テラーノベル
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『変わらない未来』
蝉の声。
熱い空気。
ドズルはゆっくり目を開けた。
目の前には、公園。
さっきまでいた場所。
ベンチ。
溶けかけたアイス。
そして——
みるく「ドズゥ?」
隣から、不思議そうな声。
みるく「どしたと?ぼーっとして」
ドズル「……っ」
息が止まりそうになる。
生きてる。
普通に笑ってる。
血もない。
傷もない。
ドズル(戻った)
本当に。
みるく「熱中症?」
ドズル「……いや」
声がうまく出ない。
みるく「顔赤いよ〜?」
覗き込んでくる。
ドズルは思わず視線を逸らした。
ドズル(言ったら駄目…)
直感だった。
これは言っちゃいけない。
“知ってる”ことを。
ドズル(変に動くな)
慎重に。
今度こそ。
みるく「ドズゥ?」
ドズル「……もう少しここいるか」
みるく「え?」
ドズル「まだ暑いし」
みるく「お〜珍しい」
少し笑う。
みるく「じゃあ、かき氷食べる?」
ドズル「食べる」
そのまま、公園に残る。
時間をずらす。
帰るタイミングを変える。
たったそれだけ。
でも——
未来は変わった。
歩行者通路に行く時間がズレる。
あの車はいない。
事故は起きない。
みるく「今日は平和やねぇ」
ドズル「……」
ドズル(助かった)
ちゃんと。
助けられた。
胸の奥が少し軽くなる。
ドズル(終わった)
そう思った。
でも——
数時間後。
夜。
ドズルのスマホが鳴る。
知らない番号。
嫌な予感。
ドズル「……もしもし」
『……こちら、病院です』
空気が凍る。
『みるくさんのお知り合いでしょうか』
ドズル「……は?」
頭が真っ白になる。
『階段から転落し——』
その先が聞こえなかった。
——
病院。
白い廊下。
走る。
息が苦しい。
病室。
ドアを開ける。
そこにいたのは、
包帯を巻かれたみるく。
動かない。
ドズル「……」
理解したくない。
さっき助けた。
変えたはずだった。
なのに。
ドズル「なんで」
声が掠れる。
ドズル「なんでだよ……」
みるく「……」
返事はない。
ドズル(変えたのに)
未来を。
変えた。
事故は防いだ。
でも——
結果は同じ。
ドズル「……」
震える手で、ポケットを探る。
タイムマシーン。
まだある。
画面が淡く光る。
〈ループ可能〉
ドズル「……」
それを見た瞬間。
理解してしまった。
ドズル(終わってない)
これは、“一回変えれば終わる”話じゃない。
もっと深い。
もっと悪質な何か。
ドズル(未来が)
みるくを死なせようとしてる。
そんな感覚。
ドズル「……ふざけんな」
声が低く落ちる。
ドズル「絶対に認めない」
握る。
強く。
ドズル「みるぴえは、死なせない」
何回でも。
何十回でも。
たとえ未来そのものが敵でも。
ドズル「……ループ」
ボタンを押す。
また世界が、巻き戻っていった。
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