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「おはよー」
「ざーす」
「オーナー!おはよぉ」
pubサクシード。
老舗なだけあって、先代からのお客様も多い。 比較的年配層が中心で、店内はいつも落ち着いた雰囲気だ。目新しい営業などしなくても、席は自然と埋まる。
その中でもナンバーワンの翔太と、ナンバーツーの康二は別格だった。
2人ともオーナー自身が引き抜いてきた。
「「ありがとうございましたー♫」」
最後のお客様を見送り、キャストも帰ってゆく中、隅の席でオーナーが売上金を纏めていた。
「だー!合わねぇ!くそ」
こんな事は日常茶飯事だ。もっとも給料計算や税金関係は外注している。だから日々の売上をまとめるのが、数少ないオーナーの仕事だった。
🧡オーナー?代わりましょか?
🩷お、康二おつかれ!助かったわ、頼む!
🧡あー、ココ、翔太くんの席、ボトル分付け忘れてんすよ。
🩷はぁ!?あいつー!翔太ー!まだいるか?
💙なに?佐久間呼んだ?
🩷ココ、ボトル分貰ってねーよ!!
💙うわ!まじ?やべ!……ごめん。
🩷1本連絡入れて、次回回収しろ。
💙へーい。
🩷あと、残って床拭いとけ。
💙げ、、
🩷後で戻ってくるからな。サボんなよ?康二、1杯付き合え!
🧡えー。僕もう帰ろうかと。
🩷深澤のとこで飲むだけだから、な?好きに歌って食って帰れ、な?
🧡わかりましたよ!もー。寿司頼んじゃおうかなー!
🩷とろたくな!!
ガヤガヤと2人が階段を下りていく音を聞きながら、翔太は床用ワイパーで床を擦り始めた。
💙ふー。こんなもんか。
🩷お、翔太、真面目にやってるじゃん
💙ん、綺麗なったと思います。
🩷だな、
佐久間はおもむろに近付くと俺の襟足を触りながら「こーんな汗かいて。ありがとな。」と素手で拭う。
💙わ、ちょ、汚いっすよ。
🩷汚くなんかねーよ。翔太は可愛いよ。
若干背の低い佐久間が、その真っ黒な目で真っ直ぐに俺を見ている。何故か目線を逸らすことが出来ずに顔に熱が集まるのを感じた。
💙なん…すか?
🩷顔赤い
💙赤くないです
🩷ふふ、かわいい。
じりじりと後退りをすれば、佐久間もついてくる。ついに行き場をなくした俺はソファーに尻もちを着く。
佐久間は俺の足の間に右膝を割り入れると、左手は背もたれに付いて、逃げ場を塞がれる。
顔が近い。
逃げ場を失ったまま、俺はその黒い目から視線を逸らせなかった。
🩷なぁ、翔太、俺の女にならねぇ?
💙っ!!……はぁ?
驚いてる俺を他所に右手で頬を撫でたかと思うと顎をくいと持ち上げる。咄嗟にキスされる!と目をつぶったが、柔らかい感触が触れたのは頬。ちゅ、っと軽い音がして佐久間が離れる。
🩷ご褒美。
固まる俺を他所に裏へと消える佐久間。
🩷あと、閉めとくから先帰れ。あ、今の話ちゃんと考えとけよ?
裏から手だけ出してヒラヒラと振る佐久間。
俺は何が何だか分からないまま店を出て、知らない間に帰宅していた。