“天の使い”と書いて、天使
読み通り、そのままの意味だ。
じゃあ、天使とはどんなものなのか
「…どこ、ここ」
目の前の景色は一面純白
上を見ると酷く澄んでいて、穢れなど全く無知そうなほど青い天井・・・いや、風を感じることから恐らく空だろ
う
下を見ると、所々にスズランや白いカラーという花、色とりどりな花々が咲いているふわふわとした白い絨毯が拡がっていた。まるで綿飴のようで、羊の毛のような触り心地で、頬を擦り寄せれば深い眠りに着けそうな ほどに心地よい
まるで桃源郷 のように
ふと立ち上がってみると、浅くはあるものの足が沈む感覚がし、ふわふわとした粉雪を踏んだ感覚がした
自身の体を包む純白な服、光に当たるときらきらと反射して輝く
足の付近をまじまじと見ると、白い羽が落ちているのに気がついた。
すると、運あたりにもひらひらと舞ってふわりと無音で落ちる
そこで初めて己の姿に気づいたのだ
「あえ、なにこれ、羽?」
自身の背に付いていたのは、純白でかすみもしていない羽だった
なぜ羽があるのか全くもって理解できず、触れると少しくすぐったい
どうしたものかと頭を掻こうとしたところ、頭上に何かがあるのだ
触ると、ドーナツのような…いや、ドーナツにしては平たく細い、そう、大きな輪っかが着いているのだ
鏡でもあればなと悩んだところ、ようやく理解した
「俺…死んだ?」
頭に大きな輪っか、背には羽、純白な服に青く澄んだ空、ふわふわとした美しい地面
まるで天使で、天界だ
まてまて、俺が死んだ?
なぜだ、何故ここにいる?
そう考えようとする度にこめかみがずきずきと痛む
「君、迷子かい?」
背後から優しいふわふわとした、まるで天使のような声をかけられた
「…君、見ない顔だね、新入りかい?」
一瞬目を見開き、俺のことを知っているかのような表情。というセリフが着きそうなくらいの表情を見せた彼女が、少し悲しそうな表情をしそう言った
「…ここ、どこなんですか」
「ここは天界、神の住まうところ。死後行き先に迷った魂が群がって、間魔の所にお世話になるか、神の所にお世話になるかを判断された先に、ここがあるんだ。」
「天国って…こと?」
「そう!君は前世いいことをしたんだろうね!、ここは極楽さ!」
そう大きく手と羽を広げ、優しくふわりと笑みを見せる
そのような姿に見惚れながらも、半開きの口を動かした
「じゃあ、貴方は女神…?」
そう言うと、彼女は驚きの表情をした
目を点にさせて、顔をほんのりと赤に染めるのだ
「…やだな、僕は男だよ!」
そうおかしそうに笑う彼女は口元を手で押えくすくすと笑みをこぼす、その姿はまさに女神だったというのに
“彼女”ではなく、”彼”だったということだ
「ねぇ、君、名はなんというの???」
「若井滉斗」
「じゃあ、天使名を決めておくれ」
「天使名?」
「うん、天界で呼ばれる名の事だよ!神やら、天使やらにね?」
「…じゃあ、ヒロト」
「本名若井滉斗、天使名はヒロト。齢はおそらく28、29辺り、といったところか…」
「うん!了解した!」
言ってもいないプロフィールを全て当てた彼に感心しつつ、少しの恐怖を覚えた
であればこちらからも聞こう、と思い彼に問いかけた
「君は?」
「…僕は、」
そう口を濁らせ言を発しにくそうにしつつも問うたことの答えを発した
「…スズカ、とでも呼んでおくれ」
「本当の名前は?」
「え…」
「君も天使なら生前の名もあるはずだ。そっちも聞きたい。」
「…生憎、天使同士での相手のことを知るツールは天使名だけでいいんだ、本名まで知る必要ないからね。」
ではなぜ俺の本名を聞いたんだ、と問いたかったものの、勝手に本名を喋ったのは自分だからなと半分開いた
口を閉じる
俺の死後の暮らしは、おそらくこいつと出会ったことによりはちゃめちゃになるのだろう
そう確信した
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コメント
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(。-`ω´-)ンー 天才!( -`ω-)b