コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その日……。
月に登ったその日。
僕は煌めく世界と美しい王子に恋をしました。
—————————————————————
アリス『ルイ!起きて!』
ルイ『うーん…。』
ボヤけた視界の中、カーテンの隙間から差し込む太陽の光が、暖かくベッドを照らす。
ルイ『おはよう、アリス。』
アリス『全く、ルイはいつもお寝坊さんね。』
軽く耳たぶを引っ張られ、朝からアリスのお説教。また寝坊か…。
ルイ『僕朝には弱くて…』
アリス『言い訳しないの!』
ルイ『う…』
毎度のことだ。僕は朝に弱く、起きられない。この広い部屋にあるのは、沢山の白いベッドに、僕とアリスの二人。ここは孤児院。捨てられた者、家族を失った者…身寄りがない子供たちが集まる場所だ。
アリス『ほら、さっさと着替えて行くよ!』
ルイ『はーい』
—————————————————————
マヤノ『あら、遅かったわね。』
ルイ『うぇ、マヤノ…』
マヤノ『うぇって…何よ!失礼ね!』
マヤノが後ろを振り返って言った。僕の前に座っているマヤノは、僕より年下なのに意地悪で、ちょっと苦手だ。
アリス『ルイったら、今日も寝坊したんだよ!?いい加減自分で起きてよね!』
ルイ『ご、ごめん。』
僕の隣にアリスが座り直す。いつも起こしに来てくれるアリスは口調が悪いけど、いい友達だ。
マヤノ『だらしないったら、ありゃしない。』
アリス『本当よね。』
もう、そんなに責めなくてもいいでしょ!って言いたいけど、二人の意見は正しい…もうみんな、僕とアリスを除いて教室に揃っていた。
カズラ『おや、3人でなんの話をしているのかな?』
ルイ・アリス・マヤノ『『カズラ先生!!』』
後ろから覗くようにズイっときたカズラ先生に少し驚きつつ、僕らは挨拶をした。
カズラ先生『おはよう、みなさん。』
カズラ先生は、僕たちの先生。優しくて紳士的だからみんなに人気だ。
カズラ先生『さ、授業を始めますよ。』
ルイ・アリス・マヤノ『『はーい!』』
カズラ先生『今日は、社会の発展と途上についてです。』
—————————————————————
アキ『終わった〜!』
マヤノ『おつかれ、アキ』
アキはマヤノの実の弟。僕が孤児院に入って間もない頃に二人揃ってやってきた。
カズラ先生『あぁ、ルイくん』
ルイ『なんですか?』
カズラ先生『話があるから、来なさい。』
ルイ『?…はい』
先生はドアの近くで指をチョイチョイと動かして、こっちに来てくれと合図する。なんだろう。何を話されるのかわからないけど、緊張してくる。
—————————————————————
ルイ『空き部屋…』
わざわざ部屋を移動するなんて、大事な話に違いない。僕は唾を少し飲み込んで、心を落ち着かせる。
カズラ先生『ルイくんに会わせたい人がいてね。』
ルイ『誰…ですか?』
カズラ先生『少し待っててね。』
先生は部屋から出て行って、少しすると戻ってきた。
カズラ先生『どうぞ。』
ルイ『…?』
すると、先生の後ろにいた女性がコツコツとヒールを鳴らしながら、部屋に入ってくる。
カズラ先生『この人が、ルイくんを引き取りたいんだそうだ。』
ルイ『え…?』
どういうことだろう?僕を?引き取る?
カズラ先生『君の新しい家族だよ。この方は、君の母親になる人。』
僕の…新しい…家族…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回 貴族