テラーノベル
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朝起きて、顔洗って、コーヒー何か飲んで、家を出て、車から外を見て、あっそろそろ季節変わるななんて思ったりして、
時々若井とふざけて、時々涼ちゃんに甘えて、
ちょっとした仕草で喜んで傷ついて苦しくなって、毎日ちょっとずつ削られていく。
そして一人になって、家に帰って、時々死んだように眠って、夜の闇に溺れてしまいそうになりながら、今日も希望の唄を紡いでいく。
扉を開けてしまったら、もう1人で、こんな夜には誰かにそばにいてもらわなければ眠れない。
怖い、自分が夜に飲み込まれてしまいそうで。
車から降りて、珍しく明かりのついている自分の部屋を見る。いつもと違う、かすかな違和感。
「ただいま」
いつもなら、返事が返ってくるはずもなく、ただ暗く冷たい部屋に吸い込まれていく 言葉。でも今日は、
「ん?ああ、おかえり、もとき。早かったね。」
偽涼ちゃんがここに住み始めてから早三日が経った。最初の方こそ、この家に人がいることに慣れず、奇妙な感じがしていたものだが、誰かがいると言う事は意外にも温かく心地よかった。少しでも孤独を考える時間が減る。それは最近眠れていなかった俺にとって、とても都合の良いことだった。
「ご飯食べる?あっためてこようか?」
「うん、お願い。」
偽涼ちゃんはどこに見える人がいるかもわからないため、基本的には家にいる。でも、俺が仕事でいない間にどこかには行っているようだ。傷がなかなか治らないなと思っていたら、新しくできていっているようで、毎日包帯が増えていくから痛々しい。顔が涼ちゃんなだけに見ていてハラハラする。
でも、時間が経つごとに、こいつと涼ちゃんは全く違う人だってことがよくわかってきた。
まず涼ちゃんは俺ってあんまり言わないし、纏う雰囲気が全然違う。涼ちゃんはふわふわしてて、でも華やかで綺麗であったかい。偽涼ちゃんはなんだか、少しは踏み入れたくない感じがして、さらさらと悲しい。何より笑顔が柔らかい。柔らかすぎてなんだか泣いているみたいに見える。確かにそこにいるのに触れられない幻覚のように揺らいでいる。
「ほい、どうぞ。」
「ありがと、…そういえばさ、なんて呼べばいいの?名前、聞いてなかった。」
「名前、かあ…何だったっけなあ…、昔は呼ばれてた気がするけど」
「ふーん…あんまり呼ばれないの?」
「最近はね。他ので呼ばれてるからさ。」
うーん、と頬に手を当てて首をかしげながら考え始める。偽涼ちゃんは食事をしない。してもしなくてもいいらしいが。
「んー…ぅあ!スズカだ!」
「す、スズカ…?」
「うん、俺の名前。いやー、やっと思い出せた。」
ま…じか…いつかの例のやつじゃん…やっぱ双子だから名前も似てるってこと?ちょっと呼ぶの気まずいな…
「スズカ…スズカかぁ…」
「なに?知ってる人だった?」
「いや、多分、間違いなくスズカの双子の片割れの人がいるんだけど、その人と似てたから…」
「えっ、知ってるの?俺の片割れ」
「うん、超そっくり。」
「へえ、そっかあ…名前なんていうの?」
「涼架、だよ。写真見る?」
「うん、見たい。…ふーん…ほんとにそっくりなんだねえ…」
スズカは愛おしいものを見るような、甘くて優しい目をしていた。
スズカが写真を見ながらそっと呟いた。
「…とんだ奇跡もあるもんだ。」
「ん?なんか言った?」
「ううん、なんでもない。もっと聞かせてよ、涼架の話。」
涼ちゃんの話となると、思わず口が弾んで、お酒も入っていないのに饒舌に喋り続けた。スズカは終始優しい笑顔で聞いていて、涼ちゃんの天然話に笑い転げていた。
その夜、またあの大きな音が聞こえた気がした
はい!こんな感じでした!最後まで偽涼ちゃんの名前悩みました😅
そろそろ不穏な感じになっていきそうですね…
♡してくださっている方々、めちゃくちゃ嬉しいです、ありがとうございますっ!!
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