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学校に行かなくなってから、スマホの通知はほとんど切っている。
でも、たった一人。「Amia」が割れる前、唯一、普通に言葉を交わしていた友達からメッセージが届いていた。
『実は私、入院することになったんだ。言えなくてごめんね』
画面を見つめたまま、指が止まる。
彼女はいつも明るくて、私のくだらない冗談に笑ってくれていた。
私がいじめの標的になりかけていた時も、さりげなく隣にいてくれた子。
彼女も、耐えていたんだ。
私が「完璧な優等生」という仮面を被って、泥の中を歩いていた時。
彼女は「元気な自分」という仮面の下で、蝕まれていく体と戦っていた。
私だけが、この世界で一番不幸だと思っていた。
私だけが、重すぎる荷物を背負わされているんだと、被害者面をしていた。
違った。
アスファルトの照り返しが眩しい校庭でも。息の詰まる教室の隅でも。
みんな、何かしらの「痛み」を抱えながら、必死に「普通」のふりをして生きていたんだ。
「……バカだな、私」
自分のことばかりで、彼女の微かな異変にさえ気づけなかった。
自分の味方をしてくれた子すら気づけないとか、なんのためにいい子を演じてきたんだ……。
でも、仮面を被っているのは、私一人じゃなかった。
届いたメッセージは、いじめられて不登校になった私への「同情」なんかじゃない。
同じハードモードな世界を生きる、戦友からの「合図」だった。
私は、震える指で返信を打つ。
「Amia」としての綺麗な言葉じゃない。
泥にまみれた、不格好な私の本音を。
「病気のことを隠して、笑っていたあなたへ。
一人で耐えさせて、ごめんね。
これからは、お互いに夜を越えていこう」