜けるにはお金が必要で‥‥家を売って来ました。あと車も」
「えぇ⁈」
「だって私の優先事項はロウ君だって初めから分かってたんですもん。何をいる場所にこだわってたのかなって」
「いや、でも‥‥これからどうするって‥‥」
「あっ、そうそう!少し前にね、ここの近くのパン屋さんでレオスさんとあって意気投合しちゃって、働いても良いって言ってくれたので決めて来ちゃいました」
話がとんとん拍子で付いていけない
「しかもレオスさん、私の集めてる雑貨と本が面白そうって言ってくれて、お店の半分を貸してくれるそうなんですよ。だからそこでお店出そうと思って。パンも売りながら海外の雑貨も売れるなんて凄いと思いませんか?」
「いや、凄いけど‥‥お前、それで良いのか?それにあの荷物は‥‥」
「あ、家が決まるまで荷物預かってもらえませんか?」
「家が決まるまでって‥‥それなら別にウチにいても構わないが‥‥」
「え?だって急にじゃ‥‥」
「困ってるなら話は別だろ」
「ロウ君は嫌じゃないですか?」
「嫌な訳はない‥‥けど」
「それと、ずっと言い忘れてた事があります」
「‥‥何?」
「俺、ロウ君の事がずっとずっと好きですよ」
「‥‥!」
「ずっと一緒にいたから分かってるものと思ってました」
「‥‥それは俺も」
「俺も?」
顔を覗かれた
必死に隠しても分かる
きっと赤くなってるに違いない
「いや、でも俺は調子のいい事を言ってるかも‥‥お前が犯罪辞めたからって‥‥」
「ロウ君の為に辞めたのも一理あるし、さっきも言ったけど黒にこだわって生きて来てないからね?だからロウ君のせいとかでは無いですよ」
「いや、嬉しいよ。ミランが犯罪しなくなって白市民になってくれるんなら俺は」
「もうロウ君に捕まえてもらえないのは寂しいけど、これからはずっと一緒にいてくれますか?」
「‥‥勿論だ」
手を握られキスをする
なんだか初めてするみたいでドキドキした
俺は右手でミランの泣きぼくろをなぞる
「知ってたか?泣きぼくろが2個あるのは恋愛経験豊富らしいぞ」
「俺にはロウ君しかいないのに?」
「昔は知らないからな」
「昔からロウ君一筋ですから。‥‥じゃあここは?」
ミランが俺の指を口元のホクロに持っていく
「右下のホクロは美食家だったかな?」
「なるほど!俺は美味しいものしか頂かない主義ですから‥‥頂きますね」
「んっ!‥‥お前っ‥‥あっ‥‥」
「ここも‥‥ここも‥‥美味しそう」
「言ってる事がオヤジだぞっ‥‥」
服を脱がしながら指先で身体中をなぞる
「あれ?ここは俺の指を欲しそうに咥え込んでいくみたいですね」
「もう!お前本当にっ‥‥あっ‥‥ミランっ! 」
「フフッ‥‥もうオジサンごっこはお終いです。でも、もう中もトロトロですね」
「っもういいから‥‥来いよ」
「男前なんだからロウ君ってば‥‥力抜いてて下さいね‥‥」
「男のっ‥‥身体なんかで良いのかよ、ミランは‥‥」
「男の身体じゃなく、ロウ君の身体だからこんなに興奮してますけどっ‥‥」
「んっ‥‥そうかよ‥‥ああっ‥‥そこっ‥‥」
「‥‥ダメな場所だった?じゃあもっと奥までいきますね‥‥」
「んぁ、ミランっ‥‥いいっ‥‥もっと‥‥」
「そんな事言うなんて‥‥後で泣いても知りませんよ‥‥」
「ああっ‥‥あぁっ、来るっ!‥‥あっ、ミランっ‼︎」
「ロウ君の中で一緒にいかせてっ‥‥あっ‥‥俺もっ!‥‥」
ミランの熱が中で拡がる
俺の胸の上で頭を擡げ、その頭を愛おしく撫でる
まだ荒い呼吸の中、俺達は抱き合い向かい合う
「ねぇロウ君‥‥ロウ君はいつから俺の事好きだったの?俺はずっと昔からだけど。お嫁さんにするならロウ君って決めてたんだから」
「俺がお嫁さん?フフッ‥‥」
「笑わないで下さいよ。ロウ君は?」
「‥‥俺は中学生くらいかな。お前に彼女が出来た時」
「‥‥実は彼女作ったのはロウ君を振り向かせたくて‥‥」
「‥‥悪い奴だな」
「反省してます」
しょげたミランの鼻先にキスをする
「あの時付き合えてたら何か変わってたのかな。こんな遠回りしないで」
「遠回りしたからこうなれたかもしれないしな」
今度はミランが俺にキスをした
「それより俺はお前の興味が他に移らないか不安だよ」
「えぇ?そんな事ありませんよ。俺の興味はいつもロウ君に向いてるんですから」
「‥‥飽きられるなって事?」
俺はそんなに興味が持てるような人間か?
飽きられない方法ってなんだ?
「違いますよ‥‥これからもずっと愛してるって事です」
END.
コメント
2件
いやぁ〜!超よかったです! なんかあまい関係性ですね(*´˘`*) また次回作楽しみにしてます。