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アリスを乗せた牝馬のジュリアンが軽自動車ならば、アレクサンダーはトラック並みの馬力がある、速さも数倍早い
北斗を乗せたアレクサンダーは、あっと言う間にアリスを乗せた牝馬と10メートルの差を縮めた
アリスが制御不能になった馬から振り落とされる前に、横に並べれば大惨事の前に、なんとか助けられるかもしれない
興奮した馬同士を平行に走らせて接近することほど危険なことは無い、しかし北斗はやってのける決意をした
なんとしてもアリスを助けなければ
彼女にもしものことがあったら自分は生きていけない
アリスは北斗の希望だ!
命だ!
たった今自覚した!
俺はアリスを愛している!
それでもアリスを乗せた牝馬はとても速かった、成宮にはあんなに早く走れる馬はいたか?
そして近くで見ると、あれは調教が終わっていない、怠け物のジュリアンではないか
今彼女達が出している速度は、アレクサンダーとそう変わらない、競走馬候補の馬に匹敵するスピードだ
危険すぎる
ようやくアレクサンダーが追い付くと北斗が叫んだ
「アリスーーーーーっっ!! 」
アリスは後ろを振り向いて恐ろしい大きな雄馬の乗り手を見て驚いた
「北斗さんっっ???」
どうして北斗さんがここに?
問いかけよりも早く北斗がアリスと並んだ
二人はとんでもないスピードで疾走している
北斗が自分を見る形相はとても恐ろしかった
アレクサンダーはジュリアンと幅を狭めてきて、このままでは二頭はぶつかると思った瞬間
北斗がいきなりアリスのジーンズの腰のあたりを掴み持ち上げた
アリスは甲高い悲鳴をあげてもがいた
北斗はアリスを掴んだまま、有無も言わさず自分の鞍の前にドサッと座らせた
とんでもない怪力だ!
43キロのアリスを片手で軽々と持ち上げて疾走する自分の馬に移動させたのだ
あまりの出来事に彼は荒々しく野蛮に見えた
驚きすぎたアリスがバランスを崩して馬の上でひっくり返り、頭から落下した
アリスが地面に落ちるのを見て北斗の心臓は止まりかけた
咄嗟に手綱を離し、ジャンプしてアリスを両手で抱きしめ、一緒に落ちた
ドサッと北斗の背中は地面にたたきつけられた
うっ!
息が出来ない・・・・
咄嗟に落馬する時に、くるりと体をひねりアリスを自分の体に包み込み、かばって背中から落ちたがかなり痛い
暫くして呼吸が出来るようになった、青々と茂った芝生の上に落ちたので背中は骨折などせずに済んだと思った
「北斗さん??」
ボサボサの髪で葉っぱを沢山つけた、妻がむくりと起き上がって自分の下敷きになっている北斗を睨んだ
「いったいどうしてこんなことを?死ぬところだったのよ!!」
アリスが大声で叫んだ
北斗は息を荒げ、ポカンと怒るアリスを見つめた
背中が痛い、君こそどういうつもりだ?
そう言おうと口を開いた。その時キーンッと耳鳴りがした
まただ
いつもの緊張が襲ってきた、北斗は口をパクパクしたけど、荒い息が吐き出るだけで言葉が詰まって出てこない