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癒されないだとΣ( ˙꒳˙ ) これは重症や、、、
ちゃんと藤澤さんの家に行けたんなら👍 話し合うんだ!
もっくんがんばれー!
今日はレコーディングの日。俺の神経全てが一つの音も取り逃がさないように研ぎ澄まされていく。いっさいの妥協を許さず、何度も何度もやり直しみんなが俺の目指すもののためにひとつひとつ丁寧に音を積み上げていく作業。
「は〜い。もう遅いですし、今日はこのくらいにして残りは後日にしましょう」
その声にハッと時計を見上げる。集中し過ぎてこんなに時間がたっている事に気づいていなかった。ふぅ〜っと一息ついて張り詰めていた神経を緩めると一気にだるさが体を襲い、俺は思いっきり伸びをした。
涼ちゃんはどこだろう。今日は涼ちゃんとゆっくりして癒されたい気分だ。少し離れたところに涼ちゃんの姿を見つけ声をかけようとしたところで、別の誰かが先に涼ちゃんに声をかけた。
「おい、藤澤。久しぶり」
「えっ?もしかして高木?うわ〜、すっごい久しぶりだねぇ。もしかして今日のオケに入ってたの?」
どうやら学生時代の友達のようだ。俺はじゃましないように、でもやっぱり気になるので少し離れたところで帰り支度をしながら、チラチラと2人を盗み見ていた。
ずいぶん盛り上がって楽しそうに笑う涼ちゃんの声が聞こえてくる。…なんだかムカムカしてきた。
どうしても気になってそっと顔をあげでそちらを見た瞬間、相手の男が涼ちゃんの頬に手を添えて顔を覗き込んでいる姿が目に飛び込んでくる。カッと頭に血が上るのがわかった。今にも飛び込んで行きたくなる気持ちをきつく手を握りしめる事で我慢する。
すぐに相手の顔は離れていったが、それでも涼ちゃんは楽しそうに笑っている。
俺はそれ以上その場にいる事ができず、休憩室の方に引き返した。
「あれ?元貴。もしかして待っててくれたの?」
まだ俺が残っている事に気づいた涼ちゃんがご機嫌に声をかけてくる。
「遅くなってごめんね。ちょっと今日のオケの中に昔の友達がいてさ、話し込んじゃったんだ」
「…へぇ、そうなんだ」
「ん?どうしたの?元貴。変な顔してるよ?」
抑揚なく返事を返す俺に、涼ちゃんは不思議そうに首をかしげる。
「ホントにどうしたの?疲れた?」
「…確かに今日は疲れたかな。でも大丈夫だよ」
心配そうに顔を覗き込んでくる涼ちゃんに無理に明るい声を出して笑ってみせる。
「そっか。…どうする?今日俺の家くる?」
ちょっと恥ずかしそうに涼ちゃんがきいてきた。
「うん。行かせてもらうよ」
2人で並んで涼ちゃんの家に向かう。でもその日はさっき見た光景がずっと頭の隅から離れてくれなくて、涼ちゃんの家にいるにも関わらず全く癒される事はなかった。
もっくん陰キャ発動中。ちょっとした事でも気になって仕方がない。
コレって自分でダメだってわかってても止められないものなんですよね😓