「眠た・・・」
何も考えることの無いそんな平凡な1日を送っている。あ、唐揚げが揚がった。
「店長。これ陳列していいっすか?」
「んー、もう任せるわ(笑)働き出してそろそろ4年ぐらい経つだろうし、上からも一応言われてるんだよね。ほとんど荘くんできてるから店任せて良いと思うよーって。っと言うわけで、明日から副店長ね。よろしく。」
「へ?店長!?いやいや俺そんなに出来ないですよ。まだまだ未熟ですし、わからないことだって一杯ありますよ。」
「大丈夫だよ。本部の方で一週間くらい研修あるからさ。そこら辺は気にしなくて良いと思うよ。」
店長・・その言葉が一番信用できない言葉トップ3に入る言葉ですよ・・・・
「は、はぁ・・・・・」
「とりあえず明日から、東京に行ってもらいます(笑)一週間近くの出張になると思うけど一人暮らしだよね?たしか」
「一人暮らしっすけど・・・話早くないっすか?」
「なら大丈夫だね。明後日の飛行機で東京行ってあとは現地に職員いるから「田中」って人で名札ぶら下げていると思うから多分すぐわかると思うよ。」
「はぁ・・・・」
「大丈夫だって(笑)給料上がるから(笑)とりあえず後は俺引き継ぐからさ。今日はもう帰っていいよ。荷造りとかしないといけないだろうし。おつかれさま」
「お疲れさまです。」
ことのなり行きで副店長になりそうだけど、なったらなったで休みの日無くなりそうだな。
あ、廃棄持って帰らないと夜ごはんが・・・
どこにでもいるようなフリーター。その言葉が彼の別名と言えるだろう。
荘 徹(そう とおる)。32歳。独身。
彼が不必要に縛られたくない理由。それは・・・・・
午後10時30分。みんなが寝静まった頃と言える・・・はず?
いやなんかそんな気がしただけでありこの表現に間違いがないことを証明したい。
荘は階段を駆け上がり、部屋の鍵を回す。ドアノブをひねり、開くとそこには。
「にゃーーーーお」
「待たせたなぁ。おぉぉぉ、よしよし。」
猫が待ってくれていた。猫と言っても野良猫と言う名の保護猫だ。実際金銭的余裕すらない彼だがどうやら、子猫という可愛さに負けてしまったらしい。帰り道の道路で見つけて、そのまま家の下の階段までついてきて根負けしてしまい、飼うことを決めたようだ。
「さてと。いつものやつやりますか。」
パソコンの電源をつけ開いたのはSkypeみたいな音声チャットのソフトだ。
あ、もう集まっているみたいだな。
ーピコン・・・
「来るの押せぇぞぉ!(笑)荘!(笑)」
「ごめんって(笑)仕事が少しだけ長引いてしまって。まじで申し訳ない。」
「KPがもう待ちくたびれてるぞぉ(笑)」
「いや全く待ちくたびれてないですよ。むしろゲームのデイリー消化できて好都合でした。」
「・・・」
「あれ?和樹は?寝ちゃった?」
「いやなんか、親に呼ばれたとか言って言っちゃったけど、帰ってこなくなってから30分ぐらい経ってるな・・・ちょっと心配になってきたぞ。」
「戦竜!和樹の家から一番近いよな。ちょっと家まで凸ってくれないか?」
「珍しく荘さん熱くなってますね。子猫拾ったときもそんな感じでしたね。」
「うるっさいっ!閃華。あいつの家元々やばいの知ってるだろ。もしかしたらの保険だよ。」
「へいへい。戦竜、只今いってきま~す。」
ードュン・・・・・
和樹生きててくれよ・・・
そんなことを考えてるといきなり目の前のパソコンが暗くなった。荘は一瞬何が起こったのかさっぱりわからず椅子から転げ落ちてしまった。そのひょうしに気づいた事がある。右上になにか写っている。これはなんだ?
ー突拍子も無いことに驚いたあなたはSAN値減少です。成功で1d3。失敗で1d5の減少です。
なんなんだこれは。いきなり出てきてSAN値減少ですだとぉ!?無茶苦茶すぎないか???
ーっというのは冗談です。あなたの身体能力に合わせてキャラクターシートを作成しました。それがこちらです。
頭に直接語りかける系は苦手なんだよなぁ・・・目眩と頭痛しちゃうから。出来ることならばやめていただきたい。っというかこの状況は紛れもなくクトゥルフ神話TRPGじゃないか。どうなってるんだ?
「おい!閃華!!!!聞こえたら返事してくれ!!!閃華っ!閃華っ!!」
返答は無い。っというかその場にいないような感覚を覚えた。いや、生気を感じることができない。接続切れとかじゃなく、今この世界に生きている人が自分だけなんじゃないかと思ってしまうほど感覚が消えている。消えている???どういうことなんだ・・・・?
