六葉が所属する委員会で次期イベントの企画書が生徒会に提出された。
六葉が熱意を込めて準備した、魔法を使った慈善活動の企画だった。
生徒会室での報告の際、隷は無表情で企画書に目を通した。
「…この企画は却下する」
六葉は驚いて顔を上げた。
「え、ですが、収益性、安全性、社会的意義も考慮して作成しました。過去の企画と比べても—」
「意義など不要だ。効率性が著しく低い」
隷は六葉の言葉を遮った。
「慈善活動など、学園の主目的ではない。時間と魔力のリソースを無駄に割く必要はない。君の私情が混じりすぎている。再考せよ」
彼の判断は生徒会長として完璧に論理的で、一切の私情を排した。
以前なら、隷は企画内容の**「*六葉らしさ*」を見つけ、表面上は厳しくとも裏で少し手助けをしてくれるような微かな期待が持てた。
しかし、今回は違う。
そこにいたのは、ただの**冷酷な審査官**だった。
六葉は悔しさに唇を噛んだ。
この冷たさは、以前の彼が装っていた「*冷たさ*」とは種類が異なっていた。
それは、彼女の存在を**「*無視*」し、彼女の感情を「*拒絶*」**するための、強固な決意のように感じられた。
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