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『四角関係なんて好きじゃない』〜この気持ちに嘘はつけない〜
番外編 『あくねこ学園VS白猫学園』前編
『では、まず戦いますのは生徒会書記の乃花とかるたで勝負していただきます。』
『花澄さんはかるたの賞を取っているんだ。
そう簡単に負けはしない。』
『さぁ、それはどうかな?うちの乃花も同じだ。』
お互い着物を着て登場する。
『やっとその姿で会えたわね。』
『着物は華道の時でも着てるものですから。』
『貴方に負けて本特に悔しかったわ。
同い年なのにこんなにと違うんだって。
だから私は今日貴方に勝って…あの時の雪辱を…!』
私はかるたの前に座る。
『御託はいいから。早く始めましょう。』
『っ…!!カルタで、分からせなきゃダメみたいね……。』
私はかるたの前に座る。
『……。』
『花澄さん、凄い集中力だ…。』
『花澄さんは華道をしてる時はあんな顔してますよ。それに、先程もう腕は鈍ってると仰ってましたが…瞬発力なら部活でもたびたび見かけていますから。』
『ユーハン、それって…。』
『…ふふっ。』
『それではかるた部の顧問の先生の私が読み上げます。すぅ…。難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花 』
この歌が読み終わり、すっと身体を前に動かす。
『花の色は――』
バンッ!
『!?』
『…嘘、今見えなかった…。』
『流石花澄さん…。『純白の札取り』だわ!』
かるた部の部員がそう告げる。
『あの、それはなんですか?』
『これはですね、異名です。花澄さんのかるたの腕は有名ですから。彼女の札を払う仕草はまるで白い鶴が飛び立ったような姿を現してるんです。それが、美しいことからそう呼ばれているんです。彼女をかるたの前に立たせたら相手はもう彼女の餌食です。』
『なんで…腕は鈍ってないの……っ?』
『華道部で部活の最中…部員の方がお茶をこぼしそうになることがあるんです。でも花澄さんははカルタで培った瞬発力で未然に防ぐんです。もちろんそれだけではありませんけど。』
『へぇ……ユーハン物知りだな!』
『まぁ同じ部活ですから。』
『次に行きますよ。』
『なんで…。』
『……その理由が知りたいなら続けましょう。』
『…っ。』
しかしその後も花澄さんが札を取り続ける。
数分後――
『乃花が追い込まれてる…。』
『馬鹿な…。』
『乃花が1枚も取れないなんて…』
『……っ。』
(花澄に私の陣地を取られたから送り札で何枚か貰ってるだけで私は自分で取れてない…っ。
花澄の陣地は残り少ない…負ける、また…。)
『運命戦ですね。』
『相手の陣地に1枚、自分の陣地に1枚。
先に読まれた方が先勝ち。だけどもう……
枚数は花澄さんの方が上。つまり次を取れたところで…。白猫学園の負けは確実です。』
『く…っ。』
『…私は情けはかけません。
だって、この世界は勝ち負けで決まる世界。
情けをかけては……相手に失礼でしょう?』
『そんな目で、見ないでよ……っ。
弱者を見るような…そんな…っ!』
そして、最後の歌が読まれる。
『……。ち…』
バシンっ!!
『はやぶる――』
『私の勝ちです。』
『容赦ねぇ…。』
『いつもと顔が違うっす…』
『あれが…花澄さんの本気の……』
ごくりっと息を呑む。
『く…っ、なんで、勝てないの…?私は、あんなに…っ』
『あなたが負けた理由はただ一つ。勝ちに固執してるから。』
『は…?勝負の世界に勝ちに固執して何がいけないの?』
『かるたは…楽しくとるものだから。勝っても負けても私らどちらでもいい。
楽しいと感じたなら…それで充分。』
『勝ちに固執したから負けた…私が……っ。』
バタンっ!
乃花はショックで倒れる。
『乃花!』
『これが『純白の札取り』……花澄さんなのね。』
続いて囲碁。
『次は将棋。生徒会会計の道重と花澄の戦いだ。』
『道重。相手に飲まれるなよ。』
『分かってますよ、紬さん。』
『次は将棋ですか…。』
『将棋ってのは難しいルールだからな…。』
『ハナマルさん得意なんですか?』
『いやいや俺なんかめちゃ弱い。』
『ハナマルさんらしいですね……。』
『では、初め。』
『道重さん、でしたか?』
『あ?』
『先手はお譲りします。どうぞ。』
『…。』
(勝つ自信でもあるのか…ふん、まぁいい。余韻に浸らせといてやる。)
パチッ。
『…。』
パチッ。
『将棋部の方、これにも異名が?』
『もちろん。花澄さんの将棋での異名は
『漆黒の爪』です。』
『漆黒の、爪?』
『爪と詰めをかけてるんですよ!漆黒というのは鷹の爪を表してます。1度逃した獲物は詰めを立てて逃がさない。詰められば最後…』
パチッ。
『……っ。』
『……。』
『雲行きが怪しくなってきました。』
『花澄さんの将棋をしてる姿はいつ見ても素敵だわ…まるで昔を思い出すかのよう。』
『そして彼女は勝ちを確信したとき…』
『…きゅ。』
『唇を噛むの。これをされたら相手はもう勝てないわ。彼女の詰将棋に…ひたすら詰められるだけ。』
パチッパチッ
『…。』
パチッ…!
『あなたの番ですよ。』
(く、そ…こんな、女に俺は、また…。)
『負け、ました…。』
『ふぅ…。』
『道重までも花澄に食われたか…。』
『紬様。もうこれ以上彼女の好きにはさせません。私の囲碁で彼女を負かせてみせますわ。』
『期待している、彌生。』
次回
番外編 『あくねこ学園VS白猫学園』後編