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「不発続き」
ジョディは不機嫌さを隠さずに、車の助手席を乱暴に閉めた。
ほら、手入れできない爪にささくれがある。ジョディは余計いやになり、ぶすくれる。
「仕方ないだろ」
言いながら後部座席に乗り込むジョン。
頭もボサボサで、とても清潔感があるとはいえなかった。
それこそ仕方ない。メキシコの麻薬カルテルが大規模な麻薬輸入を行うとの情報で、くるはずだった大量の荷物をしらみ潰しにもう3日もほぼ飲まず食わず。当然シャワーなど。
「元々あいつの司法取引の内容には、信憑性がなかった。だが動かないわけにはいかなかったろ、俺たちだって」
ああ、と低い声で唸りネクタイを緩める。
「こちらがこれ以上動くには、逆にその情報が必要だった。もう手がなかったからな…」
はあ、とジョディとため息のタイミングが揃う。どちらのものかわからない、汗の匂いがふんと鼻をかすめた。
「帰還命令です」
運転席が開き、どしっとキャメルが乗り込んだせいで車は大きく揺れる。
ジョディはむっとしてみせた。
「でしょうね」
キャメルが後部座席をきょとんと振り向いてから、ジョンが肩をすくめた。
次にキャメルがジョディを見たとき、もう目は合わなかった。
窓からは大きくカーブした高速道路が見える。
どこへ行くのか、どこへ帰るのか。我々は。
「薬品庫から盗まれた…なんですっけ」
「ニトロ」
ジョンとジョディは声を揃える。
「今回のカルテルとつながりが?」
「ない」
ジョンは背もたれにめんどくさそうに寄りかかって、胸元をまさぐった。
「ニトロなんか大量接種したところでトリップなんぞできねえし、いいとこ狭心症患者に使うくらいだろ」
タバコを見つけくわえ、彼は火をつける。
「あ、あの車内は禁煙…」
「ニトロってのはなぁ、並みのやつには使えねえんだよ。科学者だとしてもな、1滴でも」
ジョンは身を乗りだし、ふーっと煙を吐いた。「1滴でも温めたらオダブツさ」そしていつもの肩すかし。
「それにこのクソ忙しいってのに、んなもんまで追ってられっか」
「ちょっと」ジョディはようやく窓を開けてから、生暖かい風を感じ喋りだす。
「さっきから口も、手癖も。気を付けてくれる」
カルテルにニトロにもう、煙まで、冗談じゃない。
「あ、そうだ。赤井さんが追ってる捜査官の行方不明事件はどう…あ」
キャメルは空港からのセキュリティを抜けると、黙らざるを得なくなった。
「今朝の森林火災ようやく鎮火しましたね。はい」
「エドワード・グリーン」
薄暗い部屋の中に、彼の生歴が写し出される。多数の写真には子供を抱き、微笑ましい日常の一部が残されている。
「Xデー以降の行方がわからないのはもちろんだが、そもそも彼がその際に関わっていた事件はなんだったのだ?」
ざわつく室内。「あぁ、もういい」と正面の捜査官は首を振る。
わからない、ということか。と壁に深く背中を預け、赤井は低く唸る。
だが、と目だけ捜査官たちへ向ける。
部屋いっぱいの捜査官がこれだけ動いて行方が掴めないとなると…
「スパイ」
その言葉に全員が赤井を射抜くように見た。
「スパイ?」なんだそれは?うまいのか?とでも続きそうな声音。
「だとしても、なぜこの日を境に?」ひとりの捜査官が言う。「それはなにか欲しかった情報が手に入ったからじゃ?」「欲しかった情報?」
ざわざわとまた始まった会話に、どん、とデスクに拳が落ちた。
「行方不明になる捜査官など、潜入捜査をしていれば氷山の一角のようだ。なぜ彼に上は執着する?」
「だが、スパイだとしたら潜入させてみすみす逃してしまったということに…」
しん、として今度は誰も口を開かなくなったところで、いつものことが起きた。
「エドワード・グリーンを捜索、確保次第…」
「それは…生きたまま……?」
返事は誰からもなかった。
「はあっ」ジョディはピザ屋のコーラを持ったまま車のドアを閉めた。
家に帰りたい。シャワーを浴びて、飼い猫に餌をねだられたい。
「んだよジョディ?しこたまピザ食ったろ」ジョンがまだピザを箱から取り出している。
「だからなんだっていうの」
「ふ、ふたりともっ」
