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「で?もう1回説明してくれる?」
中休みに俺の話を聞いていたあさ美がうんざりした顔で言う。
「だ・か・ら!俺の愛が重いって話!」
「うん、それはわかった」
「でもそれ故に奏(そう)ちゃんのトラウマは乗り越えられたのかな〜って。俺の強い愛で」
「ごめん、何度聞いてもさっぱりわかんない…」
「なぁんでっ」
「なぁんでって言われても…要するに響と藤村先輩がラブラブってことで良い?」
「うん、まぁそうね」
俺は一応納得してニヤニヤしてしまう。
さすがに、あの話は女のあさ美に相談できないけどな。
「響ってあたし以外に友達いないよね?」
「いるわ!少しは…」
「じゃあ何であたしにばっかり話すのよ」
「俺と奏ちゃんのこと知ってるのあさ美だけだろ」
「あぁ、まあ確かに」
とは言え、性的な話は男友達じゃないと話せないよな。
しかも俺と奏ちゃん男同士で付き合ってる訳だし、それを理解した上で相談出来る友達なんて難しいだろ。
「それでも悩みは尽きないんだよな」
「ラブラブなのにぃ!?贅沢だよ」
「あっ今日、お昼休み奏ちゃんと食べる約束してる!」
「…お幸せに」
あさ美が呆れたように言った。
ねぇ、響のことあたし一生懸命吹っ切ったんだよ?
それでも藤村先輩と幸せそうにしている響が好きだから。
その強く結ばれた愛が本当にこの世に存在するなら、終わらない愛があるなら、
あなた達2人ががあたしに見せてよ。
愛に希望を見出させてよ。
「あさ美ーお昼食べよう〜」
昼休みになって、あさ美の友達が話しかけてきた。
「おっ、じゃあ俺行くわ!またな、あさ美」
「おしあわせにー」
「棒読みやめろよっ!」
俺は、奏ちゃんに早く会いたくて屋上まで走る。
「ねぇ、あさ美と沢尻くんて仲良いねぇー」
「席が近いから」
「それにしても、沢尻くんもともと可愛いというか中性的な顔してるけど最近男らしさも出てきたというか…めちゃカッコよくない?!」
「そっかなぁ、毎日見てるとわからん…」
「ホントにあさ美、好きじゃないの?」
「もう振られたよ、完膚なきまでに」
「何それ!聞いてない!ちょっと今日は外で食べよう!詳しく話聞かせて」
本当はまだ響のこと傷癒えてないけどなぁ〜
まぁあいいか。
浮き足立った気持ちで、俺は屋上の扉を開く。
そこに空を眺めている奏ちゃんを見つけた。
あー今日も綺麗だな。風に揺れている少し伸びた金髪の髪の毛。女神様みたいだ。
なんだか小っ恥ずかしくなって、ソロソロと奏ちゃんに近寄る。
「奏ちゃん」
「響」
「奏ちゃん、早かったね。もしかして授業サボってた?」
「いや、早く響に会いたくて急いで来た」
奏ちゃんて意外とキザなこと平気で言うんだよなぁ。
いや、めちゃくちゃ嬉しいんだけど。
また顔が熱くなってしまう。
俺は、奏ちゃんに近付くと腕をぎゅっとつかんだ。
「奏ちゃん…何でそんな歯の浮くようなセリフ言えるの?これ以上、奏ちゃんのこと好きにさせないで。頭がおかしくなるから…」
ついでに俺の股間もな。
「響はハッキリ愛情を伝えたほうが安心するタイプかと思って」
そう確かにそう。
好きとか愛してるって頻繁に言ってくれないと不安になる。
自分でも嫌だけど、だいぶメンヘラ彼女な俺。
「俺、奏ちゃんの手のひらですっかり転がされてるんだね」
と言って、俺は奏ちゃんの肩に頭を乗せて寄りかかる。
ああ、奏ちゃんの匂い。落ち着く。
「なんか響、顔赤くない?熱あるの?」
いや、貴方のせいです。
「ないよ」
「顔見せて」
と言って、奏ちゃんは俺のおでこを手で触る。
近い。奏ちゃんの顔が。
俺は我慢できなくなって
「奏ちゃん、キスしたい」
とお願いした。
「ん…」と言って、奏ちゃんが俺の唇に優しくキスする。
「響、ご飯食べよ」
「えっ、もうキス終わり?もっとしよ」
「昼休み終わっちゃうよ?それにここ学校だし、一応、ね?」
正直食欲なんかないよ。
昼休み1時間使って、奏ちゃんとイチャイチャしたい。
俺はふてくされながら、奏ちゃんと座ってパンを少しだけかじった。
「響、怒ってるの?」
「別に!」
「そんな顔されちゃうとな…」
奏ちゃんを困らせてしまった。
子供すぎて恥ずかしい、俺。
「響、パンくず口の横についてる」
と言って、奏ちゃんが指で取ってくれる。
「奏ちゃん、そこは唇で取ってくれるとこでしょ。このシチュエーションは」
俺は、ふざけて言ったつもりだったが
「粘るね、響…」
と言うと奏ちゃんが俺の唇に自分の唇を重ねた。
そして、奏ちゃんが今度は舌を入れてくる。
「奏ちゃ…」
言葉を発する隙もなく、奏ちゃんが俺の口の中で自身の舌を絡めてくる。
奏ちゃん、息できないよ…。
「はぁっ…奏ちゃん、ちょっとタンマ…」
俺が言いかけると、奏ちゃんは屋上のアスファルトの上に俺を押し倒した。
奏ちゃんが俺の体に重なり、上から見つめてる。
「響。ほらね、我慢がきかなくなるから嫌なんだよ、学校でこんな事すると…」
といいながらも、奏ちゃんはキスを続ける。
互いの唇が互いの唾液で濡れて、舌が絡まり合う。
あぁ、やばい。これ、ホント奏ちゃんの言う通りだ。止まんなくなる…。
「奏ちゃん…好き…」
そして、俺達は時間が経つのも忘れ夢中になってキスを続けた。
奏ちゃん…ここ一応学校だよ…。
って言ってたじゃん…。