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のりもちさん
4,198
#魔法少女
なちょす
22
Scene.1:起きろよ。
平日の朝、午前8時過ぎ。
東京都内のとあるアパートの一室。
カーテンの隙間から差し込む光のなか、
ベッドの上で丸くなっている男が一人。
東問、25歳。 クイズプレイヤー。
今日の予定は、朝からの動画撮影。
本来は家を出ていなければならない時間だが、
本人の意識はまだ夢の中だった。
ピピピピ、ピピピピ――!
枕元に置いたスマホのアラームが 鳴り響く。
しかし問は、うっすらと目を開けただけで、
面倒くさそうに毛布を被ってしまった。
問「……んー……あと、5分……」
その時、
ベッドの上のスマホが再び振動し始めた。
画面に表示されている名前は――「東言」。
ピコン、ピコン、と容赦なく通知の嵐が届く。
『起きろ』
『今日何時入りだと思っての』
『電話に出なさい、問ちゃん!』
問「……うわ、言からだ……」
渋々スマホを取って通話ボタンを押すと、
秒で弟の怒声が飛んできた。
言『やっと出た! 何時だと思ってるの!
今日は朝からスタジオ入りでしょ!?
まだ布団の中にいるでしょ!』
電話の向こうから聞こえる声は、
もうすでに完全に支度を終えている響きだ。
問「……おはよ、言。いい天気だねぇ……」
言『のんきなこと言ってる場合じゃないよ!?
ほら、今すぐ起きる! ……って、 言ってる
そばから絶対また二度寝する気でしょ。
もういい、今からそっちに行くから、
鍵開けといて!』
ブチッ、と一方的に電話が切れた。
問「あーあ、切れちゃった……。
言、怒ると怖いなぁ……」
ふわあ、と大きな欠伸を一つして、
問はのろのろとベッドから這い出た。
Scene.2:問の家
それから15分後。
ガチャリ、と問の部屋の玄関の鍵が開いた。
合鍵をいとも自然に使って入ってきたのは、
撮影用のリュックを背負った東言、25歳。
綺麗にセットされた髪に、整った身なり。
問の双子の弟であり、東大卒のしっかり者だ。
言「お邪魔します……って、
やっぱり鍵開けっぱなしじゃん!
防犯意識どうなっていの、本当に……!」
靴を脱いでリビングに入ってきた言は、
案の定の光景に盛大にため息をついた。
ソファには昨夜着ていた服が脱ぎ捨てられ、
テーブルには飲みかけのペットボトルが。
寝室を覗くと、問はまだパジャマのまま、
ぼーっと壁のポスターを眺めていた。
問「あ、言。わざわざありがとねぇ」
言「誰のせいでわざわざ ここまで来ることに
なったと思ってんの?!
あと、一人暮らし始めて何年経つと思ってんの
自分の身の回いくらなんでもできなすぎ!」
小言を言いながらも、慣れた手つきで
クローゼットからパーカーとパンツを 出す。
言「ほら、ぼーっとしてないで着替えて。
昨日言ったでしょ、
今日は黒のパーカーで 行くって」
問「さすが言〜。
うちの弟は世界一優秀だなぁ。
お兄ちゃん、感動しちゃった」
言「はぁ、僕がいないとこの人、
どうやって生きてるんだろ……」
トホホ、といった顔をしながらも、
言は問が着替えるのを待つ間に、
散らかったテーブルの上を片付け始めた。
口では文句を言いながも、
兄の世話を テキパキとこなしてしまうのが
言だった。
Scene.3:朝ごはん
キッチンに立った言は、
冷蔵庫を開けてまた眉間にしわを寄せる。
言「……冷蔵庫の中、
麦茶とプリンしか入ってないじゃない。
ちゃんとご飯食べてるの?」
問「えへへ、昨日買おうと思って忘れてさぁ」
言「忘れるってレベルじゃないでしょ。
まったく……」
冷蔵庫の隅にあった食パンを取り出し、
手際よくトースターに放り込む。
ついでに、問が放り出していたバッグの
中身チェックも開始した。
言「財布持った? 台本チェックした?
スマホの充電は……って、ほら、
またコード刺しっぱなしだし!」
問「あ、ほんとだ。
言が来てくれて本当によかった〜。」
言「大げさすぎ! ……はい、予備の充電器、
僕のバッグから出しといたから入れて」
問がふにゃっと柔らかい笑顔を向けると、
言はなぜか急に耳たぶまで真っ赤に染めた。
恥ずかしさを隠すように、
トースターから焼き上がったばかりの
トーストを雑に皿に放り出す。
言「っ……! 別に、問ちゃんのために
わざわざ来てあげたわけじゃないんだからね?
たまたま通りかかったついで…
ってわけでもないけど、その……!」
問「ふふ、言、顔真っ赤だよ?」
言「赤くない! ……とにかく、
もうすぐ時間なんだから早く食べるの!」
バタバタと忙しない弟の背中を見つめながら、
問は美味しそうにトーストをかじった。
家は別々。
一人暮らしもしている。
だけど、 結局こうやってお互いの生活に
入り込んでしまう――いや、
言が無理やり入り込んできて
お世話を焼いてしまうのが、
東兄弟の日常だった。
玄関を出る直前、靴を履きながら、
言はやっぱりいつものセリフを吐き捨てる。
言「まったく、手がかかるんだから…。
次から本当にお兄ちゃんのお世話なんて、
もう絶対担ってあげないんだからね?」
問「はーい、じゃあまた明日もよろしく、言」
言「明日とは言ってない!
――ほら、 遅れるよ、行くよ!」
ぶつぶつ文句を言いながらも、 問のバッグの
ファスナーがちゃんと閉まっているか
確認する 言の背中は、
どこか満更でもなさそうだった。
コメント
1件
**はる。です!** 読んだわ〜。双子の兄弟の日常、めっちゃ微笑ましかった! 弟の言が口では「手がかかる」って言いながら、テキパキ兄の世話焼くの、完全に保護者じゃん。冷蔵庫にプリンしかないってツッコミも、合鍵でいきなり部屋入ってくるのも、もうこれ愛情だろ。言が照れて耳まで真っ赤になるシーン、最高に可愛かったわ。問のふわっとした天然っぷりも好き。続きでどんな撮影やってるのか気になるし、もっと兄弟の掛け合い見たいな〜🔥