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262
るみあ
31
続きです。新しいキャラが出てきますのでビジュアル置いときます。
今回何時もより多分長いですので気長に見てくだされば嬉しいです。
ではどうぞ。
第12話【少年達は】
烨霖がそれに応えようと口を開きかけた瞬間、いつの間にか自分を守るように向かい合って前に立っていた阿和が低い声をあげる。その声には警戒心が滲んでいた。
「貴様らこそ何者だ?」
「お前達から名乗れ!」
2人の間に険悪な雰囲気が強く漂い始めたのに気付いたのか剣を投げた青年の隣に居たであろうもう1人の青年が声を掛ける。
「ちょっと、、初対面の人に失礼でしょう!」
その声はとても優しく、聞き心地のいいまるで花のように柔らかい声をしていた。
まだ冷静に話を聞き入れてくれそうな人が居ることに安堵した烨霖は軽く阿和を窘め、愛想良く声を掛ける。
「いや、申し訳ない、こちらが失礼しました」
「私達は結界の事を調査しにここへ来ました。」
「私は李梓豪、こちらが阿和です」
そう言えば木の上に乗っていた1人がひらりと花びらのように降りてくる。そしてこちらに近付き、手を前にかざして礼儀正しく一礼をする。恐くこれは先程の優しい声の持ち主の方だろう。声から想像した通り、その者はとても甘く優しい笑顔で、それは周りの人の緊張を和らげるような笑みだった。
「こちらこそすみません、私の友が失礼しました。」
「ほら、君も降りて!この人達は悪い人達じゃないよ!」
先程からずっと木の上に残っていたもう1人はうんざりしたかのような声で畝り、愚痴を零しながら仕方なく下へと降り立つ。
「お前はもっと人を疑わなきゃ駄目だろ!!」
降りてきた青年は目鼻立ちのバランスが通常の人よりも非常に整っており、愚痴を零しながらも相手の心配をしている所から心根は優しい青年だということが分かる。
2人への警戒心がまだ解けていない阿和は2人を睨みつけながら烨霖に耳打ちをする。
「そなたに剣を向けた者に構う必要があるのか?奴等は嫌いだ。」
「彼等と 知り合いなのか?」
「 、、すぐ分かるだろう」
「それはどういう、、、」
阿和の言っている意味が分からなかったが次の瞬間、目の前の甘い青年の発言によってその意味を即座に理解する。
「私の名前は何鋒煜こちらが、、、」
「龍洋だ」
「、、、、はい!?あ、貴方達が、、!?」
驚かれている理由が分からない2人はぽかんとして首を傾げる。
それもそのはず、今世、この身体は李梓豪であり、この2人とは面識が一切ない。そう、今世では。
この2人と烨霖は前世では面識を持っていたのだ。それも大分深い面識だった。
前世、門派と魔族の戦いで各地で貧民の問題が起き、それに加えて小さい門派の数々が潰れかけていた当時、貧民街で残りの残党を片付けていた烨霖はとある小さな道場の前で拙い木の剣で剣術もめちゃくちゃになりながら魔族を必死に倒そうと奮闘していた少年、龍洋を見つける。
烨霖はすぐさまその少年に駆けつけ、庇うように後ろに隠しながら剣を大きく振って魔族を一掃する。
辺りを見回して他に魔族が居ないことを確認した烨霖は少年の無事を確かめようと尻もちを付いている少年の元にしゃがみ込む。
「大丈夫か?怪我は?」
少年を改めて見てみると身体は傷だらけで横腹を抑えている手には血が滲んでいた。だがそんなボロボロの状態の少年は切羽詰まったかのように烨霖の腕を必死に掴み、声をあげる。
「あ、あの!!!助けてください!!み、みんなが、、!!」
その顔は非常に青ざめており、顔中は汗と涙で濡れていた。
烨霖はまず今にも倒れてしまいそうな少年を抱きかかえ、横腹の傷を修復する。だがそれも応急処置であり、すぐに適切な治療をさせねばならない。その為には少年の願いを叶え、落ち着かせるのが最優先だ。
「分かった、場所を教えてくれ。」
少年に言葉で案内をされてその場に向かうと道場の中には噎せ返る程の血の匂いが充満しており、まるでペンキで塗られたかのように1面が赤く染まっていた。地面に転がる人々は恐く道場の者であり、頭が無い者もいれば腕が潰れている者もいた。生きたまま恐らく食いちぎられたのだろう。あまりの残酷な光景に烨霖は心が痛むのを感じながら冷静に地面に転がる人々の安否を確認する。すると1人だけ脈がある少年が下の子供達を庇うように倒れているのを見つけ、慌てて保護結界を施し、もう片方の腕で抱き上げる。
