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寺家side
苦しいと叫べば、誰かが助けてくれたのだろうか。
寂しいと呟いたら、誰かが寄り添ってくれたのだろうか。
自分がしっかりしないと、自分が角を、もとい、エースを有名にしないと。
いつもそんなことを考えては、途方に暮れる。
「どうした、大丈夫か?」
最近優しくしてくれる先輩が、俺の肩に手を置いた。
東京での仕事が増え、当然付き合いが必要となる。
差し出された手を振りほどくことは出来ない。
この人が俺に好意を抱いているのは分かっていた。
そのギラギラした目、俺のこと食いたくてたまらんって顔してる。
俺は甘えた声で先輩に頼み込んだ。
「先輩、飯連れてって下さいよ。」
「勿論、奢ってやるよ。」
「角も良いですよね?」
近くにいた角をちらっと見る。
聞こえているのかいないのか、こちらの会話には無反応だった。
「え、なんで角まで、」
「先輩、儲けてるし良いじゃないですか。」
あと、俺のこと抱くでしょ?
二人っきりになったら、手出すつもりやろ?
そう心の中で付け加える。
タダでなんて、そんな都合の良い話なんてない。
俺は先輩にカラダを捧げて、先輩は俺と角の飯を奢る。
あわよくば、バーターで仕事も貰えたりして。
「駄目ですか?」
俺の甘えた声に、先輩は断る術などない。
「いいよ、寺家くんの為ならね。」
俺はニッコリと微笑む。
それと同時に心が擦り切れていくのを感じた。
何が正しくて、何が間違っているのかも分からない。
そんな俺を見て、角がどんな顔してるかなんて、
知ろうとも思わなかった。