テラーノベル
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るみあ
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今回は緩い話ですので気長に見て頂ければ幸いです。ではどうぞ🙇♀️
第13話【その手を掴むのは】
食堂に着くや否や、龍洋は意気揚々と様々な食事を注文し始め、門派についての話題を切り出す間もなく酒を飲み、それもなんと数口で酔い始めたのだった!!
杯を勢いよく机に叩きつける音が食堂に響く。
「僕は!!!毎日毎日あそこを張ってたんだぞ!?寝る間も惜しんで!!!なのに何故だ!?」
「なんで陳烨霖は来ないんだぁ!!」
「僕は彼奴を捕まえるために、、毎日必死なのに!!きっと僕を弄んでるんだ!!」
龍洋は泣きべそを書きながらしゃがれた声を上げ、机にシミを作っていく。
杯の音に驚いて此方を好奇の目で見ていた食堂の人々はただの酔っぱらいが暴れているだけだ知るとすぐさま興味をなくし、こちらから視線を外す。
何鋒煜は溜息をつきながら酔っ払って食事の卓に突っ伏しながら大泣きする龍洋を慣れた手つきで介抱する。
「阿洋、そんな訳がないだろう?そもそも陳烨霖は君が来ていることすら知らないと思うよ?」
「あの、、彼は何時もこんな、、?」
「前はこんなんじゃなくて、1年前に”結界が壊されて、陳烨霖が復活したと噂になってからはずっと、、、」
どうやら龍洋は自分が復活したと噂になってから毎日結界の周辺を張っていたようだった。
それ程までに恨まれていた事に烨霖はすくならず悲しくなるが全ては自業自得なため、それ以上の感情を出すことはなかった。
「そんな事はない!!陳烨霖は一見明るく何も考えていない脳筋のような雰囲気だが本当は悪辣なんだ!!」
私はそんな風に見えてたのか、、、???
「僕が居ることなんて全部わかっててそれで敢えて僕に会わないようにしているんだ!!」
「僕はあの人を信じていた、、、なのに、、、彼奴はどうせ僕達の事なんてなんとも思っていなかったんだ!!」
その言葉に先程まで平然としていた烨霖の顔が強ばる。
「きっと僕達を救ったのも、、、門派の長老達や師父達を欺かせ、それで人目を盗んで悪事をする為だったんだ!!だから決して誰も傍におかなかった!!」
「僕達の事なんて、、、どうせ捨て駒としか思ってなかったんだ、、、」
泣き叫ぶうちに自分が悲しくなったのか最後の方ではその声は随分と小さく、弱々しいものになっていた。
顔を強ばらせるだけに留まっていた烨霖は次々と口にされる言葉に耐え切れなくなり、皺を寄せ、唖然とする。
自分なりに、この2人に愛情を注いでいたつもりだった。たとえ毎日は会えなくとも自分から会いに行ったりして2人の事を気にしていたつもりだった。大切にしていたつもりだった。だが、実際に失望され、その事を、その気持ちをこうして直で聞くと心臓が抉られたような感覚がした。2人を駒なんて思った事なんか一度だってない、勿論助けたのだって本当にこの2人の未来を案じてだった。
烨霖はふと2人に触れたくなり、手を伸ばす。だがその手は大きな卓を跨いだ距離で届くはずもなかった。しかし、その物理的な距離さえも今はまるで心の距離のように感じてしまい、伸ばしたその手が空を掴むのを恐れた。もし掴めば、この埋めることの出来ない距離を受け入れる事になりそうだったからだ。だが、長く手を伸ばしていれば疑問に思われる為、諦めて手を引っ込めようとしたその時、その手にふと、阿和の手が重ねられ、そのまま握られ、下にゆっくりとおろされる。
「私がいる。」
何故そんなことを言ったのか、どうして今、私の手を握ったのか。聞きたいことは色々あったが手から伝わる温度の熱さで気がそれ、質問しようとした事も忘れてしまう。
「(、、、熱い、、、)」