「息が、息がある、この子はまだ助かる!!」
そう言えば少年は酷く安心した様な顔を浮かべ、まだ浅く息のある少年を見つめ、今まで我慢をしていたのであろう涙が溢れはじめる。
「は、、、、あぁ”、、、良かった、、、良かった”、、、」
「あ”、、、ほ、他のみんなは、、、」
その問いに応える前に烨霖は少年のツボを着き、眠らせる。これ以上喋らせれば命の危険もあり、それに加え仲間が皆死んでいると分かれば激しい感情の起伏によって傷が悪化する可能性があったためだ。烨霖は少年の額に自分の額をくっつけて喉から声を絞り出す。
「、、、すまない、、、すまない、、、私が、もう少し、、、早ければ、、、」
その後、烨霖は早急に門派へ戻り、門弟に子供達の治療を任せ、まっすぐ門主の元へと報告に出向いた。
「門主、帰還しました」
「そうか、ご苦労だったな」
「それで門主、1つご相談が」
門主の眉間が微かに寄る
「、、、なんだ?言ってみよ」
「先程、残党を倒している時に見つけた少年2人を、我が門派に迎え入れたいのです。」
門主はいきなり態度を変え、怒鳴り声をあげる。
「何を言っている!!今の状況を分かっているのか!?」
「分かっております、ですが、彼等はここで潰していい芽ではないと思っています」
「このままここでの治療が終わってしまえば彼等はまた貧しい地へと送られてしまいます。頼れる人が居ない彼らが死ぬのは時間の問題でしょう。」
怒りが頭にまで到達した門主は椅子の肘掛に勢いよく拳をぶつけ、鈍器のような音がなる。
「巫山戯るな!!良くしていれば調子に乗りおって、、、!!お前は何時もそうだ、、!!」
だが烨霖はそれに一切怯むことはなく、声を強めて話を続ける。
「彼等は他の幼子とは違います!!1人は傷だらけでありながらも泣いたり弱気も見せずに一人で魔族に剣を向け、1人は身を呈して最後まで仲間に寄り添い、守っていまいた!!!」
「彼等には戦士になる素質があります!!彼等には人の命を大切にする志しがあります!!!お願いです!!」
「だが───」
烨霖は更に声を強める。
「全ての責任は私が受け持ちます!!」
烨霖の態度に折れた門主は呆れたようにため息を吐く。
「はぁ、、もう知らん、何かあればお前が責任を負うんだぞ、私は関係ないからな」
「門主、ありがとうございます。」
門主から許可を得た烨霖は少年たちが目覚めるまで毎日病室に通い、そして数日程経ったある日、戦いから戻ってきた烨霖は門弟から少年達が目覚めたと知らせを受け、身体の傷が癒えてもいないボロボロの状態だということも忘れ、慌てて少年達の元まで駆けつける。
「目覚めたのか!?」
勢いよく現れたこちらに驚いたのか大きな目を更にまん丸にしてこちらを見ていた。あの時、魔族と戦っていた少年はこちらが魔族を相殺した人だと気づき、隣の少年に耳打ちをするようにして教える。
「あ、あの人はね、僕らを助けてくれた人だよ!!」
「そうなの!?」
信じられないという視線を向けられた烨霖は自分はそんなに怪しい人に見えるのだろうか、と少し悲しくなりながら改めて自分の姿を見れば魔族の返り血やら傷やらで服がボロボロになっていた事に気付き、返り血の着いた1番上の服を外に投げ捨て、愛想の良い笑顔で慌て弁明する
「あ、あはは!!すまない、先程戦いから帰ってきたばっかりなんだ!」
「君達、怪我はどう?」
「あ、僕はもう大丈夫です!鋒煜はまだ少し痛むようですが、、、」
鋒煜という名の少年は目をキラキラと輝かせながら烨霖の手を強く握る。
「あ、あの、、、ありがとうございます、、!!僕達を助けてくれて!!」
「いや、気にしないでくれ、、、それに、君ら以外は、、、救うことが、、出来なかった」
「すまない、、」
こちらが感謝こそすれ、逆に謝られた事に驚いた2人は慌てて頭を下げる烨霖を起こす。
「謝らないでください!!謝る必要なんかないです!!」
「そうですよ!!」
子供に気を遣われている事に矜恃に少し傷が入った烨霖は面目ないと言うように苦笑いをしながら少年達の頭を軽く撫でる。
「君達は随分と礼儀正しいね、、、」
