次の日、昨日増えた傷と共に待ち合わせ場所に向かう
歩く度に傷がズキズキして痛かった
傷のせいか今日は集合場所に最後に集まったのは僕だった
優真)遅れてすみません…おはようございます
明人)おはよ〜
詩)優真くんが珍しく遅刻か…
優真)すみません…
義盟)別に俺らそんなに待ってへんで
麗)僕も今来たばっかだし
拓斗)…とりあえず学校行こうぜ
学校に行く道はいつもより長く感じた
手も足も…全身が痛くて苦しかった
我慢して歩いていたらようやく学校に着いた
明人)じゃあ今日も昼休みにな〜
詩)また後で
みんなと別れた後、靴箱に向かう
靴を履き替え教室に向かう
これから何が起こるのか全く知らない教室に…
教室のドアを開けると同時に全身に冷たい感触が伝わる
どうやら水をかけられたみたいだ
そして、教室にはその様子を見て笑うクラスメイトが何人もいた
優真)痛っ…何これ…
モブ1)ウケるんだけどw
モブ2)ムカつくからやっただけ〜w
優真)…
モブ1)自分が優等生ってことに浸ってる感じでさ…w
テストも100点取れなきゃ意味無いって俺らの事バカにしてるわけ?
いい加減鬱陶しいよw
モブ2)クラスでも浮いてるしw
水の冷たさが体に残る
2人の言葉が鋭いナイフのように心に刺さる
カッターで切られた跡が水のせいで余計に痛む
思わず鞄を自分の席に放り投げ教室を出る
痛みなんて今はどうでもよかった
ただ、1人になりたかった
今までの苦しみが今日爆発しそうだった
誰もいないはずの屋上に向かう
屋上の扉を開けると誰もいない世界が広がっていた
ただ雲ひとつない青空が広がっていた
壁の近くでしゃがみこみ空を見上げる
今まで自分がしてきたことの意味が急に分からなくなった
優等生でいる意味が分からなくなった
ずっと1人で心の中で考えた
少しすると誰かが階段を上がってくる足音が聞こえた
誰かが屋上に来る前に身を隠そうとしたがすぐに屋上の扉が開いた
義盟)あれ…優真くん?
こむさんがいた
不思議そうな顔で首を傾げている
優真)こむさん…どうしてここに?
義盟)俺は授業サボろうと思って来たんやけど
優真)そうだったんですね…
義盟)そんなことよりどうしたん?
義盟)全身びしょ濡れやん
優真)えっと…その…
義盟)……ちょっと待っててな
そう言うとこむさんはどこかへ行ってしまった
こむさんが出ていってから約5分後、また扉が開いた
手にはタオルを持っていた
義盟)こんな寒い日に濡れた体でおったら風邪ひくで!
義盟)ほら、これ使い
そう言いタオルを渡された
おそらく保健室から持ってきてくれたんだろう
義盟)着替えとかはある?
優真)…教室にならあります
義盟)取りに行ってくるか?
優真)嫌…です…
義盟)…そっか
義盟)じゃあ俺のジャージあるからこれに着替えや
優真)え…でも…
義盟)今は優真くんの体調が心配やから
義盟)着替えるところ見やんし大丈夫やで
こむさんは察してくれたのかジャージを貸してくれた
お言葉に甘えてジャージを着ることにした
少し自分より大きくて温くていい匂いがした
義盟)で、何があったん?
優真)えっと…
こむさんが隣に腰掛ける
自分のことを話すのがとても怖かった
けど、こむさんになら自分のことを話してもいいような気がした
気づけば口を開いていた
優真)長くなりますよ…
義盟)別にええで
優真)僕、優等生って言葉が大嫌いなんです
なんでも出来るイメージ持たれて…
ちょっとでも間違ったりしたら怒られて…
言われるだけで凄く怖いんです
初めて自分の本音をさらけ出すことが出来た
顔色一つ変えないこむさんを見て安心し、話を続けた
優真)僕の親ちょっと変わってるんです
優等生にこだわるんです
100点取らなかったら殴られます
門限までに帰ってこなかったら殴られます
ご飯を作るのが遅れたら殴られます
勉強しなかったら殴られます
義盟)そうなん…?
優真)はい…未だに体中に傷が残ってるんです
昨日も殴られました
カッターでも切られました
義盟)…え?
そう言い服をめくり腕の傷を見せる
傷は青痣となって体に残っていた
義盟)今は痛くないんか?
優真)もう慣れてますから…
優真)殴られても耐えれますよ
優真)…あと今日クラスで虐められました
義盟)…は?
優真)さっきびしょ濡れだったのもそれが理由です
義盟)虐められた理由は何か分かる?
優真)…僕が優等生として生きているのに腹が立ったみたいです
優真)ずっと僕のことそう思ってたみたいです
義盟)それで水かけられたん?
優真)そうです…
義盟)そうやったんや…
屋上に沈黙が走る
当たり前だ
こんな重い話聞かされたらな…
優真)ごめんなさい…こんな重い話して
義盟)別にええよ
義盟)優真くんのことちょっとでもしれた気がするわ
優真)虐めとか暴力のことですか?
義盟)まあそれもあるけど…
義盟)優真くん1人で頑張ってきたんやなって
優真)…!
初めてかけられた言葉な気がした
ただただ嬉しかった
義盟)よう今まで頑張って来たな
義盟)大丈夫やで、優真くんの努力は全部見たるからさ
誰かの言葉でこんなにも嬉しくなったことは無い
心が締め付けられるぐらいに
優真)ポロッ
優真)…あれ?ポロ
優真)あれ…どうしてだろ…ポロポロ
義盟)大丈夫か?
優真)ごめんなさい…ポロポロ
義盟)謝らんでええよ
優真)でもッ…
義盟)今は好きなだけ泣いたらええからさ
優真)…!
義盟)誰もおらんし…な?
そう言われ顔をこむさんにうずめて泣き崩れた
優真)…ずっと…ずっと怖かったポロポロポロポロ
優真)ずっと1人で…ポロポロ
義盟)優真くんはよう頑張ったよ
義盟)ほらこっちおいで
そう言うとこむさんは僕のことを優しく抱きしめてくれた
何も言わずただ抱きしめてくれた
その優しさがすごく嬉しくて余計泣いてしまった
少しの間我を忘れて泣いていたみたいだ
義盟)落ち着いたか?
優真)はい…大分
義盟)なら良かった
優真)話聞いてもらってありがとうございます
義盟)むしろ話してくれてよかったわ
義盟)…優真くん
優真)…?
義盟)もう1人で苦しくなったらアカンで?
優真)はい…
日当たりが良いせいか、寝不足のせいか
急に眠気が襲ってきた
優真)ウトウト…
義盟)どうした?眠いんか?
優真)…コク
義盟)じゃあ寝とき、俺の肩貸したるわ
優真)ありがとうございます…
優真)スースー
義盟)寝るのめっちゃ早いなw
義盟)…けど、それぐらい疲れとったんやな
義盟)…俺も寝よ
そうして2人の時間は過ぎていった
コメント
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めっちゃいいですね! なんか私も涙がでてきた... kmyuって最高ですね(இωஇ`。)
すぅ~~。 推しカプの、会話見ていると,,,, 倒れそう。死にそう。爆発しそう(???