テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
週末の午後。
窓の外には、冬らしい澄んだ冷たい空気が広がっていた。
「妹ちゃん」
咲がノートに向かっていた時、居間の戸口に悠真が立っていた。
「な、何ですか?」
思わず背筋を伸ばす。
「……ちょっと、出かけねぇか」
いつもより少しだけ真剣な声。
「え……?」
「息抜きだよ。勉強ばっかじゃ煮詰まるだろ。俺も気分変えたいしさ」
言い訳めいた言葉を重ねながら、悠真は視線を逸らした。
胸が跳ねる。
亮でもなく、美優でもなく。悠真が、自分を誘ってくれた――その事実だけで、咲の頬は熱く染まっていった。