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放課後、高校生だけがいつも立ち寄る本屋さん。
この本屋さんは、どこか不思議なオーラを纏っています。
―――
私は水森友依(みずもりゆい)。
今日はとある事情があり、思わず家を飛び出してきてしまった。
その理由は……
簡単に言うと、反抗期だからだ。
今年高校2年生になる私は、現在絶賛反抗期。
お母さんやお父さんが「どうしたの?」と、何か私に異変がある度に声をかけてくるのが、うざったるくて仕方ない。
普段なら「んー」とか「まあ」とか、適当な返事でやり過ごしているのだが
今回はあまりにも腹が立ってしまったから、家出をしてしまった。
家出と言っても、大層なものではない。
数時間どこかで時間をつぶした後、家に帰るつもりでいる。
―――本当は自分でも、後悔している。
こんなことしなきゃよかった。
お母さんたちは、私を心配してくれているのに。
……そんなことは分かっているのだが、どうしてもイライラしてしまう。
こんなことを考えている自分が大嫌いだ。
と、私は何もかも投げやり状態。
思わずため息を零した、その時だった。
「ん?そこのお嬢ちゃん、なんか元気ないやん」
「どうしたん?ボクでもよければ、話聞くけど」
後ろの方から突如、男性の声が聞こえた。
とてもナチュラルで、落ち着く声。
そして安心感のある関西弁。
気になって振り向いてみると、そこにはいかにも優しそうな男の人が立っていた。
少し違和感を感じたのは、現代にそぐわない かなりレトロな服装をしているからかも知れない。
レトロというかなんというか、昭和時代の服装みたいだ。
この人はそういう趣味なのか。今、そういうのも流行ってるもんなぁ…
というか、話しかけられたのって、私?
他の誰でもなく、私なの??
と色んなことを考えていると、また男の人が話し始めた。
「えぇ?なに、警戒でもしてる感じ?」
「ふふっ、それは安心しいや。ボク、怪しいもんちゃうから」
「そ、そうなんですね……」
「うん」
「てか、嬢ちゃんなんか悩みごとあるんやろ?ボクに話してみ?」
「え……」
「ちょっと聞き方悪かったな、ごめんごめん」
「ほんなら、ボクの店でゆっくり話すか?道におるのもあれやろ?」
「店って…何か営業されてるんですか?」
私は少し興味を持ち、質問してみる。
男の人はそれを見て嬉しそうに笑い、続けた。
「まあ営業っちゅうほどのもんちゃうけどな」
「ボク、本屋やってんねん」
「えっ、本屋さんですか?」
「(行ってみたい、かも……)」
「(それに、時間をつぶす手段にもなるし――)」
「____行ってもいいですか?そのお店」
「おっ、気が乗ってきたんやね?」
「ええよええよ、うちにおいで!」
「んならボクについてきてな」
そう言うと、彼は歩き出した。
私もただその足跡を辿っていく。
あまりにも見ず知らずの道に入り込んでくので 少し恐怖も沸いたが、不思議と逃げたいとは思わなかった。
[怪しい人にはついて行ってはいけない]
こんな常識、小学校で習ったはずなのに。
どうしてか、そんな事は当時、一切頭に思い浮かばなかった。
………それから数分後
彼が立ち止まり、目をやった先には
昭和感漂う本屋さんがあった。
次話に続く―――