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目が覚めた瞬間、なんだかいつもと違う感じがした。
「ん……?」
ベッドの中、胸のあたりに違和感がある。まるで柔らかいものが押し付けられているような感覚で、何かが重たくて肌に触れている――いや、これは……。その柔らかさと温もりが、まるで自分の体に馴染まないもののように感じられた。俺は半分寝ぼけながらも手を伸ばし、布団の中の自分の体に触れた。その瞬間、指先が触れたのはまるで自分のものではないような、丸みを帯びた柔らかな感触だった。
「な、なんだよこれ……」
目を見開くと、そこには確かに女性の胸があった。まるで自分の体の一部とは思えない。俺はパニックになりながら布団を跳ね除け、全身を確認した。細くて滑らかな腕、その肌は驚くほど柔らかくて冷たさを感じるほど滑らかだ。曲線を描いた腰はしなやかで、触れたときにわずかな弾力を感じた。そして太ももから足の先まで、全てが俺の知っている俺の体ではない。足の肌触りも異様に滑らかで、冷たく心地よい感触が広がった。全てが、自分ではない他人の体そのものだった。
「なんで、こんな……」
混乱の中でふと、昨夜のことが頭をよぎる。六本木で酒を飲み、俺は一人の女性をナンパした。彼女と一緒にホテルに来て、その後は……ぼんやりとしか思い出せないが、確かに彼女と一緒にベッドに入ったはずだった。それなのに、今の俺は彼女そのものになってしまっている。
俺は部屋にある鏡を探し、ふらつく足取りでベッドを抜け出した。汗ばんだ体からはほのかに甘い香りが漂っている。自分の体からこんな匂いがするなんて、信じられない。胸元に意識を奪われながらも、ようやく鏡を見つけた。大きな姿見の前に立つと、そこに映っているのは確かに昨夜ナンパした女性の姿だった。
「う、嘘だろ……」
髪は肩にかかるくらいの長さで、しっとりとした質感が首筋に触れる。その感覚が俺をさらに現実に引き戻す。鏡の中の彼女――いや、今の俺は、驚いたように目を見開いて、口元を震わせている。その顔はまぎれもなく昨夜の彼女の顔だった。
手を伸ばし、頬に触れてみる。指先が触れるのは、なめらかで柔らかな肌。女性の肌がこんなにも繊細で敏感だなんて、俺は思いもしなかった。まるで他人の体を触っているような、不思議な感覚だった。
「なんで、どうして……」
声までもが女性のものになっていることに気づいて、さらに恥ずかしさが込み上げてきた。体のあちこちが自分のものではない感覚に包まれ、特に胸や腰のあたりはどうにも意識から離れない。どうやって立ったらいいのか、どうやって動けばいいのかも分からず、まるで自分が自分でないような気分だった。
俺は鏡の前で立ち尽くし、全身を再度眺めた。細くて長い足、丸みを帯びたヒップ、そしてどうしても視線が釘付けになる胸の膨らみ。まるで全てが俺をからかっているかのように思えた。なんとかこの状況を理解しようと頭を振るが、ただただ現実感のない違和感と恥じらいだけが残る。
「俺……どうすればいいんだ……」
呟いた声が震え、耳に届いたその声がまた女性らしく高いものであることに赤面する。俺は両手で顔を覆い、ベッドの端に座り込んだ。この体に馴染むことなんて、到底できそうになかった。違和感と羞恥が胸の中でぐるぐると渦を巻き、俺はただその場で立ち尽くすしかなかった。