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うわあ…第13話、読み終わって胸がぎゅーってなったよ😭💔 鈴奈ちゃん、帰宅したら部屋荒らされてて500万も盗まれて…さらにタカシから電話で「金返せ」って追い打ち。もうダメかと思った瞬間に出てきた“別人格”が嘘の電話で切り抜けるシーン、めっちゃ怖いんだけどカッコよかった…!しかも「恒生とのロマンス楽しませてやる」って取引持ちかけてくるの、悪魔的な交渉術すぎる😨 この先、どうなっちゃうんだろ…続きが気になりすぎるよ〜!
恒生と別れて帰宅し、部屋のドアの鍵を差した途端に気がついた。
鍵がかかっていない。
朝、刑事が来てパニクった状態で家を出たから、鍵をかけ忘れたのだろうか。
ため息をつきながらドアを開けて部屋に入り、電気をつけた途端、鈴奈ははっと息を飲んだ。
部屋が荒らされている。
もともと貧乏が故にミニマリストと言えるほどモノは置いてないが、それでも小さいタンスの引き出しは全て開けられ、ローテーブルの上に置いてあったものは全て床に散乱していた。
泥棒に入られた? こんなボロアパートで?
鈴奈は半泣きになりながらも呆然と荒された部屋を眺めるしかなかった。
盗られそうな物なんか何もないのに。通帳くらいだろうか。それも残高は僅かのはず……。
そこで、はっとした。
500万円が入ったボストンバッグ!
慌ててベッドの下を覗いたが、ボストンバッグは跡形もなく消えていた。もちろん札束も全て。
盗まれたのは間違いない。
途方に暮れ、頭がくらくらした。意識が幽体離脱して天へと召されてしまいそうだ。
あのお金をどうするか、今日ずっと悩んでいた。タカシに返す、黒崎へ渡す、いずれにしても最悪の結果しか辿りつかない。
だけど、お金さえ手元にあれば、どうにか解決策を見つけて手を打つこともできただろう。
そのお金が、ない。
いったい誰がこんなことを。どうして私ばかりがこんな不幸な目に。
とりあえず警察を呼ばなくては、と思いスマホに番号を打とうとしたところで手が止まる。
この事件が朝方来た刑事たちの耳に入ったら……さらに状況が悪くなりそう。
どこから手に入れたお金か、厳しく追求されても答えられない。
スマホの画面を見ながら逡巡していると、突然着信音が鳴り出したので心臓が飛び上がりそうになる。
よりによって、タカシからだ。ああ、どうしよう……。
でも、電話に出ないと。無視なんかしたら、もっと厄介なこととなるに違いない。
「はい……」
『おう、スズナか。ちょっと折り入って頼みがあるんだけどよ』
「な、なんですか」
『昨日、渡した金な。あれ、いちど返してもらえねえか』
「は、はい?」
『実家からくすめたのが親にバレて、ちょっとヤバいんだ。ここは一旦、親にきっちり戻して改めてちゃんと借りるからよ。婚約相手が困っているとなれば、さすがに親も説得できるだろ』
「こ、婚約!?」
『なに驚いてるんだよ。婚約しようって言ったのはそっちだろ。再会したばっかりだけど運命を感じた。結婚に必要なのは時間じゃない、直感なのって言ってさ。その言葉を信じて、俺もスズナのかわいそうな弟のために急いで金を用意したんだぜ』
別人格の私は、なんてことを……。
鈴奈の心臓は今や、氷のようにすっかり凍えていた。
『これから金取りに、そっち行くから。住所教えてくれ』
もはや絶体絶命だった。
盗まれた、と言ったら信じてもらえるだろうか。いや、それは本当のこととは言え、嘘にしか聞こえないだろう。『金返せ』『返そうと思ったけど泥棒に入られた』そんなコントのような言い訳、誰が信じるだろうか。
ここは素直に、実はサギでしたと告白するしか残された道はない。
パニックで頭の中が、かあっと熱くなる。スマホを持つ手がぶるぶると激しく震え出す。
もう、これで私の人生終わりだ……。
そう絶望した瞬間、突然意思とは関係なく口が勝手に動き出した。しかもかつて鈴奈が出したことのないような甘い声で。
「ごめんなさい、タカシくん。お金を返したいんだけど、それはもう無理なの」
『無理って、どういうことだよ』
「病院に払っちゃったから。弟の病状が一刻を争う状態だったので、すぐに入金する必要があったの。やっとドナーも見つかったし、これで手術を受けることができる。本当にタカシくんには感謝してもしきれないよ」
『うっ、そうだったのか。そんな状況とは知らなかったから、いきなり金返してくれなんてすまん。親のほうは、なんとかこっちで説得するわ』
「ありがとう。ホント、タカシくんってば優しい(涙声)。ますます好きになっちゃった」
『よせよう。弟さんの手術が無事に成功するのを祈るぜ』
「大丈夫。ぜんぶ、タカシくんのおかげ。あっ、今病院だから、そろそろ切らなきゃ」
『おう、悪かった。じゃあ、またな』
「うん、次に会えるのが楽しみ!」
いつしか目の前に、もうひとりの自分がいた。
もうひとりの自分は通話を切ると、スマホを鈴奈に向けてぽいと放り投げる。
鈴奈はそれを慌てて受け取りながらも、唖然としてもうひとりの自分を見つめるしかなかった。
「ホントキミって、救いようのないバカだね」
忌々しげにそう言うと、鈴奈を睨みつける。
「こ、これって……いったい……」
「だって、サギだって白状しようとする寸前だったもの。あたしが出るしかなかったでしょうが」
「あなた……別人格の私!? どうして姿が見えてるわけ!」
「それは、キミを乗っ取る計画が着々と進んでいるって証拠よ。今はまだ、キミにしかあたしの姿が見えない幻影だけど、ここまで来たらそのからだを乗っ取るのもあと時間残り僅かってとこね」
「そんな!」
悲痛な声を上げる鈴奈に向かって、別人格は不適な笑みを浮かべながら人差し指を突きつける。
「いいこと。無能はあたしの邪魔をしないで。タカシは大事なカネづるで、これからたんまり搾り取る計画なんだから。そのために、キミのからだを利用させてもらうわ」
「い、嫌ですっ。お願いだからもう出てこないで」
「そう言われてもねー。キミは現実からもう逃げれないのよねー。じゃあ、こうしよう。キミはあたしとタカシの邪魔はしない。その代わり、あたしはキミと恒生の邪魔をしない」
「な、なにを言ってるの」
鈴奈はぽかんと別人格の顔を見つめる。その妖艶かつ狡猾そうな顔を。
「恒生のこと、サギとは別に気になってるんでしょ。あたしもキミと一心同体なんだからそのくらいわかってるって。キミが消えるまでのもう少しのあいだ、最後の思い出に恒生とのロマンスを楽しませてあげようって言うわけよ。悪くない取引だと思わない?」
「ちょ、ちょっと待って。そんな取引なんて」
「これで話は終わり。じゃあ、またねー」
別人格は小首を傾げてウインクすると、指をぱちんと弾く。
鈴奈がはっと気づくと……その姿は目の前からすっかり消え去っていた。