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風香「悟さん、この辺りにある甘味処に寄りましょう!」
京都の油小路通りで彼女の声が聞こえてくる中、僕は彼女の居る方向に返事をする。
五条「ちょっと待ってね、風香!まだ悠仁達がお土産を見てるから終わったらそっちに行くよ!!その間、はぐれないようにそこで待っててね!!」
と僕は向かいの店に居る彼女に言う。
何故、僕達は京都に修学旅行に来ているのかと言うと、それは一ヶ月前に遡る。
五条「最近、うちの可愛い生徒達が鍛練や任務でやる気を失ってしまっているし、授業中に居眠りをしているな…。」
僕はそう言い乍《ながら》、最近の生徒達の態度に頭を抱えていた。
五条「特に、悠仁と野薔薇は授業態度が悪いけど、恵と風香はそれほど悪くもないからセーフなんだよね…。」
そう、僕がさっきから考えているのは生徒達の成績のことについてと態度についてだった。更には、任務続きで生徒達のストレスと疲労が溜まって、成績が下がることも起きていた。風香は、此処《ここ》の高専では優等生のような存在であり、分からないところを僕の可愛い生徒に教えている。だが、最近になってから任務が多く迚《とても》忙しい為、僕の生徒に教えてあげられる余裕が無いと言われてしまったのだ。その結果、このようなことが起きてしまっていたのだ。
僕は何度か考え、出てきた言葉が修学旅行という学校行事には絶対必要な行事を思いついた。しかし、修学旅行と言っても行き先は何処《どこ》になるのかと疑問が出る。そして、僕はふと思い出した。風香は、いつか京都で暮らしてみたいとか中学時代は修学旅行に行けなかったから早く行きたいと言っていたことを思い出したのだ。でもでも、また疑問が残る。それは、京都校の生徒達が居ることだ。僕の生徒達は、アイツらがいるから行きたくない、とか嫌だとかと騒ぎ立てる子も居る。京都校の生徒達はいっそのこと、北海道か東北に行かせてあげてと京都校のおじいちゃんか歌姫に言っておくかな。w
まあ、気分転換みたいなもんだしね!
五条「よし、修学旅行の場所は決定‼️」
と僕の声は自分以外、誰も居ない職員室に響いた。と、その時だった。
風香「悟さん、すごい声で響いてましたけど、どうかしましたか?💦」
五条「!?ふ、風香か、もうびっくりしたよ。」
僕は驚いて振り返り、目の前の彼女に話しかけた。風香は元々、この呪術高専の生徒ではなく一般の女子高生であり、普通の私立高校に通って呪いすらも全く見えていない普通の子だった。だけど、彼女は家族は嫌いであり家庭内では辛い日々を過ごしていたという。しかも、人と話すのが苦手だった為、通っていた学校では友達は少ししか居なかったという。そんな日を過ごしていたある日の夜に、彼女の家族は呪霊に殺されてしまった。それに、この時の彼女は何故だか分からないが、呪霊がはっきり見えていたという。1級呪霊だった為、特級の僕が行って此処で彼女と初めて出会った。彼女は怪我をして気絶していたので、僕はお姫様抱っこをして高専へ連れて行き、硝子に診てもらうことにした。
風香「ん…、うん…?あれ?此処は…。」
家入「お、やっと目覚めたのか。」
彼女が意識を取り戻したのは、その日の翌朝だった。キョロキョロと周りを見渡している彼女に硝子は、此処は呪術専門学校だと言った。
家入「君、あの場所で怪我をして気を失っていたから治療してあげたよ。それに、君を助けたアイツにも感謝をしてあげな。」
彼女は怪我をした左腕の第一関節を見る。それは包帯でぐるぐるに固定されていた。彼女は、硝子に手当をしてくれたことにお礼を言った。
風香「あの、手当をして下さり有難うございます!」
家入「どういたしまして。」
因みに、僕はこの時、彼女の様子を見に行こうかとしたのだが、別の用事もあった為、遅くに帰って来た。
僕が彼女の様子を見に来たのは夕方くらいだった。暗い廊下を歩き、硝子と女の子の居る部屋に向かう。部屋からは硝子と女の子の話し声が聞こえた。どうやら、意識を取り戻して元気になったみたいだ!ホッと安心した僕は部屋の前で硝子に彼女の様子を見に来たよと言って中に入った時だった。
ギュッ
五条「えっ?」
僕は直ぐに誰かに抱きつかれた感覚を覚え、視線を下に落とした。
五条「えっと、何をしているのかな、君。」
見てみると怪我をしていた彼女が僕に抱きついていた。それに、彼女の顔から少しだけ温かいものを感じた。これってもしかして…。w
五条「君、もしかして僕のことが好きなの?」
僕がそう言うと彼女は小さく頷いた。近くに居た硝子は煙草を吹かし乍、歌姫先輩と飲みに行ってくると言って部屋を出て行ってしまった。これが彼女と僕との出会いであり、彼女の初恋でもあった。
でも、僕は恋とかそういった恋愛感情は興味は無かった。つまり、恋は僕には無関係ってこと。
僕はふと、この子を助けた時のことを思い出した。
僕は彼女を守り乍、領域展開🤞をしていた。その時に彼女は僕の素顔を見て惚れてしまったのかもしれない。無音の部屋で僕は彼女が離れるのをただただ待っていた。
あの後、僕は彼女に制服と部屋を用意して、その夜に一緒に寝たのだった。(この時、僕は「嫌だ。w」と断ったのに彼女がどうしてもと言うから仕方なく一緒に寝たよ。💦それに、風香に爆発案件を出さないでね!彼女が傷付くから!)