撫でられ、落ち着いてきた鋒煜からは先程のキラキラした瞳がきえ、消え次は不安の色を見せる。
「、、、あ、あの、、、本当に、ここに居ていいんですか?」
「迷惑では、、、」
口篭りながらそう話す少年達を勇気づけるように烨霖は優しく2人の背中を擦りながら応える。
「迷惑なんかじゃない!!安心しろ!!君達の面倒は今後、ここで見る!!」
「皆も受け入れてくれているんだ!!変な事は考えなくていい!」
そう言えば少年達の顔が一気に明るくなり、何度も礼をする。
「あ、ありがとうございます、、、!!」
その後、少年達は門派で修練を積み、どんどん成長をしていき、烨霖とも度々交流し、剣術を見てあげたりした。だが、そんな日々は長くは持たず、5年後、烨霖は過ちを犯し、敵対する事になった。その時の失望していた2人の顔を、今でもよく覚えている。
前世で最後に見たのはまだ少年の姿だったうえに声変わりもしていたため、初見では全く気付くことが出来なかった。 恐く身体年齢はもう20歳以上になっているだろう。まさか年齢が変わらないほどに修練を積んでいたとは、、、。鍛えられた身体や気からは私が死んでから、どれ程までに努力したのかがよくわかった。
「あ、あの、、、失礼ですがどこかでお会いしましたか?」
何鋒煜は笑顔のままそう聞き返す。
「あ、いえ!村での噂話で聞いた事のあるお名前だったので!!」
「そうですか!」
「おい、お前、さっき結界の調査に来たって言ったよな?」
訝しげな顔をしながら先程まで後ろに控えていた龍洋が前に出てくる。すると警戒心からか何故か阿和も烨霖の前に出てくる。
「あぁ、そうだが、、、」
「じゃあお前は陳烨霖の事も知っているな?」
「、、、知っていますよ、」
「(昔は師兄と呼んでくれて居たんだがな、、、まぁ呼ぶわけないが、、、)」
「私達は、金河派の若君にこの件の調査を任されたんです」
そう言えば龍洋の顔からは一気に警戒の色が解け、すぐさまこちらに近寄ってくる。だがそれを阿和が烨霖を引き寄せ、さりげなく遠ざけ、阻止する。それに気付いていないのか龍洋は特に気にしている様子もなく話し続ける。
「あぁ、、!!お前が若君が言っていたやつか!!」
「え、えぇ、、、」
この反応からして恐く若君が事前に何か伝書鳩のようなものを飛ばしてくれたのだろう。若君の気の利きように烨霖は心の中で感謝する。
「(若君、、!!また再会するまでにお土産でも買っておこう!!今はまだ無一文だが!!)」
「そうかそうか!!さっきは疑ってすまなかった。」
「毎日ここに来ているがここに来る人は随分と少なかったからな」
「なぁ、もし良かったらご飯でも食べに行かないか?」
急な提案に烨霖は驚いたが隣にいた何鋒煜が驚いていないことから事前にそう話していた事が伺える。こちらとしては調査の鍵にもなるかもしれない。それにこの2人とは5年程しか関わってないうえに100年ものの時が経っているため正体がバレる可能性は考えにくい。
「(この2人の話も、、、前世はあんな事になって全然聞くことはできなかったし聞けるかもしれない、、、)」
口を開こうとした烨霖はその前にとある事を思い出し、阿和を引き寄せ耳打ちをする。するとふと、阿和の胸元に何時もあった首飾りがなくなっている。だが烨霖がそれ以上気にする事はなかった。
「阿和、誘いに乗ろうと思うんだけどどうだろうか?」
「、、、、、、、、、嗚呼」
随分と間があったがその事はもう気にせずに烨霖|陳烨霖は笑顔で2人の誘いに応えたのだった。
第12話【完】
ここまで見て下さりありがとうこざいました! これからも頑張りますので微笑ましい目でこれからもどうかよろしくお願いします。🙇♀️
何か不備がありましたらすみません。
ではまた次回。
コメント
1件
あおいです🌷 第12話、読み終えました。烨霖が前世で助けた少年たち、鋒煜と龍洋との再会シーン、胸が熱くなりましたね…!特に、あの時必死に守った子供たちが立派に成長して、しかも烨霖のことを覚えていないまま再会する切なさ。前世の記憶がある烨霖だけが知っている“師兄”という呼び名が、もう二度と聞けないんだなと思うと、じんわり来ました。阿和の警戒心も可愛くて、4人の距離感がこれからどう変わっていくのか、すごく気になります。続き、楽しみにしていますね!