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【チャンス】
sh視点
あの屈辱の翌日、目が覚めた頃には拘束器具が増やされていた。
両腕の拘束具はそのままに、両足も纏めて縛られ、首にはチェーンのようなものが巻かれていた。
少し引っ張るとチェーンが首を締め付ける。
部屋から出られないどころか、完全にベッドから動けなくなった。
そうともなれば、ここから出る方法はひとつ。
kn『ん、起きてる?』
kn『お風呂行こー』
このタイミングが最大のチャンス。
前回の入浴である程度は確認済み。
あいつは浴室の扉には備え付けのロックをかける。
だが特別他のセキュリティは見当たらなかった。
そのロックさえ外せれば少しでもあいつと距離が取れるということだ。
知らない男と2人で入浴だなんてやってられない。
男が浴槽に入った瞬間、そこが狙い目だ。
kn『大丈夫?ぼーっとしてる?』
俺の背中を流しながら鏡越しに話しかけてくるこいつを今すぐにでもぶん殴りたい。
kn『そんな怖い顔しないでよ』
kn『お風呂もご飯も満足じゃないの? 』
kn『不満があるなら言ってくれないとわかんないよ、解決できることならするし 』
sh「口先だけだろ」
kn『違うよ、本当』
都合のいいように言葉だけで丸め込めよう、なんて考えてるんだろう。
俺だってそこまで馬鹿じゃない。
泡を全て流し切り、男がシャワーを止める。
水音が止まった浴室に緊張感が走った。
男が浴槽に足を入れる。
まだだ、しっかり腰を下ろしてからじゃないと。
待つんだ。
大丈夫、落ち着け。
今。
kn『え、?』
浴室の扉のロックを解除して脱衣所に出る。
脱衣所の扉を開けたら外に出たいところだが、あいにく裸。
とりあえず近くの部屋に駆け込むしかないのか。
脱衣所の扉に手をかける。
開かない、?
その時、後ろから扉の開く音がした。
kn『ねぇ、なにしてんの』
kn『また逃げようとしちゃったの』
kn『もうルール破らないって約束したでしょ』
kn『おいで』
コメント
1件
相変わらず最高…… まじ語彙力と口角が家出しちゃうくらい最高!!