キャメルが小石に躓きそうになったとき、ジョディは足元に違う誰かの足を見つけた。
「あら」
子供だった。いつからいたのか。深く黒いパーカーをかぶっていて、男か女かわからない。
「ここはFBIの敷地内だから…」
女だった。女という年齢でもない。少女だ。
忘れないーー銃口の先にあるーーエメラルドに炎を灯したような瞳を。
「ジョディ!」
ジョンが胸元に手をいれた瞬間だった。
(だめーー)声になったかもわからない。少女のほうが、銃口をジョンに向ける方が速かった。
「ジョン!!」キャメルが叫んだとき、ジョンはすでに眉間を射抜かれ、駐車場に何も見えない景色を見て転がっていた。
「なんてこーー」
「お前」少女がようやく言う。本当に少女だ。恐らく7~10歳ほどだ。胸も膨らんでいないくらい。
背丈も小さく、取り押さえようとすれば可能なはず。
頭によぎるが、あの発砲の潔さ…そして、人を殺した後とは思えない感情の変動のなさ……。
ジョディはキャメルに首を振った。
転がってきたコーラが足元に当たる。
「お前!!!!」
再び少女が出した声に、ふたりは目を見開いた。
その声はーー…!
間違いなかった。FBIが学生時代に習う、相手を威圧、圧倒するときに出す声の出し方と同じ。
これは、FBIや警察、諜報機関の人間しか知らないし、教えられないはず。
「き、きみ…」
「そう。お前。お前に命令をやる」
少女はにたりとした。
捜査官ってのは命令に背いたら死ぬんだ。
「なんだ?」
室内にも銃声は届いていた。赤井はカーテンの隙間を覗く。
「ジョンーー!」車の後ろで目を開けたままのジョンがいた。
「なんだ、どうなってる!」
「あれはーージョディとキャメルだ!」
「あのガキは!?あれがやったのか!?」
「た、大変ですーー!」矢じりのような捜査官がドアを叩き割る勢いで入ってきた。
「…コントロール室の……こっ、げほっ」
「なんだ!!さっさと言ーー!」
「こっ、コントロール室の従業員がっ…数人なにか…なにか正体不明の液体を裸で塗られて、全員一緒に縛られています!!」
「正体不明の…」
赤井はぴんときた。「まずい。その従業員に動くなと言えーー今すぐに…」
爆発音で部屋が揺れた。スプリンクラーが作動し、画面は落ち、真っ暗になる。
「きゃああ…!」
ジョディは口に手を当てたが悲鳴は漏れる。
少女が出してきたのは、縄でしばった人間の手首だった。
爆発と手首で、ふたりはもう真っ青で足元は震えていた。
「薬品庫からニトロを盗んだのはわたしだ。それから」と、少女は建物へ顎をやる。「あれも、わたしがやった」
またあのぞっとする笑みで言う。キャメルがジョディの前に立った。
「なにが狙いだ!」
「二度とわたしに命令するな」
ジャギ、と弾が揺れる音がする。
「わ、わかった。よ、要求は…」
「お前はわたしが何をしたかお偉いさんに伝えてこい。それから忘れずに伝えろ、わたしがニトロだ。とな…女」
ジョディに銃口が向けられる。
「取調室へ連れていけ。話はそれからだーーわたしは罪人だからな…」
「ジョディ!キャメル!」
大量の銃口が少女に向けられる。「シュウ!来ちゃだめーーこの子なにかおかしいーー」
「頭の狂ってない犯罪者なんぞ、お目にかかったことがないんでね…」
「どけ」
少女はジョディの手をとり、銃口に向かって走り出す。
「やめろ撃つな!キャメルとジョディに当たーー」
一瞬だった。手にあったワルサーはナイフになっており、赤井が振り向いたときには(な、)「ぐあぁっ…」赤井は両隣の捜査官の頸動脈から、噴水のように吹き出す血で(に……っ)霧吹きをかけられたようになっていた。
「おい!!なんだあのガキは!」
「救急車!誰か救急車をーー」
接近戦ではナイフのほうが速い。
そんなことは映画やテレビでわかることだが……もう動かない捜査官を見下ろして思った。
ナイフが来る一瞬前に、肘打ちがきた。あれが見える捜査官は数いない。だが、確実に頸動脈を切るため肘で顎を上げさせたのだ。
「軍人のやり方だ」
「やめて!!取調室へ行くから!お願いぃっ!!」ジョディは掠れながら叫びながら言う。彼女はその間も銃口を向けた捜査官をどんどん撃ち殺していくーーそれも1発で。
ジョンーー!!
