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仮面は、もう割れた。
あの日、あの教室で。粉々に砕けて、二度と元には戻らない。
「Amia」という完璧な武装を失った私は、今、自分の部屋の鏡の前に立っている。
映っているのは、成績が良くて、物分かりが良くて、いつも笑っていた「彼女」じゃない。
生気のない目をした一人の子供。
なんだろう、これ。
誰が私を鏡の中から覗き込んでいるんだろう。
これが、私が必死に隠し続けてきた「中身」?
こんなに醜くて、弱くて、ドロドロしたものが、私の正体だった?
あまりの惨めさに、鏡を叩き割りたくなる。
私が今まで、必死に感情を押し殺してまで守ってきたのが、これかよ……。
でも、不思議と。
「Amia」を演じていた時よりも、呼吸だけは少しだけ深くできている気がした。
肺の奥まで、冷たい空気がゆっくりと入ってくる。
もう、誰の期待にも応えなくていい。
もう、誰も私の成績なんて見ていない。
今の私は、ただの「学校に行けない、壊れた私」だ。
「……これで、よかったのかもな」
喉の奥で、小さく呟いてみる。
今まで「偽物の自分」を維持するために使ってきたエネルギーを、これからは「自分を修復するため」だけに使えるんだから。
たとえ、「Amia」が完璧に割れ去ってしまったとしても。
このボロボロの私から、新しい物語を書き始めればいい。