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nk side
彼が退院してから数日後、
俺らの関係は複雑になってしまった。
あの日、彼が部屋から飛び降りた日。
もちろん、彼が教室を出ていったすぐ後に追いかけた。
彼の言葉にはショックを受けたが、きっと彼のことだからなにか理由があるのだろうと必死に走った。
でも、その時にはもう手遅れだった。
彼の向かった先に、彼の家らしき建物が見えた。
その瞬間、鈍い音が響いた。
嫌な予感がした。
彼ならやりかねない、と。
俺は、恐る恐る家の周りを探索した。
それを見たとき、俺は全身の力が抜けて、その場に崩れ落ちた。
歩道には、
倒れたスマイルがいた。
飛び降り自殺。
怖かった。
見たくもなかった。
俺は何もできず、たまたまそこを通りかかった人たちが通報してくれた。
固まる俺を見た歩行者たちは心配してくれたが、そんなのに答える余裕はなかった。
スマイルが、死んだ?
大事な友達。
大事な恋人。
俺を救ってくれた人。
そんな人を見殺しにした俺は罪悪感と、無力感でしばらく学校へは行けなかった。
スマイルがいつ起きるか、ずっと待ち望んでいたことだ。
夜も寝ずに彼が昏睡している間も、ずっと病室の中で彼の側にいた。
夜だってろくに眠ることができなかった。
彼が元気になって嬉しいはず、嬉しいはずなのに…
「……っ、ごめ、ん…」
「また…っ、やっちゃった…ッ…、」
ここ最近、彼を避け続けてしまっている。
嫌っていると思われていないか心配だ。
まあ、避けているのは誰でもない俺自身なのだけれど、
俺はまた今日も、一人で帰る。
「…ただいま…、」
『あ、おかえり、ご飯できて…、』
「…ごめん、後で食べる、」
『ぁ…、わかっ…、』
ガチャッ…
俺は母の声も耳に入らず、一人部屋に籠もる。
そのまま布団へ体を埋める。
柔らかい布団は俺をしっかりと受け取って、俺を包んでいく。
このまま沈んでしまいたいとも思ってしまう。
スマイル
自分勝手でごめんね、明日は、明日こそ謝るから、
そして俺はゆっくりと瞼を閉じた。
次に移るのは、荒れ果てた自分の部屋だった。
どうやら、俺はそのまま寝落ちてしまったらしい。
体がだるい。
でも、今日こそスマイルと仲直りするから、
「…はぁ…、」
俺は軽くシャワーを浴びて、着替えて学校へ向かう。
『いってらっしゃい、気をつけるのよ?』
「…うん、いってきます、」
すっかり重くなった足を動かして、学校へ向かう。
いつものように登校して、席に座る。
まだスマイルが来ていない。
いつもは早く来てるのに…
そうだ、先生に…、
「…先生、」
『おぉ、どうした、』
「スマイル君は今日休みなんですか?」
『それがな…学校にも休み連絡が入ってないんだ…』
え……
スマイルが…?
……なんか嫌な予感がする、
『何事もないといいんだが…』
「…わかりました、ありがとうございます、」
今日一日、彼は学校へ来なかった。
「スマイル…」
放課後、俺はスマイルの家へ向かうことにした。