ジョディは涙で滲む瞳で階段を、少女の手を逆に引いて登り出した。
「服を脱いだ女の捜査官を」少女は取調室の壁をぐるりと目で一周する。「この部屋いっぱいになるように」「は、あ…」「じゃないともっと多くの人間が死ぬ、早くつれてこい!!」またあの声だ。ジョディはよろけながら取調室を後にする。
悪魔だーー悪魔が地獄を引き連れてきたーー…
「きゃああっ」
「ジョディ!」赤井が角を曲がってきたジョディを抱き止める。「あぁ、いや…どうしてこんな…!」「しっかりしろジョディ!俺だ!」顔をおさえられた体温に、はっとする。頷いたその顔に、安堵でぼろぼろと涙が溢れた。「シュウ…!」
ばたばたと横を通りすぎていく武装した捜査官に、「だ、だめ!だめだめ!」ジョディは首を振る。「キャメルから聞いた。駐車場にあった手首の縄から、指紋がとれるはずだーー」「おい」少女の声が天井のスピーカーからする。
ジョディは一気に血の気が引いた。
「この建物はもう、わたしのものだ。まだわからないのか?何かわたしにしてみろ、こうしてやる」
なんの音だ?一瞬皆がそう感じたがすぐにわかった。「まずい」「マスコミのヘリだーー!」「わたしたちはテロリストには屈しない!よって要求を受けるつもりはーー」
また建物が揺れた。ヘリが落ちた音だ。
「まずいですよーー長官は!?ヘリは民間人が乗って…」
笑い声がして、少女が喋る。「ほら。どうするんだ?わずかな少女に、FBI の建物を乗っ取られて…爆発させられて…世間はどう感じるんだろうな」
どうしようもない怒りで赤井は震えた。
「シュウ!」ジョディが赤井を揺する。
「あの子の言う通りに!何か、何かあの子、私たちに似たものを感じる!特別な訓練を受けた、まるで…」
「軍人」
ジョディははっとする。
「ジョディ、時間を稼げるか?」
「え、あなたなにする気…」シュウ!と叫んだとき彼は飛び出していた。
ジョディは首を振る。あの人のことだ、心配いらないはず。
「女性の捜査官は協力して!!早く!!」
「赤井さん!」他の捜査官が暗い湿った部屋で彼に駆け寄る。「犯人の要求は!?」「女性捜査官の安全は確保されているんでしょうね!」「キャメル」
赤井は捜査官をかきわけ、真っ青で動かずに座っている彼を見つけた。
「キャメル」もう1度呼ぶ。呼び戻されたように、彼の目に光が戻る。
「あ、赤井さん…」
「大丈夫か」
「あ、あぁ…はい…あの…」
「頼みがある。皆、聞けるか!」
捜査官たちは声をだして拳をあげた。
「時間がない。俺が思うにーーあの悪魔は、特別な訓練を受けている。それも軍人の」
ざわつく室内に、赤井は続ける。
「指紋照合、出ました!」
ひとりが叫ぶと、皆がそのパソコンに集まった。
「ふぅん。ママのほうがスタイルよかったな…」
少女はぞろぞろと入った捜査官を頬杖をついてさめざめと眺めた。
ジョディが最後に入り、裸でいっぱいになった部屋を見て思う。
これでは、狙撃できないーー。壁1枚くらいならと思ったが、こんなにぎゅうぎゅうに捜査官がいたらまず無理だ。
熱探知したとしてどこに少女がいるかわかったとしても…。と思ったところではっとする。
「座らないの?」少女は頬杖をついたまま椅子を見た。
時間を稼げと、彼は言ったが…
「あなた…」
「レディ・スミスーー」
スピーカーから赤井の声がする。少女はカメラを睨み上げた。
