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誰も口を開かなかった。フランスの死体を囲むように、四人はただ立ち尽くす。
耳に残るのは、血の匂いと、自分たちの呼吸音だけだった。
🇨🇳「ここには裏切り者がいる。でなければ、こんなことは起きないアル」
沈黙を破ったのは中国だった。
ロシアが眉をひそめ、吐き捨てる。
🇷🇺「……お前、まさか俺たちを疑ってるのか」
🇨🇳「疑わざるを得ない状況だからアル」
中国は冷ややかに言い返した。
その言葉に、北朝鮮が慌てて口を挟む。
🇰🇵「ちょっ、ちょっと待ってください! 中国さんは……中国さんだけは、絶対に違う! 俺は信じます!」
必死の声は、かえって空気を尖らせた。
ロシアは目を細め、北朝鮮を一瞥する。
🇷🇺「……ああ。随分と“忠犬”だな」
🇰🇵「……っ! 俺はっ……」
反論しかけた北朝鮮を、中国が軽く手で制した。
🇨🇳「いい。無駄な言い合いはやめるヨロシ」
淡々とした声音に、わずかに苛立ちが滲んでいた。
イギリスは黙ってその様子を眺めていた。
視線を伏せ、冷たい思考を巡らせる。
(――今、疑心暗鬼を煽る必要はないですね。勝手に亀裂は広がっていく……)
やがてロシアがふっと息を吐き、死体から視線を逸らした。
🇷🇺「……まあいい。フランスがどうなろうと、俺には関係ねぇ。次にやられるのが俺じゃなきゃな」
🇰🇵「おい!」
北朝鮮が怒鳴りかけるが、中国が低く抑えた声で制する。
🇨🇳「ロシア、言葉を選べ。状況を悪化させたいのアルか」
🇷🇺「悪化? もうしてんだろ」
ロシアの笑いは冷たく、底のない穴のようだった。
重苦しい沈黙が再び落ちる。
その中で、イギリスは一歩だけ後ろに下がった。
わずかに口元が緩む。
ほんの一瞬だけ――唇に浮かんだその笑みを、誰も気づかない。
(……順調に、崩れていきますね)
ザザッ
『どう壊れていくのか…笑』
『そうですね。楽しみです。』