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27 - 第27話 バニーの日(蘭日)

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2025年08月21日

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多分、バニーの日ってこういうことじゃないんっスよね……でも自分、このうさぎさんガチ勢なんで……

🇳🇱さんが関西弁になっています。





「日本、聞いたで。」


珍しく何の脈絡もない話を始めたから、真剣な話かと思ったのだろうか。

膝の上の日本がまっすぐこちらをみつめてきた。


「今日、バニーの日なんやてな。」


ぽかんとした間抜け面。

情報処理にしばらく時間がかかりそうなので、頬の弾力を楽しませてもらうことにする。

相変わらずよく伸びるほっぺただ。


「ば、バニー……?」


しばしの沈黙の後、ゆるく息が吸い込まれる音がした。

指先の沈む頬にさっと赤みが差していく。


「まぁ、悪いようにはせぇへんって。」

「それ、悪い人が言うやつです!」


言葉の端に何やら不穏な影を認めたのか、日本が膝からするりと逃げ出した。


「オ、オランダさん……?もしかして……それって……」


俺の手元に収まった影に気付いてしまったらしい。

両目の黒に怯えとも期待ともつかない色が滲んだ。


逃がすものかとにじり寄る。


「まぁまぁ。騙されたと思て。ちょっときてみぃ。」


壁際に追い詰められたこうさぎは、可哀想にすっかり震えている。


「ほんとにっ……!一週間はダメって言いましたよね!?」


抵抗する間も与えずに、細い両手首を纏めて掴んだ。




***




「らいえっとはあひたはら、れす!」

「食うか喋るかどっちかにしぃな……。」


昨日提言したばかりの「一週間スイーツ禁止」を破りながら日本がワッフルを頬張る。


バニラアイスの上にたっぷりとかけられたハチミツが、チューリップ型のランプに照らされて、てらりと光を放っている。


「も〜……オランダさんのせいですからね。健康診断近いのに………。」

「いっつも暴食しとるやん。今更何も変わらへんて。」


てし、とかゆくもない拳を肘に喰らう。

形だけの降参をすると、手元のドリンクを指さされた。


「ひとくち。」

「はいはい。」


唇まで運んでやると、日本は嬉しそうにストローをくわえた。

気圧の変化に従ってストロー内をイチゴシェイクが登っていく。


「おいし〜……。あっ!フタがうさこちゃんのお顔になってますよ!」

「誰やその女。」

「ナインチェさんのことです。」


はい、と上機嫌にアイスを掬ったスプーンを差し出される。

どうやらワッフルをくれる気はないらしい。


背伸びに合わせて覗く鎖骨から視線を外し、手ずから冷たい甘さを受け取った。


しばらく黙ってビッグサイズのワッフルと格闘する日本をみつめていると、かわいいからと残されていたミッフィーの顔が小さな口に吸い込まれていった。


花びらのような舌が、名残惜しそうに薄桜色の唇をなぞる。


「ごちそうさまでした。」

「ん。」


会計を済ませて階段を降りる。

日本がシャッター音を充満させながら、壁一面に描かれた歴代のミッフィー達をスマホに収めていく。


「ストレージがミッフィーちゃんでいっぱいになっちゃいますね!」

「不審者やん。」


興奮で潤む両目と朱の差した頬。小鳥のような無邪気さを持った足取り。

どれもこれも俺しか知らないんだろうと思うと、嫌気が差すほど口角が緩む。


「全部かわいすぎます!」

「階段気ぃ付けや。」


日本は俺の話も聞かず、グッズも見に行きましょう、と腕を引っ張ってきた。




***




「かわい〜!!かわいいですオランダさん!」


グッズコーナ到着から早5秒。

光も驚くスピードでとあるグッズを見つけた日本を前に、眉間のシワが深くなる。


「流石生みの親ですね。とってもお似合いです。」

「……今だけ起源韓国にやってもえぇわ。」


睨んでも、うさ耳付きの帽子のせいで全く凄めない。

咎めようにも珍しく声を立てて笑われれば、出かけた文句を飲み込むしかなかった。


「ほんとにお似合いですよ、オランダさん。」

「……惚れ直した?」

「はい。」


限界まで踵を持ち上げた日本が、顎下の紐を引っ張ろうと手を伸ばす。

屈んでやると、ぴょこり、と耳が跳ね上がった。


「あははっ!」

「お前なぁ………。」


悔しさ半分で、手近にあった色違いのものを被せる。

日本が耳で遊びながらへにゃりと笑った。


「えへへ。お揃いですね。」


合法バニー。


そんな言葉が頭を掠める。

扇情的な黒うさぎもいいが、このお花畑さまにはこんなうさぎが丁度いい。


「帰んで、日本。」


そっとカゴにふたり分の帽子を放って、日本に手を差し出した。




(終)

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