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どうも皆様、サカナです
たまには純愛なアメ日帝もあり!
奥手だけど好きな子に一所懸命なアメかわいい!
そして遅れましたがお誕生日おめでとうございますです!!!
NL、BLなら解釈可!!!長いですよ!!!
アメリカ「…俺、日帝ちゃんに嫌われてるのかな」
カナダ「兄さんがそうと思えばそうなんじゃない」
アメリカ「雑すぎだぜカナダ…」
ベッド上でスマホをタプタプしながら、カナダは棒読みでそう言った。
アメリカは急にカナダの部屋は押し入っている状態なので、当然ではあるのだが。
好きな子と連絡を取っていたのに、邪魔をするとは何事か。
本当は出て行けと言いたいが、カナダは優しいので、塩対応で終わらせている。
アメリカ「なあカナダぁ、日帝ちゃんに好かれるためにはどうすればいいと思う?」
カナダ「知らないよ。僕だって仲良しなわけじゃないし」
あまりにもしつこかったら斧を出すつもりのカナダに、怖いものなど父の料理しかない。
デートの約束を取り付けられたので、怒りは少し収まった。
アメリカ「なぁカナダ〜〜!!」
カナダ「スッ」
アメリカ「Sorry, no ax please」
カナダ「次僕のベッドに上がったら、兄さんの部位が床に落ちると思ってね」
アメリカ「俺の弟こあい」
カナダ「ウクライナちゃんと連絡してる時に来る方が悪い 」
ゆっくりバックしていくアメリカをチラリと確認し、カナダは再びスマホの画面を見つめる。
ウクライナちゃんというのは、カナダのガールフレンドのことだ。
普段は温厚で控えめなカナダも、ガールフレンドが関わると英国の部分が表に出てくる。
その出てくる部分というのが、障害物は肉親であろうと消すところなあたり、カナダの物騒さを物語っているだろう。
こういう時、アメリカはカナダとイギリスの血の繋がりを感じている。
カナダ「…で?今なら話だけ聞いてあげるけど」
アメリカ「日帝ちゃんと仲良くなりたいんデスケド、カナダサン意見ありマス?」
カナダ「好きなものでもあげてみたら?後、兄さんはベタベタしすぎ。日本さんとかアジアの国って、あんまり接触しないでしょ?」
機嫌の良いカナダは普通の好青年なので、なんとも簡単に答えてくれた。
ずる賢いことや利益目的以外では少々頭が回らない兄のために、とても簡潔な内容だ。
アメリカは善なる悪とでも言おうか、相手の地雷を好き勝手踏んでは去っていく。
日帝は仲間以外にベタベタと触られることで死ぬほど不快感を感じるので、これは明確に嫌われている理由だ。
アメリカ「なるほどなるほど…じゃあ、日帝ちゃんの好きなものをあげまくって、嫌がることしなかったら、付き合ってくれたりとかするかな!?」
カナダ「今の好感度でいけるかは知らないけど…まあ、兄さんの努力次第だと思うよ」
そこまで答えて、カナダはそろそろウクライナちゃんに集中したいからと言ってアメリカを部屋から追い出した。
しかし、部屋の外の廊下へポイされたアメリカは特に気にしていない。
愛しの日帝ちゃんのために、まずはあの子の好きなことやものを、完璧に把握することから始めた。
アメリカ「日帝ちゃんは甘いものが好きで、触られるのは嫌い…よく知らないものと機械が苦手だけど、新しい武器なんかはよく調べてる…っと」
イギリス、日本、にゃぽんなどに協力を仰ぎつつ、ここ1週間は日帝調査に乗り出していたアメリカ。
好きなもの、嫌いなもの、苦手も得意も好きな場所も、色々なことがわかってきた。
アメリカ「デートプランは練ったし 、日帝ちゃんを誘って、後は成功させるだけ…」
『J.E manual』と書かれた小さなメモ帳を手に、アメリカは日本に渡された日帝の連絡先へと電話をした。
・・・
日帝『…もしもし』
出てくれたことにアメリカは叫びたいほど喜んだが、もし叫んだら二度と出てはくれないだろう。
アメリカは必死に口を押さえて落ち着いてから、口を開いた。
アメリカ「えっと…Hi,日帝ちゃん。俺だけど 」
日帝『チッ』
アメリカ「待って待って!切ろうとしないで!」
