✦「風間くん、実は学校で人気出すぎて困る回」
朝のホームルーム前。
廊下がざわざわしている。
「ねぇ、あれ風間くんじゃない?」
「昨日の球技大会、あのサーブやばくない?」
「笑うと可愛いよね……」
女子も男子も、なぜか風間くんをチラチラ見る。
(なんだコレ……風間くん、まさかの人気爆発だゾ!?)
しんちゃんは机の上にほおづえをついて、
なんとも言えない顔でその様子を眺めていた。
◆ 昼休み
風間くんの机の上には、いつのまにか大量の差し入れ。
・クッキー
・ラムネ
・「よかったらどうぞ!」のメモ付きお菓子
・「保健委員より。手首大丈夫?」のカード
風間くん「……これ全部、誰が……」
しんちゃん「人気者はつらいゾ〜〜?
オラの風間くん、モテちゃうゾ〜?」
風間くん「わ、笑いごとじゃないよ!
しんのすけ、ちょっと助けてよ……!」
そこへ、男子3人が風間くんを囲む。
男子A「ねぇ風間、今日部活手伝ってくれない?」
男子B「今度バドミントン教えてよ!」
男子C「お前運動神経いいよなー!」
しんちゃんの眉がぴくっと動く。
(ほほう……男子にも人気か……)
◆ 休み時間:突然の“取り合い”
女子「風間くんって彼女いるの??」
男子「え、彼氏だったり?冗談だけど!」
女子「ほんとに誰もいないの??」
風間くんは困り果て、言葉に詰まる。
(し、しんのすけに迷惑かけちゃうかも……
でも、嘘つくのもイヤだし……)
しんちゃんは少し離れたところからそれを見ていた。
「……ふむ」
そしてトコトコ歩いてきた。
「風間くーん、オラと次の授業行くゾ〜
はいはいどいたどいた〜」
風間くん「し、しんのすけ!?」
しんちゃんは風間くんの腕を軽くつかんだ。
女子「え?仲良いね二人……」
男子「幼馴染だろ〜?」
女子「でもすごい距離近くない?」
風間くんは顔が真っ赤。
(ちょ、ちょっと…!みんな見てる……!)
◆ 放課後:二人きりで歩きながら
しんちゃん「…で?どうだったゾ人気者。」
風間くん「ほんと……疲れたよ。
しんのすけが来てくれて、助かったけど……」
しんちゃん「オラ的には、風間くんが奪われそうでドキドキしたゾ。」
風間くん「奪われないよ。
……だって、しんのすけのことが好きなんだから。」
しんちゃんはすっと足を止めた。
「そう言われると、オラうれしいゾ。」
風間くん「……ちょっと。
外でそんな顔しないでよ、おかしいでしょ……」
しんちゃん「じゃあ家でニヤニヤするゾ。」
風間くん「外でニヤニヤしてるじゃん!!」
夕焼けの道に、風間くんの照れ声が響いていた。