【ココ視点】
それから三途は1ヶ月程で退院した。 退院した三途は直ぐに溜まっていた仕事をさっさと片付けて何かをしたいかのように取り掛かった。やはりNo.2、仕事の速度は誰よりも早く、丁寧だ。
そう思いながら俺は目の前にあるパソコンで今回の収入額を見た。勿論いつものように上々…と言いたいところだが何かおかしい。いや、確かにグラフは右肩上がりだ。しかし、先月との差が恐ろしい程違う。何がそんなに梵天の収入をあげたんだ?ここ最近の交渉やスクラップ案件などを調べた。しかし大幅に収入額を上げられるような仕事は見つからない。じゃあ、誰かが独断で仕事を自ら増やしているのか?俺は脳内で候補を上げた。
まず、蘭。あいつは確かに貰った仕事は一応やるほうだ。しかし、自ら仕事を増やしたりなどしない奴だ。竜胆も同じく、兄貴の背中を追っている奴だ。何か大きなきっかけやらがないと行動しない。
じゃあ、鶴蝶?それもないな。あいつは警戒心が強い。貰った仕事以外は危険なのではないかと、敢えて手を出さない。
望月も多分違う。確かに戦う事は好きだ。だけど、彼奴は取引やらが誰よりも苦手なはず。そんな奴が独断で取引するか?
武臣…は多分、いや絶対違うだろ。彼奴、相談役だし、論外。
じゃあ、残るは…
「三途か…ありえるな。」
三途はマイキー…いや、なんならもう梵天のために働いている。彼奴はどんな手段を使ってでも得のある方を取ろうとする。彼奴の考えなら「梵天のためならなんでもする」とか思う時なんて数えきれないほどあっただろう。
そう確信した瞬間、俺は三途の仕事の履歴を確認した。スクラップ、スクラップ、交渉、海外出張、スクラップ、密売…やはり、彼奴のことだからそう簡単には秘密の仕事を暴く事は出来ない。本人に聞いてもはぐらかされるだけだろう。最終手段は…
「ボス、今から◯◯との交渉に向かいます。」
「わかった。」
よし、今だ。
そう、俺がする行動は一つ。ストーカーだ。日付を分析するに、休日の日にグラフが上がっているのが分かった。んで、今は日曜だ。彼奴の場合交渉が案外上手いため直ぐ終わるだろう。その直後に彼奴は何処かに行って俺らに秘密の仕事をしているはずだ!…と思っている。
かれこれ約4時間、取引相手の建物の外で俺は隠れながらずっと待っていた。外は肌寒く、少し鉄臭い。工場が近くにあるからだろう、空気も少し灰色がかってた。
「今回はお時間を頂き有難うございました。」
三途がお辞儀をして、建物から出てきた。やはり仕事モード。三途は笑顔で振る舞っており、それに釣られて相手も微笑む。彼奴はやはり交渉が上手い、と再確認させられた。三途は自分の車で移動し始めた。それを追って俺も追う。見失わないようにと、車にはGPSも付けた。パソコンでGPSを確認しながらバレずに走っているとピタッと何処かの建物に止まった。
「は…?」
俺は目を疑った。
だって、そこ…
「マジかよ…ラブホじゃん。」
俺は予想外すぎたためか少し苦笑いをした。
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