電話越しでもはっきりと聞こえるほどの舌打ちをかまされてしまったアメリカ。
切ろうとしていることは目に見えているので、慌てて食い止める。
日帝『ふん。つまらん用件であれば、すぐに切るからな』
鋭い声で言われたが、なんとか引き止めることができた。
アメリカはこのチャンスを無駄にしないよう、最新の注意を払いながら言う。
アメリカ「あ、あのさ、お願いがあるんだけど…」
日帝『さっさと言わなくても切るぞ』
アメリカ「ゔっ…厳しいなあもう…日帝ちゃん甘いもの好きだろ?美味しいパンケーキのお店をカナダから教えてもらったから、一緒に行かないか?」
日帝の機嫌が悪くならないように気をつけながら、できるだけ簡潔に伝えてみる。
向こうから小さく、甘いもの…と呟く声が聞こえた。
日帝『…何故私なのだ?貴様には友人知人が多いではないか』
アメリカ「多いけど、日帝ちゃんがいいな、俺」
なるべくゴリ押しは控え、決定ではなく希望を聞いているという体にする。
これはイギリスに教えてもらった日帝の誘い方で、行こうぜ!と言うよりも成功率が高いらしい。
できるだけ優しく、雨の日のような哀愁を漂わせると良いとのこと。
日帝『ふん…まあ良いだろう、いつ行けば良い』
あ、これマジで誘えるんだ。
アメリカはそう思った。
だが油断はできない、ここでがっつくやつは失敗する。
アメリカ「日帝ちゃんはいつ空いてる?俺今週は暇にしたから、合わせるよ。日曜は定休日らしいけど…」
幼少期に散々鍛えられた紳士の部分。
紅茶を海に放り投げた時、一緒に捨て去ったと思っていた部分。
今は、それを使う時なのだ。
アメリカ(ありがとう親父、これで俺は日帝ちゃんに好きになってもらえる…!!!)
初めて親に感謝した瞬間である。
日帝『…3日後の土曜日なら、空いているぞ。行けるか』
アメリカ「All OK!時間はどうする?オープンは9時からだぜ」
日帝『お前が決めていい。夜じゃなければ、別に』
日帝の声には刺々しさがなくなり、こちらに決定権も譲ってくれた。
これはかなり進展したと言っても過言ではないだろう。そのはずだ。
アメリカ「ありがとー日帝ちゃん。んじゃあ…11時で集まってお昼食べてから、デザートにパンケーキなんてどうだ?」
我ながら良い提案だ、と自画自賛しつつ、電話の向こうの声を待つ。
何かカリカリと音が聞こえてから、返事が来た。
日帝『わかった、11時からだな 。場所は?』
アメリカ「〇〇広場の噴水前とか?あの辺りお店とかと近いし」
またカリカリと音が聞こえる。
どうやらメモをしているようだ。
日帝『把握した。では、また3日後に』
アメリカ「…おう!」
日帝と約束を取り付けられた。
この事実だけで、アメリカは舞い上がりそうなほどテンションが上がった。
「また」という言葉はもう一度会えることを実感させてくれ、柔らかくなっていた声は甘く耳に馴染んだ。
これから電話の切れる音の数秒後、OMG!!!!!!!!!と叫び、イギリスとカナダ(お家デート中)から締め上げられることになる。
そうして迎えたデート(仮)当日。
アメリカはテンションが上がったまま下がらず、浮き足だって噴水の近くをぐるぐる回っていた。
こうでもしなければ、現実の嬉しさに叫び出しそうなのだ。
アメリカ「まだかな…まだだよな…あと5分…あと5分で日帝ちゃんに会える…」
上がり続ける口角を必死に抑え、時計の針を何度も何度も確認する。
「すまない、遅れてしまったか?」
アメリカ「!!!」
カツカツとヒールの音を響かせ、電話の時と同じ柔らかい声が耳に入った。
アメリカは凄い勢いで振り返り、待ち合わせの相手をじっくりと眺める。
よく手入れされたブーツに、動きやすそうなジーンズ。軍服を思わせる硬めの上着の中は、真っ白なシャツだ。
特に暑くもないのに帽子も被っているのは、日本から聞いた猫耳隠しのためだろうか。
しかし違和感はなく、バッグも目立たない色のショルダーで、実によく似合っている。
洋服だなんて珍しい。
そう思うと同時に、可愛さでダウンしかけた。
アメリカ(ダメだダメだ!ここでダウンしたら、日帝ちゃんとは付き合えないぞ!)
