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夜の静寂を切り裂くように、志乃はひとり、暗い部屋の片隅に立っていた。
その手には、カイトから受け取った封筒。
中には、圭吾の過去の秘密が詰まった写真と文書。
「……これが、圭吾さんの本当の姿……?」
涙をこらえながらも、志乃の瞳は冷たく輝いた。
「私は、ずっと彼を信じてきた。
でも、彼が影の力を完全に制御できていないこと。
その影に飲み込まれて、私たちの未来を壊すかもしれないこと……」
彼女の心は決まっていた。
「私は自分の手で、圭吾さんを止める。
彼を救うためには、裏切りも必要なのかもしれない……」
志乃は静かに扉を開け、颯太のもとへ向かう。
颯太は驚いたように目を見開く。
「志乃……なぜ?」
彼女は冷静に答えた。
「私はもう、嘘に疲れた。
真実を知ってしまったからには、黙っていられない。
このままじゃ、みんなが傷つく。」
颯太は微かに微笑み、手を差し伸べる。
「一緒に、終わらせよう。新しい未来を創ろう。」
志乃はその手を取る。
その瞬間、部屋の外で圭吾の叫びが響いた。
「志乃……どうして……?」
彼の背中には、闇の影が静かに蠢いていた。
「ごめんね、圭吾さん……でも、私はもう迷わない。」
志乃の選んだ道は、愛か裏切りか。
その決断が、全てを巻き込む激しい嵐の始まりだった――。