出会った頃を思い出し乍、僕は目の前に居る彼女に修学旅行は京都に行くよという言葉が出なかった。
五条「ううん、何でも無いよ?風香こそ、どうして職員室に居るの?」
今度は僕が彼女に問い返した。そして彼女は、
風香「あの、手作りのマカロンと大人気洋菓子店のケーキを持ってきまして…。/////」
と彼女は照れ乍も僕にスイーツが入った箱を手渡した。
五条「え!?そうなの!?有難うね風香‼️仕事が終わったら美味しく戴《いただ》くよ‼️」
僕は照れている彼女の頭を撫でてあげると、更に彼女は顔を赤くする。日も暮れて柑子色《こうじいろ》に染まった空の中で、迚喜んでいる彼女と自分の影がうっすらと伸びていた。
その次の日、僕は朝のHR《ホームルーム》で可愛い一年の生徒達に一ヶ月後に修学旅行に行くことを報告したところ、悠仁と野薔薇は迚大きな歓声を上げていた。恵は相変わらずの嫌な顔をしているが、僕は気にせずに話を続けた。
五条「そして、修学旅行で一緒に同行してくれるのは二年先輩の姉小路風香ちゃんで〜す‼️」
と僕は隣にいる彼女を手で指した。
因みに、僕は昨日の夜、彼女に修学旅行のことをちゃんと話しておいた。(彼女は迚喜んでいて、初めて出会った時と同じく抱きついてきた。)
彼女は、「宜しくね。」と一年の子達に一礼をした。
五条「あ、後、修学旅行の場所は京都だけれど、京都校の人達も同じように修学旅行で居ないから安心してね‼️」
悠仁・野薔薇「は〜い‼️」
五条「お!いい返事だね!先生、元気いっぱいなのが嬉しいよ‼️」
そんな日のHRは、教室が喜びと嬉しさの声で迚賑わっていた。
そんなこんながあって僕らは京都に来ていた。
風香「さっきの場所の甘味処、迚美味しかったですね!いつか東京にもオープンしてほしいです!」
隣で歩いている風香は先程寄って食べた甘味処の感想と願望を言っていた。それほど美味しかったのは迚良かったねと僕は彼女にそう言って、今夜泊まる宿に行く前に風香がどうしても行きたい場所があるため、そこに向かうことにした。
それは、かつて新選組の屯所だった場所である八木邸と前川邸だった。八木邸と前川邸に到着すると、風香はスマホとぬいぐるみを出して写真を撮り始めた。今、風香が持っているあのぬいぐるみは風香曰《いは》く、乙女ゲームの推しキャラだという。僕は彼女に詳しく問い詰めたのだが、彼女は恥ずかしがって言わなくなってしまったので、そこで追求するのをやめた。彼女は恥ずかしがり屋なのは前々から知ってたけど、この時の彼女は何処か様子が可笑しい気がしていた。単なる僕の気のせいかと思い、新選組の屯所から離れようとした時だった。
近くで女性の叫び声がして僕達は助けに向かう。僕らは女性の叫び声が聞こえた場所に辿《たど》り着いて、その光景を見た。そこには1人の女性が複数の男達に絡まれていたのだった。
野薔薇「あんたら、その人に一体何をしてるのよ!早くその人を放しなさいよ!」
と野薔薇はその男達に向かって言ったが、1人のリーダーらしき男は一瞬だけ舌打ちをして僕らを無視して進もうとした。だが、僕の隣にいる風香はそのリーダーの腹部を右足で蹴り飛ばし、後ろ向きで倒れたリーダーの背中に馬乗りになった。そして、リーダーの右腕を掴《つか》んで上に上げた。
あ、これは凄い痛いやつだ。
風香「私達を無視してズカズカと何処かに逃げようとしてんじゃないわよ…、あんたらはその女性に何をしたのよ!!」
と、怖い顔でリーダーに怒鳴りつけた。
うわ〜、怖い怖い。w
その時、僕達が来た道から警察がやって来た。どうやら、僕達の後ろにいた恵が彼奴《あいつ》らにバレないように隠れて通報してくれていたらしかった。
流石《さすが》は恵!!隠れて通報したのはすごいよ!!
僕らは、警察の方から「君達が通報してくれたおかげで女性は命を失わずに済んだよ!」と褒められた。
後から聞いた話だけど、あの女性は彼奴らに命を狙われていたという。女性を狙っていたのは暴力団の集団であり、偶々あの女性をターゲットしていたという。それに、偶然僕らが発見して止めたことにより、女性は一命を取り止めたという。助けた女性は僕らに向かって涙を浮かべ乍《ながら》、何度も頭を下げていた。
その後、僕は甘いスイーツを買って風香と半分こにした。僕が、1年の生徒達がちゃんと居ることを確認した時にそれは起こった。
風香「きゃっ!!?」
と背後から風香の小さな悲鳴が聞こえたと同時に僕は前に倒れていった。そして、悠仁・野薔薇・恵という順番で僕達はドミノ倒しみたいに倒れた。僕は地面へ倒れていく迄の時間がまるでスローモーションになっているかのように感じた。そして、急に視界が真っ白になったのが僕の目には深く焼き付いていた。