きっとこの熱は、周りの熱気に当てられたせいだ。
繋がれた手の熱に耐えきれなくなった烨霖はすぐに手を引っ込め、身体に籠った熱を発散しようとわざと龍洋の抱いている酒壺を取り上げ、一気に飲み干す。中の酒は半分以上残っていたため、少し喉が痛くなったが、そんなものは気にしていられなかった。
いきなり酒を奪われ、止める前に全て飲み干されてしまった龍洋はさらに涙を流しながら叫び声をあげる。
「ああああ!!!僕の酒!!」
そしてその様子を見ていた店主が機嫌の良さそうにこちらに近づき、感嘆のため息を零しながら話しかけてくる。
「はぁ〜!!お客さんすごいね!!それはうちの店でも1番強い酒なんだ!!」
「飲んで倒れなかったのはお客さんが初めてだよ!!」
「ははっ!そうか?昔から酒の強さは誰にも負けたことが無いんだ!」
「だがここの酒もすごい!あの名高い桃源酒では熱さも感じなかったがここの酒は体が熱くなってくるよ!!」
「それに美味い!これは男として飲まなきゃ損だな!度胸試しにもなる!」
わざと大袈裟なことを言い、さり気なくここの酒を宣伝し、店主の機嫌を取る。すると案の定店主は目に見えて更に上機嫌になり、烨霖の方へと近寄り、肩を叩く。
「お客さんはおだてるのが上手いなぁ!!ははっ!!料理を何かサービス致しましょうか?」
「ははっ、ありがとう、じゃあ料理の代わりに少し質問に答えて欲しいんだが、いいか?」
「嗚呼!構わないよ!俺は顔が広いんだ!どんな話でも知ってますよ!」
胸を叩いて自信満々にいう店主だが、次の烨霖の一言で一気に顔が曇り始める。
「今の門派間の噂を、教えていただけないでしょうか?」
「些細な事でもなんでも構いません。」
「えっ」
「、、、あー、、、それは、、、」
店主はバツが悪そうに龍洋達の方を見る。
何鋒煜は店主の意図を察したのか気まずそうにしながら優しく声をかける。
「あ、では店主、泊まれる部屋を手配して貰えませんか、、、?私はこい、、、彼を休ませるので、、、」
「おい!!!俺はまだ飲むぞ!!!?」
「もう君は飲んでは駄目だよ、、、毎回言っているけど介抱する私の身にもなって、、、」
頼まれた店主はすぐさま他の店の者に部屋の手配をさせ、2人を案内させる。
「では、私達は先に行きますね。部屋で待ってますので聴きたいことがあれば何時でも来てください。」
「あ、ああ、、、」
「(部屋で待ってる????私達も泊まらなければいけないのか、、、??)」
去っていく2人を確認した店主は待ちに待ったとでも言うように意気揚々と話を切り出す。
「では!!お客さん、知っていますか?今ここら辺ではこの噂が有名でして、、、」
まるで怪しい話をするかのようにこちらに耳打ちするような姿勢で手を顔に添えて話し始め、その雰囲気に烨霖も楽しげに合わせる。
「さぁ、知りませんね、一体どんな噂が、、、!?」
「実はここ最近、南の方の五代門派の1つ、霖唱派で死人が多いんだとか、、、」
「霖唱派、、、?」
霖唱派といえば、私と関わりの深い7人の一人である明丽がいる門派だ。明丽は高潔であり、品行旺盛でその清らかさは仙人と呼ばれるにふさわしかった。当然実力も凄まじく、お互いに実力を思う存分ぶつけられる数少ない友だった。そんな彼が居るのに死人が増えた、、、?それに彼には有望な弟子が1人居てその子も秀才だったはず、、、。
「何故死人が?」
「それがですね、、、どうやら霖唱派では怪しい人体実験が行われているんじゃないかって言われてて、、、」
「人体実験!?」
「何やら邪悪な術も使っていると、、、」
噂はそもそも、根も葉もない所から経つか何らかの根拠があって発生し、それが人から人へと伝わり、徐々にねじ曲がる事で生まれるものだ。だが人体実験やら邪術などあの品性を重んじる霖唱派とは無縁な言葉だ。死人が出ているとしてもあまりにもねじ曲がりすぎている!
