テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
こいつと生活を始めてからというもの、かなり苦労してきた。なんせこのダーリンとかいう男は一人で何かをしようって発想がないらしく、どこまでも他力本願だ。
この小屋で二人で生活している以上、そのダーリンが頼る先ってのはもっぱら僕だ。僕だって何回か改善させようとしてきたが、何を言っても俺には無理だとか、メリルがやった方がいいだとか返してくる。
ムカつく通り越して哀れに思う。
「……メリル、食べないの?」
「は? 黙って食ってろ」
「ご、ごめん……」
こうやってすぐ謝ってくるのもイライラする。どうやらこいつには反抗する気もないのに、自分で動く気もない相当終わってる人間らしい。
嫌いじゃないんだ。ただ、こいつの人間性を疑っているだけのこと。流石にどうにかしているだろう。
「……僕が気にし過ぎなのか?」
「……め、メリルぅ……どうしたのぉ……?」
「うっせ」
そう一蹴すれば、こいつは黙る。静かになる。それが僕にとっていいことなのか、そうじゃないのかは全く分からないけれど、少なくとも黙るだけうちの兄よりマシだろう。
自分もスープに口をつける。適当にトマトとソースを混ぜただけだが、食えるだけいいと思う。この間なんて一日何も食べられなかったんだから。
「……メリル。今日は、その……俺と居てくれるぅ……?」
「……一緒に居るも何も、今日は外に出られないだろ」
「え、えへへ……一応……確認っ」
こいつはやけに僕と居られることを喜ぶ。僕は正直、こいつと居ることに喜びなんて感じられないから、外に出られる日は外に出て、山を下りた先にある街をずっと歩き回ってる。
こいつと居ると面倒ごとしか怒らないし、正直言って……今日は最悪な日だ。明日は晴れていると嬉しい、と思った。
「メリルといっしょ……俺、嬉しいなぁ……」
僕がそれに返事をしないことに気づくと、ダーリンはどこか不安げな顔をしたが、それでも笑おうとしていた。
そういうところがどうにも分からない。返事が欲しいなら欲しいと言えばいいと思う。ダーリンの物事をはっきり言えない性格にはもう散々悩まされてきたから、慣れっこだけれど。
ふと、ダーリンがスプーンを置く音がした。
「……あ、メリル……ごちそうさま。お片付け、任せたよぉ……」
「は? 自分でやれよ……」
「メリルがやった方が早いからぁ……お願いね……?」
ほら、また言った。だから俺はこいつとの生活に嫌気がさしているんだ。こいつ、本当は一人でできるくせに、何もかも僕に任せようとしてくる。
だからと言って放置するわけにもいかないので、自室に戻っていくダーリンを横目に、食器をシンクに持っていく。
「……つめたっ」
なんでこうも水は冷たいんだ。いつになったらあいつは自分で動いてくれるようになるんだろう。あいつもいつか、絶対に、この水の冷たさを味わえばいいんだ!
てるめる
52
瀬名 紫陽花
14,677
てるめる
25
コメント
1件
うわー、この二人の関係、もつれにもつれてるね……。メリルの苛立ちとダーリンの絶妙な依存のバランスが毎回生々しい。特に「自分でやれよ」→「メリルがやった方が早いからぁ」の流れ、読んでてこっちまでイライラしてくるのに、なぜか目が離せない。最後の「つめたっ」で終わるのも、無意識のうちに水仕事を受け入れてるメリルの諦めが滲んでて、すごく効いてる。こういう「嫌いじゃないけど人間性は疑う」って距離感、めっちゃリアルだなあ。