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レッスン帰り。
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音は珍しく、大きくため息をついた。
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「珍しいな」
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すぐ隣から声。
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「どうした?」
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「……なんでもないです」
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いつものように誤魔化す。
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でも今日は、続かなかった。
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「嘘」
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即答だった。
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思わず顔を上げる。
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「わかるよ、それくらい」
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逃げられないと思った。
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少しだけ迷ってから、音は口を開く。
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「…告白、されたんです」
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一瞬の沈黙。
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「へえ」
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それだけ。
でも——
空気が少し変わった。
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「同じクラスの人で」
「いい人で」
「ちゃんと考えたいと思ってて…」
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言葉を並べるほど、何かがズレていく感覚。
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「でも、周りに“付き合った方がいい”って言われて」
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足元を見る。
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「それも、そうなのかなって思って」
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静かになる。
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彼はしばらく何も言わなかった。
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「……で」
低い声。
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「音はどうしたいの」
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「え…」
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「周りじゃなくて」
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初めて少しだけ強い言い方だった。
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胸が、ドクンと鳴る。
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「……わからないです」
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正直な答え。
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彼は少しだけ息を吐いた。
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「ふーん」
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それだけ言って、前を向く。
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でも——
歩くスピードが、ほんの少し速くなった。