「このはんばーぐとっても美味しいです!!」
「ふふ精一杯こねてましたもんね」
「主、俺の作ったはんばーくはいかがですか」
「美味しいです〜」
「あるじさま…!こちらも美味しいですよ!」
「ありがとう五虎退さん」
「随分と賑やかになってきたな」
「ですねぇ」
「皆で食卓を囲めるのはいい事だよ」
誰かとご飯を食べるのは1人で食べるよりずぅーっと美味しくて幸せだ。
「ご馳走様〜!」
「結構量あったはずなんだけど…すっからかんだね」
「燭台切さんのご飯はとっても美味しいですから何度だって食べれます!」
「ありがとう秋田くん」
「お皿、片付けましょうか」
お皿を厨に持っていきガチャガチャと音立てながら洗っていく。
「俺も手伝うぜ大将」
「お、助かります」
最近燭台切に洗ってもらっていたから本日は自分達の番だ
「皿の量も増えてきましたねぇ」
「だな。新しいの買うか?」
「買いましょうか、後で一緒に選んでくれます?」
「あぁもちろん」
ほとんどの皿を洗い終わった頃…
「そういえば大将」
「なんです薬研」
「風呂に入りたいって言ってたよな」
「あーはい」
「実は屋敷の風呂の裏側に扉があったんだ」
「ほう?」
「あそこからなら入っても気付かれないかもしれない」
「へぇ〜」
「だが」
「なんです」
「一人で行くなよ。」
「…行きませんよ」
じぃっ…と綺麗な薄紫の瞳で見つめてくる。怖いです薬研さん
「大将に何かあったら燭台切の旦那と長谷部の旦那にブチギレられるからな」
「あはは…」
「流石に一人で行ったりしませんから〜」
「勝手に行って傷作ってきたその時にはたっぷり消毒液を用意して待ってるぜ大将」
「ひぃっ」
冗談を言う目じゃない。ガチだ。消毒液に浸される。
「さて皿洗いも終わった事だし…」
風呂に入りたい
「ちょっと…覗きに行くだけなら良いよね」
こっそり裏口からタオルと着替えのジャージを持って外に出る
かなり遅い時間ではあるので外はなかなか暗い。だが前が見えないとかそういうレベルではなくて月明かりで前はしっかり見える
「さて確か風呂場はあっちだったかな」
実はこんのすけからここの地図を貰っていたので風呂の場所は分かる。
コソコソと慎重に進んでいく。
「おっここだ」
ぎぃっと扉を開けてみるとそこには湯から湯気が出ている風呂があった。
「おーーー!露天風呂だ!」
状態も素晴らしい。
「誰も居ないし…入っちゃうか…」
あらかじめ持ってきていた籠に服を入れてサササッとシャワーがある所へ向かう。
「わぁーーー数日ぶりのシャワーだーー泣」
久しぶりの風呂は最高に気持ちがいい。汚れた体が綺麗さっぱりになっていく
「気になってた所もしっかり洗えたしちょー満足だ〜」
本当はここまでにしといた方が良いのだろうが…
「目の前の温泉に入らず帰るのは勿体ないよね!!」
片足ずつゆっくりお湯に入っていく。
「絶妙なバランスの湯加減…!!たまらん!!」
「はわぁ疲れが取れますなぁ…」
「無防備に風呂に入るなんて呑気だな君は」
「うわっ誰!?!?」
「安心しろ。流石に湯浴み中の女性は襲わんさ」
真っ白な髪に服…
「もしかして貴方初日の時の…」
「血まみれで刀向けて来た人…」
「おい、もう少し他の言い方はないのか」
「真っ白美人とか?」
「はぁ…俺は鶴丸国永。鶴丸とでも呼べ」
「鶴丸さん」
「なんだ。」
「流石に湯浴み中に来るのまずくないですか」
「…」
「もっと他に来る時あったのでは」
「仕方ないだろいつ出ようにも君の周りには他の刀がうろちょろしてたんだ」
「あぁ…」
確かにここ最近一人でいる時はなかった。どこに行こうにも必ず数メートル以内に一振はいた
「変に問題起こすのも面倒でな、今日たまたま風呂に一人で来てくれて助かったぜ」
「…だからって風呂じゃなくても…」
「あー!もう良いだろう!!」
「それで一体私に何の御用で?」
「…驚きの一つや二つくれてやろうかと思って」
「はぁ…えっと…私の事…警戒してるんですよね」
「…しては…いるが」
「なんかこう、斬り殺しに来たとか試しに来たとか」
「君が悪いものではないのは既に知っている。」
「はぁ…」
「いきなり離れに行って仲間になるだけじゃつまらないと思ってな。外に出た時に穴にでもはめてやろうかと思ってたんだ」
「何考えてんですか…」
「てかなぜ仲間に」
「それは!!飯が美味そうだったからだ!!」
「即答過ぎません?」
「仕方ないだろあんな美味そうなもの見せ付けられたら誰だって腹が空く」
「良いんですか神が食で釣られて」
「神ではあるがその端くれの付喪神だ。食に釣られてもそこまで恥ではない」
「神様って意外と適当なところあるんですね」
「変に意地を張って獲物を見逃すくらいならさっさと食ってしまう方が楽だからな」
「へー…それで、来るんですか離れに」
「…行く…と言いたいところだが今行けば今度こそ屋敷の奴らが俺や君を襲いに行くだろう。」
「意外としっかりそこら辺の配慮はしてくれるんですね」
「後処理がめんどくさいだけさ」
「はぁ〜そろそろのぼせる…」
「なぁ一つお願いをしてもいいか」
「なんです?」
「…俺の分の飯も作ってもらえないだろうか」
「離れ来れないんでしょう?」
「弁当箱か何かに詰めて持って来れないか…?」
「…いつ持っていけば良いんです」
「!」
「また明日のこの時間にここへ持ってきてくれ!」
「はいはい了解です。そういえば燭台切の作ったものではないですが良いんですか?」
「別に構わないさ、それより俺はあのおむらいすが食べてみたい」
「…いつから覗いてたんです」
「…ちょうどそのおむらいすを振舞ってた辺りからだな」
「仕方ないですね。明日作ってきますけど出来栄えに文句言わないでくださいよ」
「あぁ!楽しみにしてるぜ!」
「あと明日も風呂に入りにきていいぜ。俺がいる間はこの風呂には誰も来ない」
「それは助かりますね」
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