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タイトル:オーバーワーク・パッシブ
「若井〜、これ、明日までに頼んだよ〜」
無造作に積まれたファイルがデスクに落ちた。
今日だけで、三回目だ。
「……先輩、僕にも予定があるんですけど」
「へぇ?なに?家帰ってゲームするとか?」
後ろのソファに寝転がったまま、スマホをいじる大森。
彼の“やる気のなさ”と“声の軽さ”が、いつものように神経を逆撫でする。
「僕は……僕は先輩の秘書じゃありません」
「知ってるけど?部下でしょ?」
その言葉に、ぐっと拳を握る。
言い返したい。でも、言い返せば仕事は増える。過去の失敗が、それを証明してる。
「はぁ……わかりました」
「素直でよろしい〜。じゃ、よろしくね、若井」
悪びれもせず、大森はぐっと伸びをした。
無防備なその横顔を、思わず睨んでしまう。
でも、彼は気づいてないふりをして、ニヤッと笑った。
「……嫌いなんですけど」
小声で漏れた言葉も、たぶん届いてる。
それでも彼は、知らん顔でソファに沈んだままだった。