「ようやくわかったのか。随分と時間がかかったじゃないか」
「レディ・スミス…生まれはイギリスのマンチェスターだが、3歳でアメリカに両親と共に移住。だが…」
その3歳のときに、両親と兄と遭った事故で亡くなっている。
ジョディは目の前を見た。「どういうこと…」突然レディは立ち上がると、まわりの捜査官が壁に寄った。
「うぇぇっ…」レディは指を口に入れ、胃の中のものを吐き出す。びちゃびちゃと不快な音がして、SDカードが出てきた。レディは口の端の胃液をぬぐうと、またあの笑みを浮かべてジョディに渡す。
目の前にあるpcに入れ、見た内容にひゅっと息を吸い込んだ。
「これは…」
「長官!」ようやくの出番に、捜査官は皆敬礼する。赤井を除いて。
「つながるか?」赤井は頷く。「レディ・スミス…」長官の声にレディは眉をあげた。「誰?」「無理もない…最後に会ったのはあのーー」「事故の日」赤井は付け加えた。
「これはいったい…」
ジョディの目の前には、たくさんの子供たちが森のなかで走ったり、室内で試験をしているものだった。そして顔見知りがいる。「エドワード!」「エドワード・グリーンは…海兵隊員だ」
ジョディはクリックを続ける。子供ひとりひとりの情報だが、全員、死亡。とある…が、ひとつだけは違った。
「レディ…君は本当に優秀だった。いや、今もだ…たったひとりでここまでの被害を出すとは…」
「立派な兵器だと言えばいいだろう」
レディはひくり唇を動かす。
「…当時アメリカは国家をあげて優秀なスパイを作る計画を、莫大な費用を投じて行った…優秀な子供を各国から引き入れ…」
「森の奥地で人殺しを学ばせたの」
「じゃ、じゃあエドワードは…」
「今朝の森林火災」赤井は口を挟む。「遺体は指紋がカッターで取られ、歯形でも照合されないよう…」
全ての歯が抜かれていた。
レディはにぃっ、と笑うと、ポケットから取り出した歯をガチャガチャとテーブルにだしてみせた。
ジョディはもう、自分がなぜここにいるのかわからなくなっていた。
「自分たちの都合で…わたしを人殺しにしたーーお前たちが!!わたしの両親も兄も仲間も殺したーー!!」
レディは怒鳴り上げたあと、銃口をジョディに向ける。
「エドワードは計画の中止に伴って子供たちとその家族を始末したわ、だけど…わたしは向きすぎていたのよ…」
人殺しに。
「だからわたしだけは殺さなかったのよ、生かした。なら…わたしが何を学んだか…披露してやろうと思った…エドワード・グリーンにもね…」
「わたしがニトロだーー」赤井の声がする。「きみはそう言った」
「そうだ…きみの両親の事故は、蒔いたニトロの上を通ったときの発火でだ」
「そう…」レディはパーカーから瓶を取り出す。
「そ、それは!」無色透明、空気の入っていない液体ーー「そう」レディはまたカメラを睨み上げる。
「これだけでも、この階を吹っ飛ばすくらいの量はある」
「よせーー!動かすな!」
「取り押さえろ!」「そんなことしたらーー」
また爆発音がして取調室の電気が揺れる。
雑音と一緒に、捜査官の声がする。「従業員が気を失う前に、なにかーー箱を制御室に入れているのを見たと!」「確認します!」赤井はしばらく黙っていたが、はっとした。「だめだ!!ドアを開けるんじゃない!!おいーー」
レディは大きな口を開けて笑い出す。ジョディは気味が悪くて鳥肌がたった。
