もっくん、ひろぱに愚痴ってます。
「……はあ」
俺は大きなため息とともに机に突っ伏した。
「おいおい、どうした〜?ちょっと前まで踊り出しそうなくらいご機嫌だったくせに」
そんな俺の様子を見てすかさず若井が突っ込んでくる。確かにご機嫌だった。冗談じゃなく突然踊り出したりしたくらい少し前までは本当にご機嫌だったのだ。
「はぁ」
「本当にどうしたんだ?何かあったのか?」
突っ込みに答える事もせず、顔もあげないまままたため息をついた俺に今度は本当に心配そうに聞いてくる。
「涼ちゃんとケンカでもしたのか?」
「……」
涼ちゃん絡みだと言う事はバレバレらしい。
「なぁ、若井。涼ちゃんって本当に俺の事好きだと思う?」
「はぁ?付き合いたてのバカップルが何言ってんだよ。涼ちゃんお前の事めちゃくちゃ好きじゃないか」
元々その傾向はあったが、付き合いだしてからというもの涼ちゃんはかなり俺につくしてくれていると思う。
「いや、好かれてるのはわかってるんだよ?」
「なんだ、ノロケ話か」
若井がつまらなさそうな顔をする。
「そうじゃなくてさぁ。涼ちゃんの好きって本当に『恋愛の好き』だと思う?」
「へっ?確かめ合って付き合う事になったんだろ?」
「まぁ一応そうなんだけどさ。涼ちゃん『元貴の望む事なら何でもかなえてあげたいから』って言ってOKしてくれたんだよね」
「それの何が悪いんだ?」
不思議そうに若井がたずねる。
「なんて言うんだろ?涼ちゃん優しいよ?俺のわがままだって何でも聞いてくれるしさ。でもなんか涼ちゃんから『恋愛的に』俺の事好きっていう情熱?が感じられないっていうか…」
「ああ、なるほど…」
俺の言葉を聞いて納得したように若井がうなずく。
「『涼ちゃんが俺と恋愛したい』んじゃなくて『俺が恋愛したい』って言ってるからそれに付き合ってくれてる…みたいな」
ふぅ、とまたひとつため息をつく。
「俺は涼ちゃんが他のヤツと仲良くしてたり、遊びに行ったりしたらムカムカするし、もちろん止めはしないけどたぶんちょっと嫌味言っちゃったりするよ?」
絶対に嫌な気持ちになる自信がある。
「でも涼ちゃんは俺が誰と仲良くしてようがそれこそ誰といちゃついてようが変わらず笑顔なんじゃないかなぁって」
『無償の愛』と言えば聞こえはいいが、つまりは欲しがられていないのと同じ事のように思える。
「う〜ん。難しいなぁ」
「前に比べたら贅沢な悩みだってわかってるよ?でも最近自信なくなってきちゃって…」
ああ〜っと情けない声をあげながら机に突っ伏していると、肩をポンポンと叩かれる。
「まぁ、とりあえず今は仲良くやってるんだろ?あんまり焦って深く考えすぎるなよ」
「…そうだよな」
「じゃあちょっと気分変えて久しぶりにゲームでもやろうぜ」
「ゲームか。うん、やろうやろう!」
こんな時には何もかも忘れて騒ぐのが一番。暗い気持ちは一旦心の箱にしまっておこう。
涼ちゃんが自分と付き合ったのは恋愛感情からではなく「優しさ」からなんじゃないかと不安になるもっくん。
コメント
6件
好きのベクトルの違いで悩むもっくんに、ニヤニヤしてます!笑 いつも更新ありがとうございます🥹✨ 楽しみにしてます♥️
涼ちゃん愛されてるねー(´˘`*) もっくんの思いが届いていることを願います🙏 続きが気になる(っ ॑꒳ ॑c)
おっ…と?次も楽しみです〜