テラーノベル
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重たい空気を引きずりながら、四人は会場の奥へと歩を進めた。薄暗い廊下のランプが、不規則に瞬いている。 足音だけが響き、そのたびに神経が磨り減っていく。
🇷🇺「……どこも同じだな」
ロシアが吐き捨てるように言う。
壁も床も鉄板、窓は一つもなく、扉は重厚な錠で閉ざされている。
中国は慎重に周囲を見渡しながら歩き続けた。
🇨🇳「罠かもしれないから気を抜くなアルよ」
🇷🇺「ちっ、いちいち疑い深ぇな」
ロシアが肩をすくめる。
その言い方には、どこか挑発めいた響きがあった。
北朝鮮は落ち着かない様子で二人の間を見比べ、必死に声を張った。
🇰🇵「……と、とにかく出口を探すんですよね!? こんなとこ、早く……」
しかしイギリスは黙っていた。
最後尾を歩きながら、冷静に三人を観察する。
(……予想通り。ロシアと中国、そして北朝鮮はすぐに分裂する……あとは、どこで手を打つか)
カキンッ
その時だった。
金属音が耳を打ち、背後の扉がガチャンと閉まった。
「……っ!」
一瞬、誰もが立ち止まる。
沈黙を裂いたのは、ロシアの荒い呼吸音だった。
🇷🇺「……てめぇだな」
振り向いたロシアの目は、血走っていた。目線の先には、イギリスがいた。
🇷🇺「最初から……フランスも、お前が……!」
イギリスは瞬きを一度。
口元にかすかな笑みを浮かべて答える。
🇬🇧「……さて、何のことでしょう?私は、ただこの部屋の鍵を閉めただけですよ」
次の瞬間、ロシアの拳が振り抜かれた。
鋼のような腕力が、イギリスの身体を壁に叩きつける。
衝撃で呼吸が途切れ、視界が白く弾ける。
🇰🇵「ロ、ロシア!? やめろ!!」
北朝鮮が叫ぶが、止めに入れない。
中国は冷静に見つめながら、ただ状況を観察していた。
🇬🇧「……っ……根拠もなく、疑うのは感心しませんね」ゴホッゴホッ
イギリスは血を吐きながらも、あくまで冷静に言葉を返す。
だが、その言葉は逆にロシアの怒りに火をつけた。
🇷🇺「お前のその余裕さが腹立つんだよ!」
ロシアがイギリスの首元を掴む。
ごう、と風を切る音。
次の瞬間――。
鈍い音が響き、イギリスの体がぐらりと揺れる。
胸元から赤い液体があふれ出す。
ロシアの手には、鋭い刃が握られていた。
🇬🇧「……っ……」
イギリスは口を開くが、声にならない。
わずかに唇が震える。
(――ああ。ここで、退場ですか)
最後の意識が薄れていく中で、彼の口元は
フッとほんの一瞬、歪んだ。
微笑みとも、嘲りともつかぬその表情を見て、ロシアはさらに憤怒の眼差しを向ける。
そして、イギリスの体は崩れ落ちた。
血の跡を残しながら、動かない物となった。
🇰🇵「……っ……」
北朝鮮は蒼白な顔で後ずさった。
中国はしばし無言のまま、その光景を眺め――何かを思いついたようにふっと小さく口角を上げた。
ザザッザザッ
『驚いた。イギリスさんが、ここで退場だなんて』
『あまり、聞こえません。回線が悪いのでしょうか』
『…また、誰か死んだ時に話を…』
プツ
『…ふっ』
コメント
2件
イギリスが退場したッッッ!! ロシア!!大正解だよ!!でも大丈夫かな!?疑われるよ!!