テラーノベル
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「ん、、、」
瞼の裏側にまで届くような強く、淡い光を受けて自然と目が覚める。
ふかふかの何かが体の下にある。かといって不安定にぐらぐらとしているわけではなく、安定していてすごく寝心地がいい。
段々とはっきりとしていく意識の中で瞼を上げ、うっすらと目を開く。
「あ、起きたかな。」
視界の中には人がいた。
飛び出すようにして跳ね起きて警戒に入る。誰だ。睨み付けるようにしてじっくりとその”人”を観察する。
今になって気付いたが、ここは部屋だ。誘拐、、?でもこんなボロボロの子供を拉致しても意味なんかないし、、。
「まぁ、そう警戒しないで。俺は君に危害を加えるつもりはないから。」
、、どういうこと?ますますわからなくなってきた。じゃあ、なんでこの人は__
「助けて、って言ったでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間にこれまでの記憶が一気に駆け抜けるようにして思い出していく。
死にかけたこと、助けてもらったこと、多分夢だろう場所で起きたこと、その全部を。
「あ、、、」
なんて、失礼なんだろう、俺は。助けてもらった、命の恩人に対する態度じゃない。
「ご、ごめんなさ__」
「いいよ、気にしなくて。というか無理しないでよ、あんなとこいたら体中バキバキだろうし。」
「、、え?」
確かに、痛い。ちょっとじんじんする。これが、この人のいう”無理”なのだろうか。
「どうせ今アドレナリンどばどばで痛みが麻痺ってるだけだろうし、動かないに越したことないよ」
そう言いながら体を持ち上げられてベッドへと連れていかれる。
じたばたと抵抗してみたががっしりと支えられた腕は外れずない。体力の無駄遣いだと判断し、大人しくされるがままになる。
すとん、とベッドに降ろされて優しく布団を掛けられる。その扱いに目を見開く。こんな、丁寧な扱いは初めてだった。
「もうちょっと寝てなよ。ご飯持ってきたら起こすから。」
ご飯、、食べたい。だけどなにもなしにご飯、、?
こんないい話はきっともうないだろう。だが、いい話には大抵裏があるものだ。
でも、そんなことどうでもよくなるくらい腹が減っている。ぎゅるぎゅると鳴るこの音が証拠だ。
「はいはい、今持ってくるから。安静にしててよ。」
目の前の人は手をゆっくりと挙げて迷ったようにぶらぶらとさせた。殴られる、反射的に体に力を入れて警戒の姿勢に入る。
何をされるかと思えば、ただぎこちなくも優しくぽんぽんと頭に手を置かれるだけ、だった。
、、、殴られなかった。
去っていく後ろ姿を見つめながら俺は期待してしまった。
もしかしたら、もしかすると、この人はいい人で、俺は”また”安心して暮らせるんじゃ__。
「はっ、、お前なんかに価値があるわけないだろ。さっさと消えれば飯代も浮くのにな。
脳裏に蘇るのはあの頃の記憶。もう、ずいぶん前のことなのに嫌なものばかり鮮明に覚えていて。
__まぁこいつには”あれ”があるから生かしてやってるだけだが。感謝しろよ。」
吐き捨てるかのように言って俺を見る目はいつだって冷たい冷たい、暗く恐ろしい冬を思わせる色だった。
そんな冷たい視線を浴びるたびに刺のように俺の心を貫いた。
次の瞬間、思い出すかのようにずきりと全身に大きな刺が刺さったかのような痛みが走る。
胸を押さえて一度動悸を落ち着かせ、呼吸、それを繰り返して。荒く浅い息が深くゆっくりとした呼吸へと変わっていく。
まぁ、そんなわけないよな。夢のまた夢の話。所詮はおとぎ話のような夢だ。
小さく息を吐いてあの人が出ていってぱたんと閉じた扉をじっと見つめる。
「、、、ぐ~ぎゅるぎゅる」
お腹、空いたな。ご飯、まだかな。
考えることは、今はそれだけでいい。そう自分を納得させて今も止まらず鳴り続けるお腹にゆっくりと手を当てた。
こそあど言葉って難しいですね。
ものすんごい遅れて投稿でした。この作品はこれからも多分こんな調子です。
NeXT♡500
コメント
7件
ああぁぁぁぁぁ、闇が見えるぞ⋯