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「うへへへ…」


教室で席に座り窓の外の景色を眺める。朝から好天気の空を。


「何をニヤニヤしてんだ、気持ち悪い」


「あ、ごめん」


呼び掛けられたので謝りながら返答。振り返った先にいたのは鼻血を垂らした友人だった。


「……それどうしたの?」


「智沙に殴られた。買ってきた炭酸ジュースを振ってから渡したら怒られちまってよ」


「まだパシり続いてたのか…」


どうやら仕返しに対する罰を喰らったらしい。かかあ天下の夫婦のような関係だった。


「それより雅人は何か良い事でもあったの?」


「え……そんな事はないけど」


「分かった。うっかり女の子のオッパイ触っちゃったんだろ?」


「違うってば…」


「なら女の子がトイレにいる時に間違えてドアを開けちゃったとか」


「いや、だから…」


「それか街で偶然会った女の子と同居する事になったとか。ん~、けどさすがにコレは無いか」


「……さっきから凄すぎるよ。もしかしてエスパー?」


盗聴器や隠しカメラでも付けられてるのではと疑いたくなる台詞の数々。彼は時々、信じられないぐらいの異端な能力を発揮する事があった。


「ところで公民の宿題やってきた?」


「やってきたよ。颯太はまた忘れたんでしょ?」


「え? どうして分かるんだよ。ひょっとしてエスパーか?」


「……実はそうなんだよ。颯太限定だけど行動が読めるんだ」


コントのようなやり取りを交わす。傍から見たら間抜けとしか思われないような会話を。冷静を装っていたが心の中は不思議と高揚感に包まれていた。その原因は自宅にいる天使のような存在。


「颯太ぁあぁあぁぁっ!!」


「ん?」


トイレにでも行こうかと考えていると教室中に野太い声が響き渡る。友人の名前を叫ぶ台詞が。


「アタシがトイレ行ってる間に机に落書きしただろーーっ!!」


「げっ、智沙だ。ヤバい!」


「ふざけんなや。誰がブスだ、コラァッ!!」


「げふっ!?」


近付いて来た彼女が机を足場にジャンプ。そのまま友人の顔面に強烈な膝蹴りをお見舞いした。


「ぐあぁああぁぁっ!?」


「……ったく、イタズラ小僧が」


「ちょ……女子が跳び蹴りはマズいって」


「あん? 中に体操着の短パン穿いてるから平気だっての」


「そ、そういう問題じゃなくてさ…」


豪快な転倒音が教室中に響きわたる。机や椅子を巻き込む派手な音が。


もがき苦しむ男子生徒と鬼のような形相を浮かべている女子生徒。どちらの味方につけば良いのか分からない状況だった。


「ん? アンタ、何ニヤニヤしてんの?」


「へ?」


「頬の筋肉緩めちゃって。良い事でもあった?」


「い、いや。別に…」


戸惑っていると態度の不自然さを指摘される。心の中を見透かされているかのように。


「そういえば朝も様子が変だったわね」


「え~と…」


「かおちゃんもどこかよそよそしかったし。これは家で何かが起きたんだな」


「そ、そんな事は無いっす」


彼女は地元が同じなので駅から一緒に登校する事が多い。妹とも中学時代に同じバレー部に所属していた先輩後輩の仲。ただ床に倒れている友人同様に同居人の存在を打ち明ける事が出来ず。香織と共謀して華恋さんの存在を内緒にしていた。


「ま、別に雅人がどこで何してようがアタシには関係ないけどね」


「はは…」


「けどかおちゃん以外の女の子に手出しするのだけはやめておきなさいよ。あの子が可哀想だから」


「……家族なんだってば」


周りに聞かれて恥ずかしい会話を交わす。倒れた椅子や机を協力して起こしながら。


「うおりゃあっ!! 公民の授業始めるぞ、うおりゃあっ!!」


しばらくすると訳の分からない掛け声と共に教師が登場。散り散りになっていた生徒達は自分の席へと戻った。


「ひひひ…」


授業が始まってからもニヤニヤが止まらない。意識は上の空だった。

アナタ以外への姫事

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