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札幌から鶴見へ電報を送った日の夜.
「ねぇ菊田さん,お願いがあるんですけど.」
「何だ,言ってみな.」
「Can you give me one last kiss.」
「はぁ!?1回もしたことないのに最後もクソもあるか!!」
「最初で最後です!!登別から今日まで言いつけ守って良い子にしてたじゃないですか.それに.」
「それに??」
「もうすぐ帰れそうな気がするんです.」
「ほんとか!!ってことは誰かが暗号を解いたのか!?」
「この時点ではまだ誰も解いてませんよ.」
「やっぱり🌸の刺青も必要なのか.」
「これはきっと,この世界にくるための口実.意味はないと思います.」
「なんで🌸はこの世界に来たかったんだ.」
「…菊田さんに会いたかったからです.」
「お前正気か.」
「正気です.この行く末を知ってて,それを変えられなくても,菊田さんが居た事実は変わりません.もとの時代に帰っても忘れたくないんです.菊田さんと過ごした日々と,肌の温もりを…」
「最後のは,お嬢さんにしては良い口説き文句だな.思い返せば登別での出会いは最悪だったな,俺の部屋で素っ裸で寝てやがるし.これがなかったらお前はとっくに皮1枚になってたろうよ.」
「やっと返してくれた,私のウォークマン.」
「まだ鳴るか??」
「いや,充電切れです.古いから消耗が激しいんです.」
「最後に聴けると思ったんだがな.」
「歌えますけど…??」
「おぉ,その手もあるか.」
「キスしてくれるなら,良いですよ…??」
「急に我が儘だな.まぁ確かに言うこと守ってきたからじゃあ…」
頬に落とした.
「唇じゃないと嫌.」
「この期に及んで…!!」
やけくそで数秒唇に.
「これで…!?なんで泣く!!」
「もっと…」
堪らず舌も使った口づけを.
「ダメだ,これ以上はダメなのに…!!」
「もうひとつ増やしましょう.忘れたくても忘れられないこと.」
そう言って泣き続ける彼女に再び深い口づけをしながら.
「今からすることした瞬間消えるなんてことないよな??」
「ないです.これ してもしばらく消えないですよ.」
「なら,脱がすぞ…」
それからしばらくして,🌸を残してビール工場へ行ってしまった.
「あ!!」
🌸の身体が発火する.不思議と熱くない.
「ごめんなさい.運命を変えてあげられなくて.今はどうか安らかに,未来では傷つき合うことのないように…」
眠気に襲われ,意識を手放した.
有名な美術館のあの有名な絵画よりも,漫画とアニメで躍動する貴方のほうがずっと魅力的だった.写真に残したかったけど,写真は嫌いだから記憶に残るだけで十分.貴方に私はどう映ってた??
私は貴方が思ってるよりずっと、貴方のことが大好きですよ.
「…ゆめ.」
暖かい日差しが差し込む昼下がり,🌸は病院のベッドの上で目を覚ました.