「何故そう言われているのですか?霖唱派は品性を重んじていて、、まさか門主が変わり、その風習も途絶えたとか、、、」
「とんでもない!霖唱派はもちろん品性のある門派だ!でも最近はどうも雲行きが怪しくてなぁ、、、根拠もちゃんとあるんだよ」
「その根拠とは?」
「ほんの数ヶ月前、昔から霖唱派と関係が深かった栄商団の商団主が急死したんだ。それで新しい商団主が入ったんだが、、、その商団主は前商団主の隠し子?ってんで」
「隠し子、、、」
「そんで前商団主と仲の良かった商人の1人が気になって商団主をついて回ったんだとよ」
「そしたら商団主が何をしてたと思う!?」
店主が場の雰囲気を更にあげるために口調を強める。周りを見ればどうやらいつの間にかここの卓に大勢の人がこの噂を聞きたく、集まっていた。そして烨霖はその雰囲気に合わせて返事をする。
「一体何を、、、?」
「霖唱派に怪しい箱を渡してたんだ、、、!!その箱にはなんと怪しげな薬草が入ってたんだ、、、!!」
「名前は確か、、、ふめいそう?とかあれ、ふぞうそうだったか、」
店主の言葉に烨霖は目を見開き、信じられないような目で店主を見る。
「、、、まさか、、、腐餐草、、、??」
「あぁ!!そうだ!!それです!!どうやらそれは人を腐らせる効果があるんだとか、、、!!」
囲んでいた1人が怯えたような声をあげる
「なんだって!?そんな恐ろしい草があるのか、、、!?」
「俺も人づてに聞いたから本当かは分からないがな!」
「それで死人も多いことも相まって怪しい実験をしてんじゃないかって。違うならそんなおかしな草を欲しがる理由がないだろ? 」
「それに実はな、、、この商人、噂を広めた次の日に行方不明になったんだ、、、」
「なんだって!?それはもう確定みてぇなもんだ!何か隠しているに違いないだろ!」
その話に皆は納得し、それからお互いに様々な憶測や批判をし始める。だが、烨霖は未だに信じきれずにさらに質問をする。
「あの、、何故そんなことはないはずです。なんたって彼処にはそういう卑劣なことを嫌う明丽が、、、」
「明丽?さぁ、知らないな、どうやら数十年前から行方不明とだけ噂になっているが、、、」
「そう、ですか、、、」
明丽はそもそもその場に留まって何かするたちではなく遊歴しながら妖や鬼を退治している方が多かった。弟子が出来てからは霖唱派に留まっていたが、もう弟子は独り立ちして遊歴を再開していてもおかしくはない。
その後は段々と噂話というよりもなんの根も葉もない妄想の話になっていたため、頃合を見計らって烨霖達は店の者に龍洋達の宿の部屋を教えてもらい、そこへ向かった。
第13話【完】
ここまで見て下さりありがとうございました。もし 不手際などありましたらすみません💦
ではまた次回。
コメント
1件
ああ、この第13話、すごく好きな回でした…!龍洋の酔っぱらって本音をぶちまけるシーン、あの「僕達の事なんてどうせ捨て駒としか思ってなかった」って言葉、胸に刺さりましたね。烨霖が必死で愛情を注いできたつもりだったのに、それが届いてなかったと知るあの苦しさ。でもそこで阿和がすっと手を握る場面、あそこがもう…「私がいる」の一言が効きすぎてる。細かい台詞で感情をここまで描けるのは本当に巧いなと思います。伏線も仕込まれてて、続きが気になりますね!