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オムツミルク
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楽屋で二人。次の収録までは時間がある。
パイプ椅子に座り、長机に肘を付いて携帯を触っていた柔太朗。
「柔太朗」
近くにやってきた勇斗に視線を向けると、スマホを向けられており、いつもの如く無許可でTikTok撮影されているらしい。
この構図もすっかり慣れてしまった。
「好きなタイプは?」
「突然なに?」
ふと笑うと、早くと急かされる。
「波長が合う人?」
「それから? 」
「それから!?……んー、おしゃれで、笑顔が可愛い人。…あと年上?」
「ふーん?」
「何だよ」
「それ、俺じゃん?」
「自意識過剰」
「マジ?違うの?」
暫くの沈黙。
考えるように柔太郎の目が泳ぎ、勇斗に最終着地した。
「…そうなのかな?俺、勇ちゃんのこと好きってこと?」
首を傾げて上目遣いしてくる柔太朗。
「…ぶはっ、知らねぇよ」
「え、付き合う?」
柔太朗が人差し指で勇斗と自分を交互に示しながら言う。
「いやいや、そんな軽いノリ嫌だわ」
ぎゃははと笑い合う。
ピッと停止ボタンを押して、撮影を終えた勇斗。
柔太朗は一息付き、何日か後にアップされるのだろうとまた携帯を手繰り寄せると、覆い被さる人の気配で影ができ、見上げると勇斗がパイプ椅子と長机に手を付いて見下ろしている。
「どうしたの?撮影終わったんでしょ?」
「…さっきの」
「え?」
「だから、さっきの付き合うって話」
「うん」
撮影のノリだよね?と言わんばかりの顔の柔太朗をじっと大きな目が捕らえる。
「俺は本気なんだけど」
「…え?」
「だからマジで付き合って」
びっくりした顔で何度か瞬いて、またこれはドッキリか何かかときょろきょろ楽屋内を見渡す柔太朗。
「なんかやってる?」
柔太朗が思い切り怪訝そうな顔をするのに、笑ってしまう勇斗。
「は?大真面目なんだけど」
「信じらんないもん。絶対なんかやってるでしょ」
まだ疑っているらしいのに、勇斗は肩を竦めて、真剣な眼差しを向けると、柔太朗の顎を持ち上げてじっと見つめる。
顔を固定されて大きな目から視線を逸せなくなった柔太朗は、自然と上目遣いになり、戸惑う瞳が不安そうに揺れる。
その表情が勇斗の嗜虐心を刺激してきて、飢えた獣のようにごくりと喉が鳴った。
「…ごめん、柔太朗」
我慢できなくなった勇斗が、ちゅっと控えめに口付ける。
まさかキスされるとは思っていなかったようで、びっくりした顔で唇に手をやる柔太朗。
ライブ中など、勇斗とのキスは初めてな訳ではないが、そのときには感じなかった確かな熱を感じた。
「…嫌?」
顔を覗き込まれる。
「…そんなの、わかんな、…………んっ」
視線を落として呟く途中、否定されなかった事実が勇斗に肯定と捉えられたのか、今度は更に深く口付けられて、勇斗のシャツに縋り付くようにしがみ付く。そうすると片腕をスッと背に回して、ずり落ちてしまわないよう自然に支えてくれた。
歯を割られて、舌を差し入れられると、びくっと身体が跳ねるも、何故だか拒めない。
…じゅ、…ぷちゅ、と濃密で濡れた音が深く重く響き始める。
「…ふ、…んぅ、…」
そのときだった。
「佐野さん、山中さん、準備お願いしまーす!」
スタッフの声が楽屋外から響き、パッと離れる二人。
柔太朗は上気した顔で浅い呼吸を整えている。
色香に溢れたこの顔を人前に晒す訳にはいかないと、勇斗だけ「はーい」と声を返すと、柔太朗の頭にポンと手を置いて。
「先行ってるわ。適当に言っとくから、その顔直してから来いよ?」
可愛いすぎてヤバいからと付け足すと、ゆっくり扉に進み、「あ」と思い出したように振り返り。
「…俺の本気こんなんもんじゃないから。これから覚悟してろよ」
パタンと扉が閉まると、柔太朗は脱力する。トクトクと早い鼓動に胸のシャツを掴みながら。
これからって、これ以上どうなるというのか、どんな顔してメンバーの前で顔を合わせれば、ぐるぐる考えさせられるのに、「あーもう」と結局は勇斗のことで頭がいっぱいにされ、翻弄されているのが悔しい。
とにかく今は撮影だ。
軽く頬を弾き、何とか切り替えるとスタジオに向かう。
その後の二人がどうなったのかは、また別のお話。
コメント
4件
皆さま、ありがとうございます🙇♀️たくさんリアクションいただき、とても嬉しいです!ショートでのお話は書き殴り単発の予定ではあったのですが、続きを期待いただいているのなら少し考えてみたいと思います📝