己を鼓舞しつつ、アメリカは嬉しさを抑えて取り繕いまくり、なんとか声をかける。
アメリカ「い、いや、遅れてないぜ。5分前ピッタリだ」
日帝「そうか、なら良かった」
アメリカ「えっ、と…今日は洋服、なんだな?」
日帝「パンケーキを食べるのだから、和服では違和感があると思ってな。日本たちに頼んで選んでもらったんだ」
わざわざおしゃれまでして、日帝はここに来ている。
愛おしさが爆発しかけたが、うるさいのが嫌いな日帝の前では静かにせねば。
口の中を噛んで誤魔化した。
アメリカ「すごく似合ってるぞ!そろそろ行こうか?」
日帝「そうしよう。いつまでもここにいるわけにもいかない」
小さな体でキリキリ動く日帝を目で追って、追い抜かさないようにしながら一緒に歩く。
揺れる帽子を取ってみたいし、すべすべした手を繋ぎたいし、最初の時点でハグもしたかった。
だがそれをすれば嫌がられるのは確実で、日帝からの好感度は得られなくなる。
今できることは、精々話題を振ることのみ。
ほとんど一言でも日帝も答えてくれるので、アメリカは思い当たる話を色々話した。
日本の仕事が早くて助かること、色々な国が追いついてきそうでおっかなびっくりであること、今日が楽しみで眠れなかったこと。
ふっと綻んだ笑顔が、またアメリカの心を掴むのだった。
アメリカ「日帝ちゃん、そんなにほっぺに詰めて大丈夫?破裂しそうで怖いんだけど…」
場面は変わり、ここは例のパンケーキ店である。
2人の前には美味しそうなパンケーキが佇み、片方にはチョコレートやフルーツが、もう片方にはホイップやいちごシロップ、みずみずしいベリー類が乗っかっている。
日帝は目を輝かせ、上品な作法で一口、二口と食べ進めている…のだが、嚥下が間に合わないうちに次々と口の中に詰めていくので、柔らかそうなほっぺがパンパンになってきているのだ。
アメリカに指摘されてハッとしたような顔になったかと思えば、フォークとナイフを置いて、口の中に詰まったパンケーキを飲み込み始める日帝。
頑張ってもぐもぐしているようだが、中々元に戻らないほっぺ。
アメリカはその様子を愛おしそうに見ながら、少しずつ食べている。
ようやく最後を飲み込み終わり、日帝は水で流してから口を開いた。
日帝「…すまない、昔からの悪癖なんだ…美味しいものや好きなものをどんどん口に詰め込んで、飲み込みが間に合わなくなる…気がつけばあの状態なんだ」
日帝は申し訳なさそう言うが、アメリカとしては ハムスターのように可愛らしく、色々なものを食べさせてあげたいという思いが強まる。
日帝「見苦しいところを見せたな。今からは気をつける」
そう言ってまた上品に食べ始めるが、明らかにさっきよりも遅い。
無理に遅くして、食べる楽しみを減らして欲しくはないのに。
アメリカ「なあ日帝ちゃん、もっと食べな?美味しいから夢中になっちゃうってことでしょ?ちゃんと味わってるんだから、マナーとかそんなの気にしないでいいよ」
日帝「…しかし…」
アメリカ「俺は、日帝ちゃんが美味しそうに食べてるとこが見たいな。さっきみたいにほっぺをパンパンにして、目をキラキラさせててほしい。その方が、俺も美味しく感じるからさ 」
ニコッと微笑んで言うと、日帝はわずかに顔を赤らめ、小さくこくりと頷いた。
そして食べるペースも元に戻り、またハムスターのように詰め込み始めている。
アメリカ(かわい〜♡)
撫でたいのを我慢して、アメリカはパンケーキを食べた。