『四角関係なんて好きじゃない』〜この気持ちに嘘はつけない〜
番外編 『あくねこ学園VS白猫学園』中編
『生徒会広報の彌生と花澄の囲碁対決を始める。』
『よろしくお願いしますわ。』
『お願いします。』
『ふふ、この威圧感、懐かしいですわ。でも私には分かりますわ。数分後に貴方の悔しがる顔が見れるのを。』
『勝負事の前に喋りすぎ人の腕は鈍る…』
『…今、なんと?』
『くすっ。独り言です。』
『…囲碁で貴方を直接負かした方が早いですわね。』
『…なんでさっきから煽ってるんだろう。』
『それがあやつのやり方だからだろう。』
コトっ。
『黒と白どちらになさいますか?』
『……どちらでも。』
『無欲ですのね。』
『勝てばどの色でも構いませんから。』
『……。』
(ホント、癪に障るお方…。)
『では、私は黒で。』
『じゃあ先行ですね。どうぞ。』
パチッ。
パチッ。
『彼女の囲碁の異名は『黒と白のプリンセス』!!』
『また変な異名を…。』
『まぁまぁそれは一体どういう意味なの?』
『そのままです。プリンセスって言うのは全て手に入る存在ですよね?』
『あぁ。』
『彼女は黒と白どちらの石をとっても必ず勝つからそう呼ばれてるんです。』
『それって最強…』
『えぇ。つまり最強なんです!』
『ふん、相手が悪かったな。』
『見てよ、シロ。花澄さんすごく楽しそう。』
『真顔にしか見えんがな。』
『私の陣地が…っ。』
『……私の勝ちですね。相手より多くの陣地を石で囲んだ方が勝ちですから。囲碁のルール忘れてしまいましたか?』
『く……っ!なんて強いの…っ。
私が負けるなんて…っ。』
『三連勝…っ。』
『流石花澄さんです!』
『ふふ、そうだね。』
『…申し訳ありません。紬様。』
『……。』
『ご心配には及びませんわ。紬様。』
『綾子…。』
『会長が手を下すまでもなく私が彼女を任します。…どんな手を使っても。』
『続きまして生徒会副会長綾子と花澄の弓道を始める。』
『勝ち星をとっていられるのも今のうちよ。』
『……。』
『どちらのルールにする?
得点制か、的中制。』
『…。得点制にしましょう。』
『わかったわ。弓道のルールでいいわね?』
『はい。』
『5点矢を放ち…合計が多い方の勝ちよ。』
『分かりました。』
『弓道の異名は『的中の射手』』
『的中のアーチャー?』
『はい。射手とは英語でアーチャーって読みますから。』
『そ、そのままですね。』
『彼女に弓を持たせたらもう百発百中で真ん中に当たりますから。』
『花澄さん凄いな……。』
『あぁ。ストレート勝ちじゃないか?』
『では、一矢目。両者、構え!』
『……礼っ!!』
シュッ!
同時に矢を放つ。
ビュッ!
トンっ!
『え…っ!?』
『花澄さんの矢が…的にも当たってない…。』
『それに今…』
(何かが花澄さんの矢を目掛けて飛んできた…?)
『あら……。射手のアーチャーの異名はどうなさったのかしら?花澄さん。』
『……。』
『動じない…冷静だね。』
『でも明らかにおかしかったっすよね!?
石みたいなのに弾かれて……。』
(ふふっ。その通りよ。白猫学園の生徒を買収してあなたが矢を飛ばす瞬間石を投げるように
指示を出した。目にも止まらぬ早さでね。
でも貴方は気づいてるんでしょう?その上でその態度……。最後貴方がどうなるか……楽しみだわ。)
『では、二矢目です。』
『……。』
シュッ!
ビュッ!
トンッ!
『また…!?』
『……。続けましょう。』
その後の三矢目も…矢は弾かれて下に落ちるだけだった。
『もうあとがないんじゃないかしら?
私は合計17点。次も外せば…私の勝ちですよ?』
『花澄さんが追い込まれてる……。』
『でも、花澄さんは相手のイカサマをわかってる。それなのになんでとめないの?』
『…それが花澄さんなんです。』
『ユーハン君……?』
『冷静沈着な彼女はどんなことにもぶれない。たとえ自分が追い込まれようとこの勝負を受ける。この場に立ったからには…最後まで受けるのが彼女なりの義の貫き方なんです。』
『でも、このままじゃ……』
『早く終わらせましょう。では、四矢目を…』
『失礼。』
私は立ち上がり、弓と矢をその場において的に目を向ける。
『……。ボソッ。四矢目も次も…真ん中に入るわ。』
『え…?いま、なんて…。 』
『さぁ。綾子さん。始めましょうか。』
『っ…!』
私を見つめる彼女の目が冷たく凍りつく。
『なんなの、この寒気…っ。』
(夏なのに、部屋が凍りついたように…。)
『……。』
私は白猫学園の生徒を見つめる。
『……くすっ。』
『ひっ…っ!!』
(今、こっちを見てた…?)
『構えっ!礼っ!』
『う、うた、なきゃ。手元が狂って…っ。』
シュッ!
ビュッ!
『あっ!!』
トンッ!
『花澄さん…真ん中だ!』
『なっ!』
私の矢に石が当たり落ちてしまう。
『は…っ!?なんで……っ。』
『どうかされましたか…?
もしや、仲間割れですか?それとも…。ぐうぜん外しただけですか?』
『っ……。』
『次で最後ですね。私が真ん中を射れば20点で私の勝ち…。さぁ。最後までやりましょう?』
『あ、ああ…っ。』
『あれがかつてコンクールで金賞を受賞した花澄さんの異形の技…。』
『華道をしてる時とは打って変わって綺麗だわ…。』
トンッ!
『……。』
『そこまで!花澄さん合計20点。白猫学園綾子さん17点。勝ったのは花澄さんです!』
『やったぁっ!!!』
『申しわけ、ありません…紬様…』
『イカサマをしておいて負けるなんて無様な。』
『あ…っ!紬様、嫌、見捨てないでください…。』
『はぁ……。』
『お疲れ様です。花澄さん。』
『うん、ありがとう。』
『さっきとは打って変わっていつもの花澄だな。』
『勝負の世界に入り込むとついね…』
『花澄!!』
『!!』
『まだ勝負は終わってない。俺と華道の生け花で勝負だ。』
『こいつらの汚名は俺が返上する。』
『…そうですね。紬会長。私に負けた4人の汚名返上。させてあげてくださいね。できるものなら。』
次回
後編へ続く!
コメント
2件
主ちゃんイカサマされても勝てるの流石すぎる! なんか言葉が圧倒的強者感する! この学校に僕も入りたい! (切実な願い)