風呂から出た俺はリビングに戻るとテレビに夢中な梅先輩を見付ける。
皐月『何か面白い番組でもあったんすか?』
梅宮「皐月!?出るには早くないか!?まだ10分もかかってないぞ!?」
皐月『あー、俺基本シャワーしかしないんで、浸かると倒れるんスよ』
梅宮「えぇー!なら尚更皐月を見とかなきゃ…」
皐月『良いっす、自分のことはやれるんで!!』
この人は本当に自己中だなぁ、お節介だとも思ってないなきっと…。
でもそこに惹かれる人たちが沢山居たんだろう、今までも、これからも。
梅宮「ってか皐月!髪ちゃんと乾かしてないじゃん!こっち来い!乾かしてやる」
ポンポンとされた所が俺が獅子頭連で眠ってた膝の上だと思うと恥ずかしくなる…。
皐月『…ッ自分でするから大丈夫ですッ!』
梅宮「まぁまぁそんな事いわんで!」
腕を引かれて俺は梅先輩の膝の上に座らされた…。
この人は人のプライドを傷付けおって……。
梅宮「懐かしいなぁ、あの日も皐月は俺の膝の上で安心して寝ててくれたっけ、俺嬉しかったんだ」
皐月『??どうして?』
梅宮「初めて会った時皐月隈、酷かったから。ずっと寝れてなかったのかなって…」
皐月『……、梅先輩の言う通りだよ、俺ずっと独りで……。高校に入ってもまた1人なんじゃないかって……。でも、桜と出会って…梅先輩と出会って……。それに最近やりたい事も出来たんだ。』
梅宮「やりたい事?」
皐月『……、恥ずかしいけどさ、この街皆幸せに暮らして欲しい、だから俺頑張る、やれる事したい。ケンカはなるべくしたくないけど、今までサボってた分頑張るから……、梅先輩許してくれる?』
俺はほぼダメ元で言ってみたら、
梅宮「勿論!別に街の見回りを強制してた訳じゃない、街の、風鈴生が俺を助けてくれただけで、外の人間まで手伝えなんて言わない。でも皐月は風鈴に染まってくれたんだな!ありがとう、助かるよ…。」
優しく笑う梅先輩に俺は心が引かれた気がした……。
一室に2人、意識したら止まらなくなる……。
ドキドキと、心臓が緊張する…。
皐月『……、梅先輩。』
梅宮「ん?何だ?」
皐月『…、眠たくなったんでこのまま膝の上で少し寝ていいですか?』
梅宮「おう!勿論!おいで」
そう言われて俺は梅先輩の胸元に耳を済ませた。
そしたら……。
恥ずかしいくらいドキドキしてて、梅先輩も俺と一緒なのかと思うと恥ずかしくて……、でも、俺は……、桜も好きだし皆も好きだ、でも…梅先輩を見ると心臓がキュッてなって、他の人に渡したくなくて……、これがなんなのか分かんない。
皐月『…、なぁ梅先輩。』
梅宮「ん?どした皐月?もう寝る時間だろ?
寝る準備しよう」
皐月『俺寝る時間基本1時くらい何すけど?』
梅宮「えぇ!?それでよく高校来れてるな、すごいなぁ皐月」
皐月『…梅先輩は眠いんすか?』
梅宮「まぁ、眠いな…でも何か言いたい事…あるんだろ?聞くから……。」
皐月『あー、いっす!梅先輩が何時に寝る人か聞きたかっただけなんで!』
梅宮「…、ごめんなぁ、折角お泊まり初日なのに……、寝室借りるな…。」
俺はおやすみとだけ言ってリビングのソファーに体育座りして顔を埋めた。
俺は何を言おうとしたんだ……。
ダメだろ、叶わない。
気付いてた筈だ……。俺の為の梅先輩じゃない、みんなの為の総代だ。
この街の、守る為にいる人だから…。
俺がわがまま言っちゃいけないよな。
その日俺はリビングのソファーで寝る事にした。
一緒に寝てたら心臓が破裂しそうになるから……。
本当は傍で寝たい、温もりを感じたい、でも、俺と梅先輩は違う。
俺は、俺が思ってるのは家族愛とか、クラスメートとの友情でもなく、普通に好きなんだ。梅先輩の事、でもきっと梅先輩は俺の事そんなこと思ってない。
こんな感情今まで無いから…、どうしたら捨てれれるんだろう、分からない。知らない。だからダメ元で俺はある人に会いに行った。
桜「お前時間考えてるか?」
皐月『……、ごめん、でも、桜にしか相談出来なくて…。』
桜「わーったよ、簡潔にしろよ、お前も明日学校だし…。」
皐月『…?桜も学校なのに、俺の事心配してくれるのか?』
桜「言ったろ、俺はお前が好きだって、忘れたとは言わせねぇぞ」
皐月『…ッごめん、桜の事は好きだよ、でも俺わかんなくなった……。皆大事だけど…こうやって桜に話した所で俺、最悪だよな…』
桜は黙ったままで、気まづくなって
皐月『…、夜中にごめん、帰る、本当にごめん…。』
告げた瞬間目の前が桜の部屋の天井になった。
桜「…、俺じゃダメか?」
皐月『……へ?』
桜「だから!お前が好きだから、俺が恋人……じゃダメか?」
皐月『…ッ、何言ってんだよ、ごめんけど家で梅先輩寝てるし、ちょっと桜と話したかったんだ。』
桜「どーせ梅宮関係だろ」
皐月『え!?なんで分かったの!?』
桜「やっぱりか、カマかけて正解だな」
皐月『…はえ?』
桜「お前梅宮の話する時ずっと意識してたからさ…、でも俺は皐月、お前を諦めてないから…。待ってろよ!」
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