TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

視点If

ないこ「はーぁあ、帰って来ちゃったなぁ。」

ここに何人住めんの??ってくらい大きなないこの実家に着く。昔ながらの日本建築だ。

うちも割りとデかいんやけどなぁ…やっぱ江戸から続く家はちげえわ。

先ほどから溜め息を着いては帰りたがるないこをなだめながらも、マンションの一部屋よりも余裕でデカイ玄関前に立つ。

If 「年末には会う予定やったんやから、その実家嫌いなんとかせぇ。」

ないこ「だぁってぇえ…」

If 「き、り、か、え」

ないこ「はぁあーい…」

ふにゃふにゃないこ、略してふにゃふにゃいこが気合いを入れるため、目を閉じ、咳払いをし、背筋を正した後に瞼を開いた。

ないこ「…さ、行こっか。」

何度目にしても慣れぬ切り替えに感心しつつ、自分もいつもの営業顔を作り、右斜め一歩ないこの前に出て、染み付いた動作で丁寧に戸を開く。

If 「お手をどうぞ。当主様。」

ないこ「やめてよ、俺とお前は対等。そう言ってくれたのはまろじゃん???かしこまるのは良いけど、俺のお世話は辞めて。後あんま上下関係も意識しない。」

いつもの接待なら「うん。ありがと」で済むのに、実家だと露骨に俺を立てたがる。仕事の場ではお前の方が上なんだって何度言えば解るんだ。自分の身分をわかっているのか?

If 「…良いんだな?」

こいつの身を案じて脅す様に少し強めの口調で訪ねる。

ないこ「なんなら命令しようか?」

が、効果は無かった様だ。ウインクしながらおちゃらけた様子で聞いてくる。

本当にコイツは、、

頭を抱えたくなるが、代表様の珍しいワガママだ。溜め息一つで手を打とう。

If 「ハァ、、わぁかったよないこ。嫌味言われても知らんからな。」

ベッと舌を出して威嚇すれば、ないこは微笑んだ。

ないこ「ありがと、相棒!」




視点ないこ

長ったらしい廊下を終えて接待の間に着く。まろには普段通りで良いよう言ったからいびられる事は無いと思うけど…いや、正確にはお得意の嫌味とレスバの強さ、、…最終的には暴力で解決出来るだろう。嗚呼、胃が痛い。

ないこ「失礼しまーす。」

ピシャッっとわざと大きな音を立てて俺の身長倍はあるであろうふすまを開ける。

母「ないこ!!お帰り。」

母が人の良い笑みを浮かべる。やめろよ今さら

父「少し背が伸びたか?ん?」

父が頭をポンポンと叩く。薄汚れたその手で触るな

ないこ「はは、そうかもね」

適当な返事をして向かいのテーブル席に座る。どうしてこんなにデカイのかわからないテーブルに疑問を感じつつ、この状況なら向かいとの距離が取れて良いとも思う。

If 「お久しぶりです、奥様方。お二人とも元気そうで何より。」

母「If くん、来てたのね!いつもないこがお世話になってますぅ。」

まろが両親に挨拶をする。こうして見れば普通の親なのにな。

挨拶なんて良いから、と声をかけてまろを自分の隣の席へ誘導し、ここへ来た目的を簡潔に述べる。

ないこ「話は聞いてるよね?一番街に行きたいんだけど。大神山に用がある。」

大神山の名を出すと、父が露骨に嫌な顔をする。

まあ無理も無い。大神山のふもとにあるりうらの故郷、そこで実の兄が殺されたのだから。理不尽な要求をしまくってた癖に…下克上されても文句は言えないだろう。怒りに任せて俺たち桃川家の立ち入りを禁じた。本当ならアポなんて取らなくても出入り出来るはずなのに、運が悪く一番街の所有権は父にある。

父「駄目だ。あんな貧乏人どもの住まう地域にうちの息子は連れて行けない。それに一族の掟を破るつもりか??」

まぁた出たよ一族一族って、自分の保身の為に一族を使うなよな。

ないこ「貧乏人ども、ねぇ?」

冷たく矢を射る様な目付きで父を睨む。誰のせいでそうなった?

ないこ「…俺さぁ、大神山出身の部下が居るんだよね。行きたいのもそいつのお願い。」

瞬間、父の顔が強ばる。当たり前だ。一番街の大神山出身。この世にその肩書きを持つ者は一人しか居ない。一時期新聞の見出しにもなって話題になった少年。

「人狼」だ。

馬鹿馬鹿しい。俺の報告から桃川家に都合の良い様にねじ曲げられた報道。被害者面で世間様に媚びを売るのはさぞかし気持ちが良いんだろうな。

ないこ「…掟、ってさ、当主が決めて、当主が定める物だよね?」

父「…何を考えてる??」

簡単な事だ。恵まれている者は困っている者を助ける。社会はそうあるべきなのだ。

そして…悪の一族は滅ぶべきだ。

深呼吸を一回。もう取り繕うのは辞めだ。

このジェスチャーを、まろは知っていた。

If 「…!、ちょ、ないこ!?」

慌てた様子のまろを無視する。ごめんね?俺見切り発車しがちだからさ、ちゃんと着いてきてよ。

ないこ「一から六の番街は、今この時から全て桃川家当主の物とする。」

loading

この作品はいかがでしたか?

310

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