「くそっ!!!どういうことなんだよ!!!!!リアルクトゥルフ神話TRPGをしろってことかよ!!」
ー察しが早いですね、荘さん。いえ、双頭ルーさん。
なるほど。このシナリオをクリアすれば出られるわけか。そして、俺のキャラクターシートをなんで知ってやがんだ。こいつは。
俺のキャラクターシートの名前は双頭ルーだ。それを知ってるっということは一体・・・。
ーなんか、「なんで知ってるんだよ。俺のキャラクターシートは未だ公開した覚え一切ないんですが?」みたいな顔されてますね。もちろん知ってますよ。人子知能、いわゆる君たちの世界でのAIと言われるものなんですから。知ってて当たり前です。
「そうか。その人工知能様が俺らになんのようなんだ?要件済んだんだろ?ならもう現実の世界に返してくれよ。和樹が心配なんだよ。」
ー双頭さんに良いお知らせです。(笑)
何だこいつ。何をにやけてやがる???そんなにおかしい事があるのか?
ー和樹PL。キャラクター名、渉。クトゥルフ内にて耐久力−2のため死亡いたしました。誠に残念ですね。とてもいいプレイヤーでしたのに。
「は?嘘だろ・・・あの和樹が死んだ・・・だと・・・?そんな・・・・馬鹿な。そんなことある分けがないっ!!!証拠はあるんだろうな??和樹が死んだという証拠が!!」
ー聞き分けのないプレイヤーですね・・・。私AIも流石に疲れてしまいますよ・・・。それにこの口調もかなり疲れるんですよ?もうちょっと大人しくしてくれてもいいじゃないですか・・・。
「だったらいつもの口調に戻せよ。」
ー分かりました。いつもの口調に戻します。
どんな口調になるんだろうっという期待を少しでもしてしまってる自分がいることに恥ずかしさを覚えてしまった。ってか和樹が死亡したって言う証拠は!?
ーあー。疲れた。んで、和樹PLが死亡した証拠ね。ほら。和樹PLの頭だよ。
ゴトッ!!
鈍い音が響いた。高さも深さも奥行きも何もわからない暗闇の部屋に、重たい何かが音を立てて落ちた。それはきっと、紛れもない和樹の頭なんだろう。
「か、和樹・・・・・・」
ー人間の構造的に、首から切り離されてる時点で死亡は確実。それでもまだ希望にかけるというのか??無理に近いだろう。既に和樹PLは死んでいる。何をする気だ??
「既にクトゥルフ神話TRPGは・・・・始まっている。だったら・・・」
そう言い放ち、荘は手を伸ばした。すると、彼の手の中に一筋の光が吸収された。吸収されたというより、彼の手の中に光が集まっている。そして、その収集が終わると、彼はこう言い放った。
「特殊技能。死者再構築蘇生!!!!!!!」
彼の声は、どこまでも響き渡った。響くはずのないこの部屋の中に。響き渡った。
〜MP全消費。成功率10%。MP全消費につき補正+40%。最終成功率50%。ダイスロールを始めます。
「生き返れぇぇぇぇぇぇ!!!!!和樹ぃぃぃぃぃぃ!!!!」
〜1D100のダイスロール。結果8。クリティカル。クリティカルなので、MPの回復1D4と死者再構築蘇生+耐久値増幅1D3。まず先に、MP回復の1D4から。4。4の回復。次に、耐久値増幅の1D3。3。耐久値増幅3。これより和樹PLの再構築を始めます。
「クリティカル。これが俺らの絆なんだよ。見たか!!!AI!!これが君らには一生理解することのできない絆さ!!!」
ーなんなんだ一体この荘って人は。すぐに状況把握も出来てるし、普通の人間なら人の頭見ただけで逃げるぞ。なのにこいつは何なんだ。なぜすぐにこの世界がクトゥルフ神話の世界だと感づいたんだ。それに、特殊技能ってなんぞや。こいつの現実の職業はフリーターだったはず。人知を超えた力。一体どこからそんなものものが出てくるのだ。
〜再構築完了。和樹PLが蘇生しました。耐久値変化あり。+3。その他変化無し。
「ん?なんで俺生きているんだ・・・?って。あ、荘やん!!!ってここはどこなんだ!?暗っ!」
〜見たことのない暗闇に恐怖を覚えました。SAN値減少です。1/1D3の減少。1D100のダイスロール。成功。1の減少。
「和樹・・・和樹!!!!!」
二人は強く抱き合った。そりゃそうだ。死んだ人が目の前で蘇ったんだから。
ーえーと。揃ったかな。まさか死亡した和樹PLがここで蘇生して参加してくるとは思っていなかったが。まぁ、いっか。これより何人かでクトゥルフ神話TRPG をプレイしてもらいます。いつもどおりのやり方で構いません。KPは私が行います。では。仲良くゲームを楽しんでください。それでは。
これより。クトゥルフ神話TRPG 「真実と嘘」。開始いたします。
コメント
3件
めっちゃ好きです! フォロー失礼します。
すいません。クトゥルフ神話TRPG の導入部分をあらすじに書いてしまいました。物語の導入とシナリオの導入には少し差異があるかもしれないのですがご了承くださいm(_ _)m