「ちくしょう!!雑音がひどくて声が届かない!」
赤井は走り出した。ジョディにはそれがわかる。
このままじゃ…シュウもキャメルもここにいる全員がーー
「ちなみに。麻薬カルテルの麻薬、どこにもなかったでしょう…まだ調べてないところがあるんじゃない?」
ジョディはもう気づいていた。
「…人間のからだの中…」
レディはまた笑う。嘲笑うように大きく大きく…。
「致死量が入ってるよ?袋が胃酸で破れたら…もう泡になっちゃうね?人魚姫みたいに…」
「開けたらだめだーー!!」
コントロール室が襲われたのは、ニトロの爆発音度を計算して、だ。
指紋を残したのも、手首をわざと切ったのだ。片手さえ動けば、人間は縛られていれば抜こうと…縄を擦り合わせる…それがニトロだとは知らず。
ニトロの爆発感度はとても高い。液体を激しく揺らしただけで爆発する。
ニトロは40度、下は約14度でーーそこから赤井の記憶は一瞬ない。
キャメルが火の海になっている通路から連れ出すまで。
「司法取引よ、お姉ちゃん」
ジョディは逃げ出す捜査官の中、同じように立ち上がった。
長官の声がする。「わかっている…」「長官?!テロリストに屈するおつもりですか!?」
だが、まだ子供なんだ。この意味を、わかるだろう…
ジョディは口を激しく噛み締めた。
わかっている。こんなに壊滅的な被害を、しかもFBI自身が作り上げたモンスターにやられたと世間に公表するわけにはいかないし、できない。
もちろん、あの計画だって…レディ・スミスが死ねば…
「わたしは死なないわ。いつも殺る側なの」
「要求はなんだ」
レディは銃口をまたジョディに向け直す。
「今回すべての罪状の免除」
「なにをーー!!」ジョディは首を振る。「そんなことーー!」「わかった」長官の声に、ジョディはカメラを見上げる。
「長官!!」
「それから…」レディはテーブルに乗り、キスするほど近くに寄ってきた。
「この女の命と引き換えに、わたしを安全な国へ…そうだな。日本がいい。わたしには日本の血が入っている。亡命させろ」
「ーーよかろう」
「だって!」レディはようやく、年相応に笑った。「よかったね!お姉ちゃん!」
「…っ!」
ジョディはレディに掴みかかり、そのままテーブルに倒れた。
「やめたほうがいい」レディはまた、あの低い声を出して、ニトロの瓶を見せた。
「…あんた、優しすぎるって言われない?」
「それがニトロだという証拠はないわ!」
「じゃあ、割ってみようか」
レディは茶目っ気っぽく言った。「お姉ちゃん、迷ってるよね?」「…!」「あの映像を見て、資料を見て。自分たちのやってきたことに、迷ってるよね…」
これが自分たちの正義なの?
「どけジョディ!!」赤井の声に、ジョディは自分が泣いていたことに気づいた。「はい」レディが瓶を渡してきた。
「レディ・スミス!お前には秘匿権があるーー」レディ・スミスが両手をあげて、壁に何人という大人に押さえつけられたのを、ジョディは思わず叫ぶ。
「お願い!乱暴しないでーー!」
レディは目隠しされ、口にタオルをかませられ、担がれていく。
「さあ、それを」赤井が腰の抜けたジョディが胸元に抱く、ニトロを預かった。
「避難するぞ。歩けるか」
「大丈夫…ひとりで歩けるから…」
わたしがニトロよーー
レディ・スミスーー彼女は我々が作り出したモンスターか、それとも…