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いつも素敵な小説ありがとうございます!見るのがとっても楽しみです…!
新作です。
捉えようによってはBL要素あるかも知れませんのでご注意。
⚠️ご本人様方とは一切関係ありません⚠️
あるところに、山麓に位置する小さな小さな村がありました。日々生きていく為に農作業をし、精進していくニンゲンたちの姿。それは後に、村が一国へと変化する予兆でもあったといいます。
〇〇帝国に代々、昔話として語り継がれてきた物語があった。国の中心にある大きな図書館にしか置いていないそれは、国に立ち寄る冒険者や旅人の話題に持ちきりだそうだ。
ただ、一国を築くだけの物語だというのに…__
「はぁ…ま〜たこんなのを送って来て」
山麓にある国の外れに存在している不気味な森。
冒険者たちの間で密かに話題となっているそれは、現在、彼の頭を悩ませている要因の一つでもあった。
広々とした机に置いてあったコーヒーカップ横に、呆れたように読み終えた本を置く彼。
「あの国王様は何がしたいのかねぇ?本当」
彼の指でクルクルと回る一冊の本。
それは先ほど出した、かの有名な「昔話」の本だった。今では一冊で勝負事が起こる程価値のついたものだが、彼にはそんなこと関係ない。
そもそものこと、興味がないのだ。
「…見廻りでもしますか」
本の1番最後の表紙に、チラリと書かれた森のこと。本が出回ったせいで目を光らせる冒険者が増えたかと思えば、森を尋ねる迷惑者[食料]がここ最近では急増していた。
よって、森の管理者である彼は、前日降られた湿気多量な森の中を見回る必要があるのである。
いつもの革靴から外用のブーツへと履き替え、鉄扉近くに掛かっていたカゴを背負う。
「…ん〜じゃ、行きますか」
追い出すか、はたまた「収穫」するか。
重々しく足を上げる彼とは反対に、山麓に位置する国から離れた遠い村。そこから歩いてくる小さな影があったことを、彼はまだ知らない。
ちなみに言えば、彼はこの「昔話」の出来事があった時以前からこの「館」に住んでいる。前代は生死不明だが、この大きな館に現在では彼1人となっている。
彼が寂しいという感情を抱いていたのは、これまたもっと昔のお話。
コーヒーの匂いが薄く漂う「食堂」のキッチン。木造で出来た床には、一箇所だけ、染み込むように「赤い液だまりの痕」が残っていた。
動いているのかも分からない冷蔵庫からは、血のように赤黒い液体が音もなく流れるばかりだった。